STOP! 子ども虐待

2018年09月20日 (木)

妊婦支援で虐待防ぐ

妊婦の中には、子どもを生んで育てていく上で社会的に困難な状況を抱えている人たちがいます。
例えば10代での出産や経済的な問題、夫からの暴力、望まない妊娠などです。

「特定妊婦」


実は、児童福祉法では、こうした子育て困難が予想される妊婦について「特定妊婦」として認定し、行政が支援することが定められています。

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この「特定妊婦」に注目し、虐待の予防につなげることができないか、最新の研究が大阪で進められています。

大阪母子医療センターの副院長で産科医の光田信明さんです。

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注目したのは「特定妊婦」です。これまで虐待との関係は明らかになっていませんでした。そこで、光田さんたちは、自治体と協力して全国で初めての追跡調査を行いました。

 

特定妊婦と出産後の虐待との関連性


調査では、出産してから1年後と2年後に、子どもが、虐待などのため保護されたり、行政から要支援とされたりしていないかどうかを調べました。

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その結果、「特定妊婦」では、半数近い47点2%の子どもが保護や支援の対象になっていたのです。

一方、それ以外の妊婦では、2点2%でした。孤立など妊娠中の社会的な困難さと出産後の虐待に関連のある可能性を示していました。

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光田信明医師:「妊婦さんの要因と産まれたあとの結果を直接的に結びつけたような研究は日本ではいままでなかった。妊婦さんの孤立、お母さん方の孤立ということがすごく関与しているなと」

 

「問診」の大切さ


 社会的な困難を抱える妊婦を見つけて支援につなげることができれば虐待を減らせるかもしれない。そこでこの病院が力を入れているのが「問診」です。

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助産師:「お母さんとか上のお子さんとかみてくれるために来ますかね?」

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妊 婦:「実家の母にお願いしようと思っています」

助産師:「お母さんが産後1か月ぐらいまでいてくれますか?」

妊 婦:「1か月ぐらいはお願いしてます」


カルテには周囲のサポートがあるのかなど妊婦の状況について記載できる項目をもうけました。「パートナーの言動を怖いと思うか」など夫との関係に問題がないかといったことまで詳しく聞き取ります。 

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話したがらない妊婦もいるため、1人で悩みを抱え込んでいないか、表情や雰囲気などにも気を配るようにしています。 

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助産師:「楽しいのかなとか苦しいのかなとか不安がっているのかなというところは、パっと入ってきたときの表情だったり、待っているときの表情だったりというところがキーかなと思います」

 

意見交換


問診の内容をもとに、医師や看護師らが集まって、毎月、対応について意見を交わします。 

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和田聡子 看護師長:「(妊婦自身)虐待を受けて育ってて、うつパニックを持っていて」「居場所がないんだったら、母子寮みたいなのもないかというのを考えてみるけどという話もした精神的なフォローも考えないといけない」

 出産後、妊婦は産科の病院には来なくなります。この病院ではそれまでに保健師に連絡したり、助成制度を紹介したりして、可能な限り支援につなげようとしています。

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和田聡子 看護師長:「おせっかいだとは思います。すごくおせっかいをしているのではないかなと思います。(妊婦に)共感を持ってっていうかしんどいところがあるんだったら、少しずつ解決していけないかな」

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光田信明医師:「妊婦さん、あるいはお母さんが孤立しないように周りの方が支援をしていかないといけない。同じ目線で情報を共有しあうことが大切なんだろう」

 

妊婦支援の拡充を


今回の調査は特定妊婦を対象としていますが、特定妊婦かどうかに関わらず、何らかの社会的な困難さを抱えていると、虐待のリスクが高くなる、いわゆる「ハイリスク」な状態になると考えられています。

このため、重要なのは、妊娠、出産、子育てと全体の流れの中で、切れ目なく支援することです。虐待虐待というと、出産後、子どもが生まれてからというイメージがありますが、それだけでは十分とは言えません。

こうしたことから、虐待を防ぐという観点で、産科の役割に注目が集まっています。
光田さんたちは、どういうタイミングで、どういった支援を行うのが最も効果的なのかなど、今後さらに調査を続けることにしています。

 


各地の児童相談所は、親からの相談も受け付けています。
番号は局番無しの「189」。「いちはやく」となっています。

「STOP子ども虐待」では今後も、虐待についてお伝えしていきます。

 

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