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岡山発 新人県議は何を質問?初議会に臨んだ8人に迫る【後編】

  • 2023年07月05日

4月の選挙で新しい顔ぶれとなったあと初めて開かれた県議会の6月定例会が5日に閉会しました。選挙で初当選した8人の新人議員全員が、「一般質問」を行いました。新人議員たちはどのような思いで、何を聞いたのでしょうか?後編です。
(岡山放送局記者 安井俊樹・神谷佳宏・川邉貴史)

職業経験や専門性を生かして “弱者に寄り添う”民主・県民クラブ 鈴木一史議員

自身の専門性や職業経験を生かした質問をした議員もいました。

鈴木 一史 議員

岡山市南区選挙区選出で、民主・県民クラブの鈴木一史議員は「自分だからこそ伝えなければならない」と思ったテーマがあったといいます。お年寄りや子どものことです。医療法人に10年勤務した経験を生かし、高齢者の健康増進や介護予防、病気の子どもを預かる病児保育の普及に向けた県の取り組みを問いました。

「弱い立場の人が安心できるように」という問題意識は、防災に関する質問にも表れています。「障害のある人でも見やすいハザードマップが必要だ」として、デジタル技術も活用し、さまざまな特性の障害に対応したマップの必要性を訴えました。

質問の後、手応えを聞くと「本当に伝えたかったことを100%伝えられたとは思えないが、今できることを全力でやれたと思う」と語った鈴木さん。

そして、将棋の藤井聡太七冠のエピソードを語ってくれました。将棋には、対局の後で対戦者どうしが一緒に勝負を振り返り、「最善手」を検討する「感想戦」という文化があります。藤井七冠が紹介した「感想戦は敗者のためにある」ということばに感銘を受けたという鈴木さん。「純粋に強くなりたいという思いでひたむきに将棋を指す藤井七冠のように、純粋に“県政をよくしたい”という思いで、県議の仕事に取り組んでいきたい」と話していました。

職業経験や専門性を生かして 防災士の資格持つ自民党 坂本亮平議員

坂本 亮平 議員

笠岡市選挙区選出で、防災士の資格を持つ自民党の坂本亮平議員。初めての質問でも、土砂災害のおそれがある急傾斜地の対策や河川のしゅんせつ事業など「防災」にテーマを絞りました。

防災士として啓発活動に携わってきた坂本さんは、災害時に「民間の救急車を活用すべきではないか」という質問もしていました。

質問の狙いを聞くと「大きな災害が起きた時は、患者を移送するために救急車が必要になることもあり、救急車の数が圧倒的に不足する恐れがあります。これを補うためにも、民間救急と連携しておくべきと思い、質問しました」と話し、普段から危機管理意識を持って、さまざまな引き出しを用意しておくことが重要だと指摘していました。

坂本さんは陸上の指導者という一面もあり、教育やスポーツにも力を入れていきたいと話しました。さらに、笠岡市議会議員から県議会議員になった自身の経歴から「地域の方々から“遠くなった”と言われるんですよ。自分自身はまったくそういう気持ちはないんですが。今まで通り地域に根ざした活動をして、より身近な存在として活動していこうと改めて思っている。人に優しい身近な政治を目指します」と語りました。

職業経験や専門性を生かして 保育士の資格持つ民主・県民クラブ 小原なおみ議員

小原 なおみ 議員

津山市・苫田郡・勝田郡選挙区選出で、民主・県民クラブの小原なおみ議員は保育士として25年間働いてきました。

質問では、賃金アップのために受講が義務づけられている研修が、業務に追われて忙しい保育士の負担になっていると指摘して改善を求めるなど、保育現場の具体的な問題について県の対応を尋ねました。

