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パリ五輪選考MGC 増田明美さんが岡山県勢を独自視点で解説

女子のレースに天満屋から4人の選手が出場
  • 2023年10月12日

パリオリンピックのマラソンの代表選考レース、MGC=マラソングランドチャンピオンシップが10月15日に東京で行われます。女子のレースには、岡山市の実業団、天満屋から4人の選手が出場します。それぞれの選手の持ち味や期待するレース展開について、ロサンゼルスオリンピックに出場した増田明美さんに聞きました。
(岡山放送局 佐々生佳典アナウンサー 山田俊輔記者)

“今回のMGCは百花繚乱”

並んで走る天満屋女子陸上部の4人

今回のレースには、天満屋から前回のMGCで優勝して東京オリンピックの切符をつかんだ前田穂南選手と玉野市出身の松下菜摘選手、倉敷市出身の谷本観月選手、MGC初出場の大東優奈選手の4人が出場します(渡邉桃子選手は右の第2中足骨疲労骨折で欠場)。

岡山県勢について語る増田明美さん

増田さんは今回の女子の出場選手を“百花繚乱”と表現し、個性あふれる選手たちの代表争いに期待を寄せています。中でもカギを握る選手に挙げたのが、前田穂南選手です。

前回のMGCは10人しか走っていない。それと比べて、今回のレースでは、個性的な選手が倍以上そろっている。“百花繚乱”という感じで興奮する。前田穂南さんがキーかなと思っている。前回大会で最初から独走態勢を作ったが、今回も不安材料がないので、ああいうレースを多くの選手が予想している。前田穂南さんを中心にそこにつく第1グループ、後ろから虎視たんたんと狙っていく第2グループ、そういうふうに分かれるとみている

“前田選手は前回よりさらに強くなっている”

MGC連覇を目指す前田選手

前回のMGCで優勝し東京オリンピックに出場した前田選手は、自己ベストが2時間22分32秒。増田さんはオリンピックの経験が彼女を成長させ、強くしたと太鼓判を押します。

東京オリンピックでは、足に痛みを抱えながら出場して33位だった。当時、私は前田選手がこのタイミングで陸上を辞めると思った。相当な葛藤があったと思うが、“また次を頑張ろう”とパリを狙うことを決めた。そして、時間をかけてけがを治した。だから前回、MGCを独走で走った時よりもさらに心が強くなっていると思う。彼女にとってオリンピックの経験が一番の武器になる。私は前田選手がどんなレースをするか楽しみでしかたない。前田選手がいいレースをする時は最初から主導権を握るので、今回もそういうレースを期待している

天満屋の武冨豊監督も前田選手について「久々に順調に練習を消化できた。過去のマラソンの中でもこれだけ順調に来たのは久しぶりだ」と調整への手応えを口にしました。前田選手自身も前回に続くオリンピックの代表入りへ強い決意を示しました。

(前田穂南 選手)
今までに比べると、質の高い練習にもしっかり集中して取り組めたかなという手応えはある。スピードも徐々に上がって、疲労がたまっている中でもしっかりと足を動かして走るという練習もあったが、そこも我慢して取り組めた。いよいよだなという気持ちだ。タイム的には私よりはやい人がたくさんいるが、堂々としっかり走れたらいいなと思う。東京オリンピックに出て、自分の中でもすごくいい経験になり、やっぱりもう一度オリンピックに出て、パリで世界と勝負したいという思いがある。今回もどういうレース展開になるか分からないが、自分の走りに集中して、MGC連覇を目指し、パリオリンピックの内定を取りたい

“松下選手の終盤に期待”

鍛え抜かれた足腰が強みの玉野市出身 松下選手

玉野市出身の松下菜摘選手は、去年の大阪国際女子マラソンで3位に入り、今回のMGC出場権を獲得しています。自己ベストはそのときに出した2時間23分5秒です。増田さんは、松下選手が昔やっていた陸上以外の競技に注目し、そこで培った力がマラソンにも生かされていると話します。

彼女は天満屋女子陸上部のヘッドコーチ・山口衛里さんの愛弟子。中学生の時にスピードスケートのショートトラックをやっていた松下選手を、環太平洋大学のときに山口さんが陸上に引っ張った。その特長は“淡々と走る”。天満屋の武冨監督も“淡々と走るという自分の形が決まっていて、それを崩さない安定感がある”とお墨付きを与えている。ショートトラックで鍛えた太ももを使い、アップダウン、特に上りが得意だ。MGCのコースは終盤が上りなので、松下さんは持ち味を発揮すると思う

