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岡山発 新人県議は何を質問?初議会に臨んだ8人に迫る【前編】

  • 2023年07月05日

4月の選挙で新しい顔ぶれとなったあと初めて開かれた県議会の6月定例会が7月5日に閉会しました。選挙で初当選した8人の新人議員全員が「一般質問」を行いました。新人議員たちはどのような思いで、何を聞いたのでしょうか。前編です。
(岡山放送局記者 安井俊樹・神谷佳宏・川邉貴史)

議員の大切な仕事「一般質問」

4月の選挙で新しい顔ぶれとなった県議会  55人の議員が当選後初めての議会に臨んだ

県議会の「一般質問」は、議員が県政全般について、知事や部長などを指名して質問します。県議会基本条例の第12条には、質問は議員にとって「県の行政事務について知事等の見解を求める重要な権利である」と書かれています。議会で質問を行うことは、議員が県民の代表として私たちの声を届けたり、提言を行ったりして、県政をチェックするための大切な仕事です。

今回の6月定例会で新人8人が行った質問を見ると、自分の生まれ育った地域の現状を踏まえて地域や産業の活性化を質問したり、保育士や防災士といった自分の専門性をいかして質問したりと、それぞれの議員の問題意識や積み重ねてきた人生経験が伺えました。

地域に根ざして “離島振興” 自民党 天野英雄議員

天野 英雄 議員

「一般質問」初日に質問に立った自民党の天野英雄議員は、自身とゆかりが深い地域に関連した質問を行いました。離島が多い笠岡市選挙区の選出で、初の質問でも「離島振興」をテーマに、県の振興策を問いました。

質問を終えた天野さんに取材すると「先祖代々、北木島がルーツで、選挙戦で島に渡った際もすごく人が来てくれて助けられました。島のことに力を入れていきたいと思い、質問しました」と話していました。

知事の答弁については「島の魅力については理解していただいていると感じたが、具体性のある答弁をいただけなかった」と語った天野さん。特に離島航路の問題に取り組みたいと話し「行政が関わり、より利便性の高い航路を作るべきだと考えている。例えば、広域連携を踏まえ、広島県から北木島の東西に走る直通航路ができれば、アクセスしやすくなり、生活の面でも観光の面でも活性化する要因になるのでないか」と指摘しました。

離島以外のテーマについて聞くと、「自分が民間企業に勤めていたことをいかして、岡山県資本の中小企業に利益が回るように今の産業を育てたい。また、2児のパパであることから教育にも注力していきたい」と話していました。

祖父、父と自民県議団内派閥のトップを務め、代々続く政治家の家系ではあるものの、初質問の感想を聞くと、笑顔で「緊張しました!あんなに緊張するとは思いませんでした!」と答えた天野さん。

最後に県民に伝えたいことを聞くと「弱者のための政治。父からの継続性と自分の経験をいかしてしっかりと県政に届けます」と意気込みを語ってくれました。

地域に根ざして “活性化したい” 民主・県民クラブ 渡辺直子議員

渡辺 直子 議員

玉野市選挙区選出で民主・県民クラブの渡辺直子議員も自身とゆかりが深い地域に関連した質問を行いました。

渡辺さんは大学の史学科出身。今回の質問でも歴史の知識をいかし、江戸時代には北前船が行き交い、朝鮮通信使のルートでもあった瀬戸内海の重要性を指摘しながら、岡山の「玄関口」である宇野港をいかしたまちづくりや、岡山県の魅力向上に向けてどう取り組んでいくか問いました。

初めての質問を終えた感想を尋ねたところ「先輩議員やいろいろな方に助けていただいて、みんなの声を県議会で議論することができて感無量です」と感慨深そうに話していました。

一方、手応えを聞くと、県側の答弁については、一定の回答を得られたところはあったとしつつも「かなり辛口で、グサッとくることもありました」と振り返り、プラスの回答を引き出す質問ができるようになりたいと話していました。

