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フィギュアスケート 高橋大輔さん 単独インタビュー全文第2回

シングルとアイスダンス 2種目に挑戦した競技人生を振り返る!
  • 2023年06月20日

NHK岡山放送局は現役引退を表明したフィギュアスケートの高橋大輔さん(倉敷市出身)に単独インタビューを行いました。インタビューの全文第2回です。シングルとアイスダンス2種目に挑戦した競技人生を振り返り、心境の変化などを語ってくれました。

【2種目に挑戦した競技人生】

勝呂アナ

改めてスケート人生を振り返ると、どんなことを感じますか

長すぎて分からない。長すぎて分からないけど、でも本当にスケート人生、スケートしかしてこなかった人生ですけど、本当にいろんな方に支えられて、いろんな方が手を差し伸べてくれて、生きてきたと思うので、本当にいろんな人に助けられたという。自分でここまで来れたとは全く思わないです。

いろんな人の顔が思い浮かびますか

思い浮かびますね。いろんな大切なときに大切な方が現れて手を差し伸べてくれて、家庭も裕福な家庭ではなかったので、自力でやっていくことは不可能だったと思うんですけど、それもいろんな方のサポートがあって、おかげさまでここまで長いことやってこれたと思います。

振り返ると、原点・倉敷にいたときに、ここまで長く続けると思いましたか

全く思っていないですね。特に何も考えずに始めているので、誰かに憧れてとか、スケート選手の誰かに憧れてとかで始めたわけではないので、“あーなりたい”という気持ちもなかったので、ただ楽しくて始めたいと思ったことが、知らず知らずに“オリンピックに行きたい”とか言いだすようになって、そこに選ばれる選手になって、あれよあれよという感じで。そこからは本当に自分も“勝ちたい”と思うようになって、知らないうちにという感覚だった。

その時の自分によって目指すところも変わって、延長戦で今になっているという感じですか。

そうですね。

【アイスダンス転向で得られたもの】

2021年 NHK杯 リズムダンス

そういう中では、(シングルとアイスダンスの)2種目を経験されたからこそ得たものについてはどう考えますか。

得たことしかないです。スケート、スケーティングの技術というところでもそうですし、リフトっていうところもそうだし、あとはひとりでするスピンと、パートナーとするスピンというものがあるんですけど全然違うもので、そういう技術的なところは本当に得たものしかないし、村元哉中ちゃんとパートナーを組んで、向こう(アメリカ)で過ごしていて、やはり、家族でもなく、恋人でもなく、何というか、他に何がある?

パートナー?

村元哉中選手とは2020年にアイスダンスのカップルを結成

一番近いのはその2つだよね。恋人でもなく、パートナーシップを築いて、ギリギリのところでぶつかる経験はなかなかできないと思うんですけど、そこで、ぶつかることで学ぶことがあったり、自分を見つめ直すではないが、自分を改めて知るという経験もあったり、哉中ちゃんから学ぶことがあったり、哉中ちゃんが僕から学ぶこともあったと思う。そういうところで、人として成長はできたかなと思うし、これからやっていく上で、自分がどう伝えたら伝わるかとか、伝えるのは苦手なんですけど、プライベートは口数…多いな。でもあまり大事なことは言わないタイプで、だけど言わなきゃ、人には伝わらないというか、分かってもらえない。末っ子気質があって、分かってくれるだろうと思う部分があるので、ちゃんと言わないと人には伝わらないんだなという部分も言えるようになってきたり、ちょっとですけどね。技術はもちろんだけど、そういうところの成長の方があったと思います。

その成長を今後にどう生かしていきたいというのはありますか。

今後はいろんなことをやっていく上で、多分、ビジネスもそうだし、ビジネスっていうと自分では違和感か。基本ビジネスになってきますもんね、人に物事を伝えるときの大切さ、大事さっていうのは、人は分かってくれるものではなくて、ちゃんと伝えないといけないということがまずは1番だと思うので、僕もテンションが上がったりすると、早口になったりするし、思いがあふれすぎて言葉が詰まったりするけど、伝えるときは落ち着いて伝えないと伝わらないなとか。そういった部分はいろんなことに。でも、まだまだだと思うし、これから新しいことにチャレンジをしていく上で、また、どんどん学んでいくと思うので、どう生かすっていうつもりはないけど、あまり構えずに。自分をぶつけていった方がいいなというのは思ったので、先にブロックを作らないようにしようと思う。

