STOP! 子ども虐待

2018年11月21日 (水)

虐待経験を映画に

母さんがどんなに僕を嫌いでも


児童虐待をテーマにした1本の映画が公開されました。作家でブロガーの歌川たいじさん(52)のみずからの虐待経験をつづった手記が原作になっています。映画を通じて歌川さんが伝えたかったこととは。

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母親から「豚」と呼ばれて


映画の原作となった歌川さんの手記、「母さんがどんなに僕を嫌いでも」です。みずからの虐待経験が赤裸々につづられています。

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歌川たいじ さん:「こんなの書いて誰か読んで何かになるのかなと思いながら書いたんです。でもいざ本にしてみたら『私も同じような痛みを抱えていて、この本を読んで何か変えてみようと思いました』って言う声ですとか、たくさんいただいたんです」

歌川さんは5歳のころから10年以上、母親に虐待を受けてきました。母親から「豚」と呼ばれ、毎日のように殴られていました。包丁で切りつけられ、ケガをしたまま学校に行ったこともありました。

しかし、虐待を受けていることは誰にも話せなかったといいます。 

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歌川たいじ さん:「母が言うことは何でも正しい、母が選ぶものが一番いいものというふうにやっぱり思っていました。母が何かスイッチが入って僕に暴力を振るい始めると、自分が悪いとしかやっぱり思えなかったんですよね」

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歌川たいじ さん:「子どもは親に刺身包丁で切られたって言えないんですよ。家でブリキで遊んでいて切りましたっていったんですけど、絶対大人だったら分かるじゃないですか。ようは大人は見て見ぬふりをしたんですよね」

 

心の支え  近所のばあちゃん


そんな歌川さんをただ一人、気にかけてくれたのは、歌川さんが「ばあちゃん」と呼んでいた近所の女性でした。

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殴られるのは「自分のせいだ」と母親をかばう歌川さんを、ばあちゃんは「あなたは悪くない」と言って抱きしめてくれました。

しかし「ばあちゃん」は歌川さんが18歳の時に病気で亡くなります。その直前、容体の悪化を知って駆けつけた歌川さんに、「ばあちゃん」はある言葉をかけました。

いつも自分のことを「豚」だと話す歌川さんに、「僕は豚じゃない」と言うように頼んだのです。

歌川たいじ さん:「自分を大事にしないと人からも大事にされないよ、それをばあちゃんが本当に一番言いたかったんだと思うんです。あんなに闇を抱えた青年でありながらも人間を嫌いになることだけは避けられんだと思うんです。それは何をおいてもやっぱりばあちゃんのおかげだと思うんですよね」

家を出て一人で暮らし始めた歌川さんにとって、「ばあちゃん」のことばは、たった1つの心の支えでした。

 

虐待から目をそらさないで


今度は自分が「ばあちゃん」のことばを、苦しんでいる子どもたちに届けたいと考えるようになった歌川さん。映画の試写会で参加者に次のように呼びかけました。

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歌川たいじ さん:「子どもは、自分の命と引き換えにしなかったら世間に虐待されているっていうことが分かってもらえないんです。社会が変わらない限りみんな言えないで抱えて生きていくと思います。でも私はその子たちにも幸せになってほしいです。届くべき所に絶対に映画を届けたいと思っておりますので、どうか皆さん力を貸して下さい。よろしくお願いします」

 歌川さんは家を出てから15年後、母親が亡くなる1年前に再会。それまで抱えてきた思いをすべて伝えて、ようやく母親を許すことができたということです。

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※映画「母さんがどんなに僕を嫌いでも」2018年11月16日~ 全国公開

 


各地の児童相談所は、親からの相談も受け付けています。
番号は局番無しの「189」。「いちはやく」となっています。

「STOP子ども虐待」では今後も、虐待についてお伝えしていきます。

 

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