昭和51年生まれの渡辺さんは「元気だった玉野が、造船不況や宇高連絡船の廃止でどんどん活気がなくなり、同級生も多くが市外に出て行きました」と話し、“造船の町”玉野から次第に活気が失われていくのを見ながら育ったといいます。一方で、玉野は今、新たなフェーズに入りつつあるとも指摘し「瀬戸内国際芸術祭もあって観光地として注目されているし、国内最大級の蓄電池工場もできる。玉野が再び元気になっていくフェーズだと思います」と話していました。

玉野は「移住者の町」でもあるという渡辺さん。造船が盛んなころ、各地から人が移り住んできた港町・玉野には「受け入れる力」があると信じています。質問に立った日、議会の傍聴席には“直ちゃん”の姿を見るために、地元から多くの支援者が集まっていました。

取材の最後に議員としての今後の抱負を尋ねると「中心部だけじゃない、県内各地ににぎわいを作りたい。地域を活性化したいんです」と語っていました。

身近な困りごとから “防災関連の質問は譲れない” 公明党 井出妙子議員

公明党の2人は、身近な困りごとも含めて、県政の課題などを幅広く質問しました。

井出 妙子 議員

倉敷市・都窪郡選挙区選出の井出妙子議員は、防災や高齢者福祉、少子化対策やゴミの収集方法などについて質問しました。

元々は倉敷市議会議員だった井出さん。選挙区が西日本豪雨の被災地ということもあり、ハザードマップや災害時の行動をあらかじめ決めておくマイタイムラインの普及方法など災害対策について尋ねました。さらに、高齢者の健康を守る取り組みや、保育士の不適切指導、幼い子どもが取り残されて亡くなった事例もある送迎バスの安全対策についても問いました。

一般質問を終えた翌日に井出さんに話を聞きに行くと、倉敷市議会との違いを笑いながら話してくれました。同じ一般質問でも、1人あたりの持ち時間は、倉敷市議会が30分で、県議会は25分。わずか5分とはいえ、持ち時間が短くなったことで、「答弁に対する再質問などを考えると、時間配分が難しかった」と語ってくれました。

質問の狙いについては、市議の任期2年目に西日本豪雨を経験したことから「まもなく、豪雨から5年ということもありますし、災害の風化が懸念される中、防災関連の質問は絶対に譲れませんでした」と話していました。

井出さんは「県議会は市などの自治体と国の間に立つ存在です。私自身も勉強しながら、限られた財源の中で、県としての役割を問いていきたい」と話していました。

身近な困りごとから “誰も取り残されない安心感” 公明党 角屋忍議員

角屋 忍 議員

同じく倉敷市・都窪郡選挙区選出で公明党の角屋忍議員。国会議員の秘書や党の広報担当などを務め、「誰も取り残されない安心感」をテーマに、同僚議員にも相談しながら質問を考えたといいます。質問項目は10にのぼり、防災や農作物の鳥獣被害対策、闇バイト対策など多岐にわたりました。

ことし4月から努力義務になった「自転車のヘルメット」については、経済面や携帯性、髪型が崩れるなどといった着用が進まない原因を分析し、県民が積極的に着用するよう、県や警察、教育委員会が連携して啓発活動をしてほしいと訴えました。

角屋さんの議席番号は「1」。席は最前列です。正直嫌ではないかと聞くと「県の幹部が答弁の相談をしたり、打ち合わせたりしているのがよく見えて、生の議会を味わうことができるので、嫌ではないです。他の議員さんが質問する場所も近いので、メモを取るタイミングなどもよく見えました。今の答弁には納得がいかなかったのかなとか、ここは再質問するんだろうなとか、勉強になることが多いです」と話していました。

今後の抱負を聞くと「興味のある『環境文化保健子ども福祉委員会』に入れてもらいました。国会の動きにも敏感になり、担当分野などをしっかり勉強して、市町村の取り組みをどう応援していくかという観点に注目していきたい。例えば、保育士の確保の問題をどう解決していくのか。県にしかできないことを何なのかを考え続けていきます」と話していました。

県議会6月定例会で「一般質問」に立った新人議員たちについての記事は後編に続きます。

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