でも得意ではないと思ったんですよね。

特にシングルの時、シングルは自分で消化して自分でやるので、でも2人で組むときはお互いにちゃんと理解しあわないと動けないし、演技としてもぶつかってしまうので、それを伝えるためには、我慢していたらどこかしらにほころびが出るし、言った上でお互いが納得して、前に進むみたいなことをしていかないと本当にいいものはできないとやってみて経験した。でもこれはほかのことでも一緒だと思うので、苦手なんですけど、人は分かってくれないという、自分の思いは誰も分からない。分かってくれないのでななくて、分からない。正直、僕も分からないし、相手のこと。こういうことを学びましたね。

日常生活にも通じますよね。

本当にそうだと思います。

アイスダンスをすることで、自分を振り返れたということですか。

振り返れたというよりは、意外に…。そんなに頑固だとは思ってなかったんですけど、けっこう僕は頑固なんだと思って。けっこう周りからは“頑固だ”と言われるけど、自分では納得していなかった。でもやってみて“本当に頑固なんだ”と思って、はい、反省しています。今まで、コーチとか、こういう気持ちだったんだなとか、今になって分かる気持ちがたくさんあって、“本当にごめんなさい”という気持ちで、今はいます。

引退を考えてから分かった?

引退というよりも、いろんなことをやっていくうちに、年齢的にも8つくらい離れているので、自分が8個下のとき、あるじゃないですか、熱い思いのまま突っ走るみたいな。これをどう止めるかというところとか、これは悪いことではない。だけど、サポートしている人たちはこういう気持ちだったのかな、とかも逆に学んだりとか。

村元さんと頑張る中でどのように導いていくかとか。

そうですね、逆に僕も導かれていましたけどね、お互い様でした、それは。

【シングルとアイスダンス 競技に向き合う気持ちの変化】

1つ気になっていたのが、引退会見の中で「アイスダンスで競技復帰してからの自分が好き。できない自分を受け入れることができるようになったし、自分を褒められるようになった」と言っていたが、この気持ちにたどり着けたのは、どういったところからなんですか。

アイスダンスをしていると本当にできないところしかなかったんです。自分を責めて責めて責めて過ごした。そうすると、どんどん自信をなくしていって、自信がないのは伝わるし、パフォーマンスにも影響するし、そうなってくると向こうも心配するからうまく回らなくなってきて、ちょっとでもいいから、できたことを褒めて、それを自信に変えていくと、こっちも安心するし、パートナーも安心するし、無理くりにでも自信をつけるためにハードルを下げて褒めていったら逆にいい効果になったところもあって。そうやっていくうちに、自分も楽になっていった。できない自分を受け入れられるようになって、もっと素直に物事を捉えられるというか、そういう感じだったので、視界が開けるではないですけど、そういう気持ちを感じたので、そう発言したと思います。

シングルの時はできない自分を受け入れるのは難しかったのか。

男子シングルではバンクーバー五輪で日本選手初の銅メダルを獲得

そうみたいですね。そんなつもりはなかったんですけど、意外に受け入れていなかったんでしょうね。

振り返ってみると、そう思う?

振り返ってみると。

仕事をしていてもできない自分。このあいだもお伝えしたんですけど、同じ1986年生まれというのもあって。なかなかできない自分を受け入れられないぞというところもあって。

いいんですよ。できないものはできないんだから。人のせいにします。

だからこそできるところとか、強いところとかをちゃんと伸ばしていくのか。

そうですね。できないところを伸ばしていこうとは思いますけど、そこにスタックというか、とどまる。がんじがらめになってしまったら、できるものもできないじゃないですか。その時間がもったいないと思ってしまったので、できないものはできないなりにやっていって、できるものを。そこにとらわれずにできることをやっていったら、たぶんこれもついてくるのではないかなって感じ。あとからやらなくて、やってみたらできたりするじゃないですか。そういうこともあるじゃないですか、できないこともありますけど。それは本当にできないんだなと受け入れるから。“もう私は無理です”だとしたら、“じゃあ、できないから選択肢はほかに何をしたらそれをフォローできるのかな”とか見えてくるかなとかいう感じですね。

第2の競技人生、アイスダンスというのはいいこと、ポジティブが多かったと感じるんですけど、どうでしょうか。楽しかったのか、きつかったのか。

きつかったです。めちゃくちゃ大変でした。でも大変な分、本当にできた時の喜びは1人でやっていたとき以上。2人で頑張っていくので、それ以上の喜びを得られるので、何事もよかったときは…。日本語が出てこない。帳消しじゃないけど。悪かったことは帳消しになりますね。きつかったことか。悪かったことではなくて。相殺だ。相殺されると思う。

インタビュー全文は第3回に続きます。

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