小原さんは、保育士として働いていた時に、幼い娘を病気で亡くしました。娘が高熱を出しても仕事を休むことができなかった当時のことを振り返り「自分の子どもをみてやれなかったことを後悔しています」と話す小原さん。「保育士が自分の子どもをみることができないというのは普通じゃないと思います。残業の持ち帰りも当たり前で、忙しくて休めない。賃金をアップしてもらうために、激務の中で重い負担になる研修を受けなければならない、そういう状況を変えたいんです」と、保育士の労働環境の改善を訴えます。

質問のあと、かつての同僚から「よくやった」と激励のメッセージが届きましたが、小原さんは県側の答弁については「逃げ」だと感じたと話します。質問を行う前から県の担当者とやりとりを重ねてきましたが、「現場の生の声を直接もっと聞いてほしい」と話します。

小原さんは、専門性を生かした質問以外に、県議会議員と県の職員らとの関係性を問う質問も行いました。大阪府議会が議員を「先生」と呼ばないよう求めていることを紹介し、自分も「先生」と呼ばれるのは違和感があるとして、議員と職員が対等な関係を築くことが大切ではないかと伊原木知事に問いかけました。

小原さんの父は「庶民派」を目指した元津山市長です。「納得しないと動けないのは父と似ている」と話す小原さん。「新人議員8人の中でも私は全くの“ど素人”。庶民の気持ちを忘れずに頑張っていきたい」と抱負を語っていました。

少子化問題に全力投球 自民党 正木美恵議員

伊原木知事が「できることは何でもやる」と語り、岡山県にとっても待ったなしの課題となっている少子化対策に絞って質問をした議員もいました。

正木 美恵 議員

備前市・和気郡選挙区選出で自民党の正木美恵議員です。

県が抱えるさまざまな問題は少子化が背景にあると考え、結婚支援や人材不足、中小企業の事業承継などに県としてどう取り組んでいくかを問いました。

議会の傍聴席で取材していて驚いたのは、議場での声のとおりがよく、質問が聞きやすかったことです。正木さんに伝えたところ「父親がかつて市議会議員をしていて、選挙で“ウグイス”をやった経験がいきているのではないでしょうか」とのことでした。早口にならないよう、理解されるように意識して話したそうです。

正木さんの実家はかつて製帽所を営んでいました。事業承継問題については、県内企業の後継者不在率が36.1%にのぼるというデータを示し、「サーチファンド」と呼ばれる新たな手法なども取り入れ、これまで以上の支援が必要だと訴えました。

保育士の確保についても質問した正木さんに自身の子育てのことを聞くと、2人の息子がいることや、子どもが難病にかかって、必死で専門医を探した経験などを語ってくれました。子どもは成長して、今は父親と暮らす正木さん。「子育ては楽しかった。息子たちがいてくれて本当によかった」と振り返り、議員として「子育てが楽しくなるようにしたい」と抱負を話していました。

正木さんは、県議は「サポーター」だと言います。「困った時に相談もできないような県議なんていらない。一段高いところに行ってしまって、相談してもいいかどうか分からないから遠慮しようと思われたら意味がない」と、気軽に声をかけてもらえる議員を目指すと笑顔で語っていました。

取材を終えて

「県議って何をやっているの?って聞かれるんです」

取材をした8人の新人議員のうち、複数の議員から聞いたことばです。中には「選挙戦でも、選挙区の議員が誰かも知られていないので、そこから話をしました」という議員もいました。

4月の県議会議員選挙では投票率が初めて40%を下回りましたが、議員の仕事の「見えにくさ」も投票率の低下につながっているのかもしれません。

今回、私たちが新人議員全員の一般質問に込めた思いや人となりなどを取材して伝えようと考えたのも、県民の生活に関わる議員の仕事を身近に感じてほしいと思ったからでした。

多様なバックグラウンドを持つ新人の議論を皆さんはどう感じたでしょうか。もっと質問の様子を見たいと思った人は、県議会のホームページで会期中にライブ中継が行われるほか、過去の議会の動画を見ることもできます。また、県議会の「会議録」を使えば、それぞれの議員がどんな質問をしたかを調べることもできます。

地元の議員が議会でどんな議論をしているのか、確認してみてください。

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