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ドローン・高周波 最新技術で鳥獣被害を減らせ!最前線に迫る

NHK「もぎたて!」リポート
  • 2023年12月27日

イノシシやシカ、カラスなどの野生動物による農作物の被害額は令和4年度、県内では2億6300万円余りで、前の年より増えました。一方、猟師の登録者数は、高齢化や人口減少で年々減っています。こうした中、ドローンや高周波を出す機器など最新技術を活用したあの手この手の対策が進められています。
(岡山放送局記者 山田俊輔)

ドローンを活用 シカを追い込めるか

集まる関係者

12月11日、ドローンを使ったある実験が鏡野町で行われました。県の職員、ドローンの操縦会社、地元の猟師などが参加し、シカを追い込む実証実験です。ドローンには、猟犬の鳴き声を出すためのスピーカーが取り付けられました。

猟犬代わりのドローン

ふだんの狩猟で“追い込み役”を担うのは猟犬です。しかし、疲れて集中力が切れることもあれば、賢いシカに逃げきられることもあります。そして何より、猟犬とともに狩りをする猟師の負担がとても大きいといいます。県はこうした課題を解決する手段として、ドローンの可能性を探っています。

(県鳥獣害対策室 江原淳成さん)
現場の捕獲者の方の高齢化も進んできている。今回の実証実験のような先端技術を活用して、効率的な捕獲が進めていけたら、シカの農林業被害の軽減も期待できる。初めての試みだが、いい結果が得られたら…

ミッション遂行に向けて離陸

この日の実験では、事前に捕獲したシカにGPSを付けて山に放ち、どのように逃げるのかを確かめました。県によりますと、ドローンにスピーカーを搭載する取り組みは、県内をはじめ全国でも広がりつつありますが、GPSでシカの動きまで分析するケースは珍しいといいます。

猟犬の鳴き声を稼働

この日の実験では、GPSが示す場所に向けてドローンを飛ばし、音を鳴らしました。すると、シカは狙いどおりスピーカーから出る猟犬の鳴き声を聞いて逃げました。しかし、本来は谷の方に追い込みたいところでしたが、シカは山の奥の方に逃げてしまいました。県はうまくいかなかった原因を探り、改良していくことにしています。

(県鳥獣害対策室 江原淳成さん)
狙った方向にシカを逃がすことは難しかった。今後はドローンのスピーカーから出す音の条件やドローンの高度などいろいろなことを検証しながら、どういったことが有効なのかを探っていきたい。そして、猟で大変な思いをしている人たちの労力の軽減につなげたい

高周波を使った試みも

機器を調整する岡山理科大学・辻維周教授

県内では、別の技術を使った対策も進んでいます。和気町のお寺では近年、イノシシに敷地を掘り起こされる被害に悩まされてきました。そこで設置したのが、野生動物を近づけさせない高い周波の音を出す機器。民間企業と協力して開発したのは、岡山理科大学の辻維周教授です。全国各地で鳥獣害対策に取り組んでいます。

こちらをじっと見つめる動物

こちらの画像は取材前日・11月14日の午前3時に撮影されたものです。画像の中央に動物の目が光っているのがわかります。手前の木の近くまで来てこちらの様子をうかがっていましたが、機器が設置してある場所より中に入ってくることはなく、去って行きました。

(岡山理科大学・辻維周 教授)
同じ種類の動物でも地域によって耐性が異なるので、周波数やスピーカーの向きを調整したが、この映像を見ると効果がだいぶ検証されている。高周波が届かない上の道から、高周波で守られている下の道に下りてくることができないことがわかる。この機器を設置する一番の目的は、これより先に動物を入れたくないということなので、目的を果たせている

海上も高周波で対策

船で移動する辻教授

この機器を導入しているのは陸上だけではありません。瀬戸内市の子父雁漁港には、海用に改良された高周波の音を出す機器が設置されています。冬の時期はのりの養殖が盛んですが、この養殖場ではカモがのりを食べる被害が出ています。辻教授はこの地区に飛来するカモが最も嫌がる周波数を独自に調べ、機器に設定しました。

設置された手作りのかかし

漁業者はこれまでかかしを立てたり、爆発音を鳴らしたりする対策を講じてきましたが、効果はあまりありませんでした。しかし、この機器を設置してからは被害が少なくなったといいます。

生産者

(のり養殖の生産者)
試験的にやっているが、効果はあるのではないかと思う。高周波が届かないところののりはカモに食べられているが、高周波が当たっているところは食べられることなく、のりが成長している

辻教授

(岡山理科大学・辻維周 教授)
かなり改良を重ねた。これが全国に広がって、少しでも助けになればいいなと思うし、それが研究者の役目だと思っている

県内各地で広がる最新技術を使った鳥獣被害の対策。実用化に向けた挑戦は続きます。

  • 山田俊輔

    岡山放送局 記者

    山田俊輔

    2017年入局 岡山県政やスポーツなどを担当

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