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ふたたび戦跡を歩く~那覇市新都心地区のシュガーローフ~

沖縄HOTeye 戦跡のいまを見つめる
  • 2024年06月17日

沖縄県内各地に残る、悲惨な地上戦の様子を伝える戦跡の数々。街が目まぐるしく姿を変える中、地元の人でさえ戦跡だと気づかない場所も増えています。
戦争体験者の高齢化が進む中、いま改めてひとつひとつの戦跡と向き合う必要があると思います。今回はそのひとつ、那覇市にある「シュガーローフ」を訪ねました。

(NHK沖縄放送局 原大策アナウンサー)

【新都心の一角にある凄惨な戦場の戦跡】

那覇市の新都心地区では、アメリカ軍から返還された地域に、高層マンションや商業施設が建ち並んでいます。その一角にあるのが、沖縄戦の激戦地「シュガーローフ」。現在は白い給水タンクが目をひく、高さ20メートルほどの丘です。

この場所は79年前、日米両軍がわずか数十メートルの接近戦を繰り広げた凄惨な戦場でした。およそ1週間の戦闘で、アメリカ軍は2600人あまりが戦死。1300人近くが戦闘で精神に異常をきたしました。日本側も、資料は残っていないものの、住民を含む多くの人たちが亡くなったとみられています。

【シュガーローフと深く関わる寺】

当時の痕跡がほとんど見当たらなくなった一方、沖縄戦の記憶をとどめようと取り組んでいる1軒の寺があります。琉球山法華経寺です。案内してくれた3代目住職の伊東政浩さんは、少年時代を沖縄で過ごし、2年前、住職に就任しました。


この寺ができた経緯には、シュガーローフが深く関わっています。
はじまりは、慰霊のため県内各地を行脚していた初代の住職がこの土地の寄付の話を受けたこと。所有者が示した条件のひとつが「シュガーローフで亡くなったもの、すべての慰霊」だったのです。伊東さんは「『慰霊無くして平和なし』ということ、これを常に胸に秘めて行っています」と話します。


寺が建てられたのは今から40年ほど前。寺の後ろは、まだアメリカ軍の土地で銃弾の跡も残っていたといいます。
 

伊東住職

開発の際に10m掘ったと言われていますが、掘った中から人骨と爆弾がいっぱい出てきたんです。

【慰霊の思いを形に】

 

街が急激に姿を変えるなか、伊東さんは供養のための慰霊塔を新たに立てるなど、慰霊の思いを形にすることを大切にしています。毎年5月には、シュガーローフでの戦闘が行われていた期間に合わせて、慰霊の行脚を行っています。

この行脚は、寺が建てられる前から60年以上続けられていて、最近では近くの高層マンションの住民や若い人が飛び込みで参加することもあります。同行して取材しました。

参加者

歩きながら、ここでこう亡くなったのかなとか、ここでどんな激しい戦争があったかなとか、いろいろ考えながら。
本当に供養になればいいかなと思いながら歩きました。

参加者

北海道出身の兄が糸満で戦死しているんです。いくらつらかっただろう、痛かっただろう、大変だっただろうって言ったって分からない。だからやっぱり、ありがとうっていうかね、心を行動に表せたらいいんだけどね。


取材した日は、行脚に参加することで、シュガーローフのことを初めて知ったという人もいました。

参加者

今回初めて知りました。沖縄に生まれても知らないことがまだいっぱいあると思うので。このこともちょっと自分の中では反省ではないですけど、もっともっといろいろな事を勉強していければなと思いました。

【平和に向け まずは実践を】

平和に向け、自分にできることは何か。伊東さんは、まずは実践することが大切だと考えています。

伊東住職

でもそれを行動に移すことが難しいんです。
行動を取ることが、自分も平和社会の実現を実践する、そのひとりなんだということをしっかりと認識することにつながると思います。

  • 原 大策 (はら・だいさく)

    沖縄放送局 アナウンサー

    原 大策 (はら・だいさく)

    2023年4月から沖縄放送局に勤務
    「おきなわHOTeye」メインキャスター
    離島をはじめ、沖縄の魅力を全身で発信中!

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