(松下菜摘 選手)
(アメリカ高地の)アルバカーキ合宿では、けがや体調不良もなく、すべてのポイントを消化できたかなと思う。持ち味は強い足腰。当日のレース展開がどうなるか分からないが、集団の中で我慢して、チャンスがあれば、いいタイミングで出るところは出て勝負していきたい。家族も応援してくれいているし、県営グラウンドを走っていても、市民の方々に“天満屋頑張れ”と応援の声をかけてくださる機会も増えたので、本当に天満屋で走っていてよかったなと思う。当日はいい状態で、不安もなく、自信を持ってスタートラインに立って、後半でも粘り強い走りで頑張りたい

“谷本選手はアクシデントに強い”

監督が“イケイケ”だと話す倉敷市出身 谷本選手

倉敷市出身の谷本観月選手の自己ベストは2時間23分11秒。去年の大阪国際女子マラソンで、松下選手に次ぐ4位でMGC出場権を獲得しました。増田さんは谷本さんの強さを“逆境に強いメンタルにある”と分析しています。

谷本さんは元気でアクシデントに強い。2019年の名古屋の大会で、レース中に派手に転んだことがあった。そのとき、立ち上がって諦めずに走り、転んだレースにもかかわらず、自己ベストを6分更新した。同じく2019年のカタールのドーハで行われた世界陸上の時も非常に暑く、先頭集団から選手がどんどんこぼれてくる中で、追い上げて7位に入賞した。今大会でも前田選手が主導権を握ってハイペースでレースを作ってもついていくのではないか。武冨監督も“彼女はイケイケの選手だ”と。元気いっぱいで子どもの頃から活発で、子どもの時にキックベースとかアルトサックスとかいろんなことをやっていた。好奇心旺盛でチャレンジする人なので、MGCもけっこう攻めていくと思う

(谷本観月 選手)
私の持ち味は粘り強い走りで最後まで諦めないこと。MGCはオリンピック選考という独特の雰囲気があって、いつもの大会とは変わってくると思うので、楽しみというよりは緊張するというほうが大きい。後半コースがきつくなってくるので、そこでしっかり粘れるように、前半はしっかり耐えて、タイムを狙っていけるようなペースで押していけたらいい。パリ五輪の代表を狙っていける走りができるように最後まで諦めずに走っていきたい。私は倉敷市出身なので、地元の皆さんにパワーを届けられるような走りをしたい

“大東選手は有言実行の人”

4人の中では最年少の大東選手

ことしの大阪国際女子マラソンで日本人6位に入り、MGCへの出場権を獲得した大東優奈選手。4人の中では最年少の25歳で自己ベストは2時間26分9秒。次のオリンピックも見据えてチャレンジすることが大切だと増田さんは話します。

第1集団の速いペースについていき、途中で失速しても粘ってほしい。その上で、次のオリンピックのことを頭に入れながら、ふんばって粘りのレースを見せてほしい。MGCで勝負するには、2時間22分とか23分台の記録を持っていないと厳しい。彼女は有言実行の人で、大阪国際女子マラソンを走る前に、自分から“MGCを走りたいから2時間27分を切る”と宣言して、自己ベストからするとほど遠かった2時間27分を切ってMGC出場を実現した。彼女は夢をつかむことができる気持ちの強い選手。だからこそ、次につながるレースをしてほしい

(大東優奈 選手)
(アメリカ高地の)アルバカーキの合宿では、走り込みをしっかりしたので、体も絞れてきて、動きもすごくよくなってきたと感じている。合宿に行く前よりも自信を持って帰って来ることができた。自分としては一番大きな大会になるので、緊張する部分はあるが、合宿でやってきたことをどれだけ出せるかという楽しみな部分もある。今回のレースでは、30キロまでは粘って、その後の12キロをどれだけ走れるかがポイントになる。自分の力を試しながら、オリンピックの切符をしっかりつかんでいけるように頑張っていきたい

“世界を意識した攻めのレースを”

最後に、増田さんに今回のレースで選手たちに期待することを聞きました。

日本の選手たちは世界に置いていかれていると気にしていると思う。だから“MGCで世界に近づく”という意欲の表れを選手たちからは感じている。“オリンピック代表の2人に残ればいい”という、勝負にこだわりすぎるレースではなく、世界を意識した攻めのレースをしてほしい。そのレースを作ってくれるのが、ピンクのユニフォームを着た天満屋の選手たちなのではないかとわくわくしている。皆さんピンクに注目です!

NHKでは女子のレースを総合テレビとラジオ第1で生中継します。また、NHKプラスでも同時・見逃し配信します。増田さんは副音声の解説を担当します。増田さんの解説とともに、天満屋の選手たちの走りをぜひ注目して下さい!

  • 佐々生佳典

    岡山放送局 アナウンサー

    佐々生佳典

    2003年入局。主にスポーツ実況を担当。 
    最近運動不足なのでランニングを始めようかなと思っています・・・

  • 山田俊輔

    岡山放送局 記者

    山田俊輔

    2017年入局 岡山県政やスポーツなどを担当

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