STOP! 子ども虐待

2018年05月10日 (木)

虐待ルポライター

stop_2-og.jpg今月からシリーズでお伝えしている「ストップ子ども虐待」。

2回目は「ネグレクト」。育児を放棄した結果、子どもを死なせてしまった虐待を見つめます。なぜ、子どもの養育を辞めてしまったのか、その現場を取材してきたルポライターを取材しました。

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きっかけは8年前、大阪・西区で起きた事件


ルポライターの杉山春(すぎやま・はる)さんです。10年以上にわたり、育児放棄をした親などを取材し、執筆を続けてきました。

杉山さんの取材のきっかけの1つになったのが8年前、大阪・西区で起きた事件です。マンションの1室で3歳と1歳のきょうだいが食べ物がないまま衰弱して死亡しているのが発見された事件。

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50日間にわたり食事も与えないまま2人を残して外出していた母親は、殺人の罪で懲役30年の刑が確定しました。

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杉山さん:「子どもほったらかして自分は楽しんでいる、自分はいい思いをしていて子どもにつらい思いをさせて母性はどうだったんだ、という批判はすごく強かった。」

 

なぜ親なのに、こんなことができるのか


「なぜ親なのに、こんなことができるのか」。自分も子育てをしてきた杉山さんは、答えを見つけようと裁判所に何度も足を運びました。

その時の取材ノートです。

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ノートの文字:「周りに迷惑はかけられない」「『育てられない』と言うことが母親として言ってはいけないことだと思った」

 
裁判では、夫と別れたあと、1人で子育てを背負おうとしてきた母親の言葉が切々と述べられました。さらに家族や友人たちへの取材も続ける中、杉山さんは母親が社会から孤立する中、「完璧な母親であり続けよう」としていたのではと感じていました。

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杉山さん:「取材してみると、ある時期、本当に完璧にやろうとしていたというのが感じられて。夫のお弁当を作ったりとか、子どもが寝なかったので一緒に遊んであげて帰って寝たとか。いつまでもお母さんとしてちゃんとしてないといけないっていう考え方を自分に課していたから、それが縛りになっちゃってSOSが出せなかったんじゃないかって。」

 

 自分からSOSの声が出せずに孤立する親


自分からSOSの声が出せずに孤立する親がいる。取材を通して杉山さんの思いは徐々に強まっていきました。この日、刑務所で面会したのは、神奈川県厚木市で5歳の息子を放置して死なせた父親です。

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トラック運転手で自宅を空けることが多かったこの父親も妻との離婚後に1人で子育てを続けていました。当初は週に5日は家に帰り食事を与えていましたが、その生活も2年で限界に。最後は育児を放棄していました。

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杉山さん:「前よりはちょっと元気そうで。刑務所に来てからは仕事を一生懸命していると聞いています。」

 
父親と手紙のやり取りを続けてきた杉山さん。当時、父親は自分の肉親とも疎遠になり、子どもを預けることも出来なくなっていたと考えています。

父親は、手紙の中で、こう記しました。

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手紙:「育児は自分なりに一生懸命に頑張ってやっていました」「約二年間2人で生活をしていましたが、結果として、こういうことになってしまって本当に残念でたまりません。後悔しています」

  

恥ずかしがらず、SOSを周囲に発すること


育児を上手にこなしたいというプレッシャーから孤立を深める親たち。杉山さんは各地で講演を行い育児から逃げだしてしまった親たちの声を伝えています。

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講演:「社会の中で自分を助けてくれるということを学ばないで大人になっているのではいか。」


杉山さんは子育てが出来ないことを恥ずかしがらず、SOSを周囲に発することが最悪の事態を避ける道だと考えています。

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杉山さん:「追い詰められる前に助けを求めるとか、誰かと一緒に子育てをするとか、そこまですごく追い詰められてしまう前に手当てできる。あんまりいい子にならないで、ダメなことはダメって、できないことできないって、周囲に言っていいんだよって、言いたいかな。」

 
スタジオには、取材にあたった安藤記者。
育児放棄を数多く取材している杉山さんは、どこにその要因があるとみているのですか。

杉山さんは育児放棄に至った親たちを取材してきましたが、こうした親の中には、子どものころから親や周囲の人に認められた経験が乏しく、そもそも、「困ったときに誰かに助けを求めていい」ということを自覚できない人もいるということでした。

杉山さんへの取材を通して、親が助けを求めやすい環境を地域や社会が整えること、また、困難を抱えている親の存在に気付くことが大切だと感じました。(安藤文音記者)


各地の児童相談所は、虐待に関する親からの相談も受け付けています。

  番号は局番無しの「189」。「いちはやく」です。

 

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