STOP! 子ども虐待

2018年06月12日 (火)

虐待からの立ち直り

キャンペーン4回目のきょうは、虐待の影響で今も苦しんでいる大人たちについてです。

幼い頃の虐待は心に深い傷を残します。その傷は大人になってからも簡単に癒えることはありません。自分の心の傷に向き合い、乗り越えようとする女性たちの姿を見つめました。

 

幼いころに虐待を受けた人たちを支援


ことし、大阪市で、幼いころに虐待を受けた人たちを支援する講座が開かれました。参加したのは、20代から50代までの女性9人です。いずれも虐待が原因で心に傷を負ってきました。

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参加者:「自分は人を幸せにしない、できない、できないです」
参加者:「(私は)自分に価値が無いと思っている」


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虐待を受けたのは自分が悪い子だったからだ。大人になってからも自分を責め続ける人は少なくありません。

 

自分を投げ出さない、自分を諦めない


WANA関西  藤木美奈子 代表理事:「自分を投げ出さないということですね。自分を諦めないということですね」

支援団体の代表を務める藤木美奈子さんです。自身が親から虐待を受けた経験を元に、大学院で教えるとともに、20年以上に渡って支援活動に取り組んで来ました。虐待を受けた人どうしがお互いの苦しみを話し合い、共有することが、立ち直りの第一歩だと、藤木さんは考えています。

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藤木美奈子さん:「同じような経験者を集めることが一番大事なんです。そこでやっぱり客観的な視点というのが生まれてきて、私もあんな風に今なっているんだなと言うことを知ってもらうと」


 参加者の1人、40代のエツコさん(仮名)です。人とうまく関われず苦しんでいます。

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エツコさん:「私はダメな人間、うまく話せる人が能力が高いと思っている」

 エツコさんは10代のころから父親に性的な虐待を受けていました。一時は自殺まで考えました。エツコさんを追い詰めたのが、勇気を出して助けを求めた際の、母親の言葉でした。

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エツコさん:「母親には虐待されて辛かったって言うのを何度も訴えたけど、忘れてくれへん?て。お母さんもう聞きたくないっていわれて」

 人に話しても助けてはくれない。エツコさんは虐待について誰にも相談できなくなりました。人と話すこと自体が怖くなり、仕事も続きませんでした。今も心療内科に通っています。

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エツコさん:「健全な家で育った子と自分はちょっと違うなって思って、まわりの人がすごく輝いて見えたりして。すごく自分が劣った存在みたいに」

 

自分の苦しみを互いに打ち明け合う


 講座では、自分の苦しみを互いに打ち明け合うプログラムが行われています。

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エツコさんも悩みをことばにしようと懸命に取り組みました。

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エツコさん:「周りのみんなはすごくコミュニケーションを上手に取れていて、みんなが当たり前にできていることができない」

  

辛い思いから抜け出すために


辛い思いから抜け出すためにどうすればいいのか。参加者全員で意見を出し合います。 

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藤木美奈子さん:「どう考えたら、むしろ自分の気持ちが明るくなったり、ほっとしたり、安心できたりするかな」

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参加者:「ここには、たまたま話せる人がいないだけとか」
参加者:「うまく話せなくてもいい」

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エツコさん:「・・・うまく話せなくてもいいか」

 「うまく話せなくてもいい」。エツコさんは、この言葉を書き留めて持ち帰りました。

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エツコさん:「うまく話せなくてもいいやんか」

 ありのままの自分を受け入れる。これまでエツコさんが思いつかなかったことばでした。

 

母からかけてもらいたかったことば


そして講座の最後の日。エツコさんは、自分の中の最も深い傷を打ち明けました。

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エツコさん:「私、お父さんからちょっと虐待されて。で、それをお母さんに助けを求めたときに、私はその現場を見ていないから何も言えないって、助けてもらえなかった。守ってもらいたかったとか味方になってもらいたかった、助けてもらいたかったっていう期待が今でもあって」

 仲間が背中を押してくれたからこそ、できた告白でした。

 もうひとつ、参加者からもらった言葉がありました。

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参加者:「エツコちゃんは天使、大切な存在だよ」

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天使のように大切な存在だと、自分に言い聞かせようというアドバイスです。虐待を受けていた子どものころに母からかけてもらいたかったことばでした。

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藤木美奈子さん:「じゃあどうしましょう。お母さんの代わりに言ってもらいますか?」

エツコさん:「そうですね、はい」

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参加者:「エツコちゃんは天使。エツコちゃんは大切な存在だよ」
参加者:「エツコちゃんは天使、もちろん絶対大切な存在
参加者:「エツコちゃんは私の天使、とても大切な存在」

エツコさん:「ありがとうございます」

藤木美奈子さん:「そうやってお母さんに言われたかったんだよね」

 

小さい一歩


3ヶ月間の講座が終わりました。そこには笑顔で話すエツコさんの姿がありました。

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エツコさん:「すごい嬉しかったです。経験したことがない、心がじんわり温かくなる感じ。仲間に天使っていうことばをかけてもらえたし、親に褒められたい、認められたいとか、守ってもらいたいとか、助けてもらいたかったとか、そういう叶わないものを追いかけることを諦められた。小さい一歩は踏み出した」


講座を主催する藤木さんは、虐待は1人の人を一生苦しめる問題であることを分かってほしいと話していました。

 


各地の児童相談所は、親からの相談も受け付けています。
番号は局番無しの「189」。「いちはやく」となっています。

「STOP子ども虐待」では今後も、虐待についてお伝えしていきます。

 

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