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岡山県津山市 介護施設 人手不足解消のカギは「子育て支援」?!

NHK岡山「もぎたて!」リポート
  • 2023年06月16日

「1128人」。何の数字か分かりますか。岡山県の介護施設で2023年に不足すると見込まれている職員の数です。国の調査結果で明らかになりました。少子高齢化などの影響で、人材不足が深刻になっています。こうした中、人材確保で成果を挙げている介護施設が津山市にあります。カギは、積極的な「子育て支援」です。
(岡山局・國武桃子記者)

“さまざまな働き方”で

津山市にある特別養護老人ホーム「高寿園」では、24時間体制でケアを行う入居者やデイサービスの利用者などおよそ100人を90人以上のスタッフで対応しています。

スタッフの9割が女性で、子育てをしている人も多くいるため、仕事と両立できるように、希望する時間に働けるように柔軟にシフトを組んでいます。1日数時間だけの人もいれば、早朝のみ、さらに、夜から朝にかけて働く人など勤務時間はさまざまです。子どもが3歳になるまでとする企業が多い「時短勤務」も小学校6年生までに拡大し、短時間でも福利厚生などが整う正社員として働くことができるようにしています。

仁木則子施設長

子育てに価値を置きたい人たちがいる中で、パートというよりは短時間でも正社員というところの安定や専門職としてのプライドを大事にしたいと思っている。職員が働きやすい時間帯を増やしていったら、どんどんどんどん増えて、73パターンまで増えた

きっかけは“中堅職員の大量離職”

この施設で、子育て支援が始まったのは15年ほど前。20代後半から30代の経験豊富な女性スタッフが相次いでやめたことがきっかけでした。子どもの看病や学校の行事などの際、柔軟に休みが取れないことが大きな要因でした。

慣れている中堅の職員がいなくなり、新しい人が入ってきても、育成の期間が必要になるので、すぐに適切な介護ができるわけではなかった。今までどおりのサービスの提供ができないという危機感があった

“現場の声”を取り入れる

離職を食い止めるために施設が立ち上げたのが、子どもを持つスタッフが集まる会議です。働きやすい職場を作るために現場の声を積極的に取り入れようと、2か月から3か月に1回開催しています。取材をしたこの日も、「時短勤務」について、率直な意見が交わされました。

スタッフ

子どもが今、小学校の4年生なんですけど、できたら子どもが中学校卒業まで時短勤務ができたらありがたい

スタッフ

中学校ぐらいになると習い事が増えて送迎が必要になる場合もある。子どもが中学生でも希望者は時短勤務の正職員を選べることはメリットがあるのではないか

参加したスタッフはこうした意見交換について、「日頃、働き方について胸の内にためている人も多いと思うが、この会議でみんなに周知できるので、安心して働くことができる」と話していました。

“子連れ出勤”も可能に

スタッフの意見も取り入れながら働き方を改善したことで、今では、手続きなしの子連れ出勤も可能になりました。

取材した日も、施設には子どもの姿がありました。午後4時までの時短勤務で働くスタッフが、学校が休みだった小学4年生の息子を連れて出勤するなどしていたからです。親が働いている間、子どもたちは空いている部屋で勉強をしたり、感染対策を徹底したうえで、入居者と一緒にパズルをしたり、散歩をしたりして過ごしていました。

施設入居者

小さい頃から、お母さんと一緒に来ているので、私の横に座ってもらって、かわいがっている。子どもたちと遊ぶことは楽しいし、気持ちが踊る

子どもたちにとっても高齢者との触れあいや、親の働き方を間近で見られることは、貴重な経験になっています。

母親と一緒に施設に来た小学4年生の息子

お母さんはいつもおばあちゃんたちをお世話して頑張っていてすごいと思う。こんなに大変な仕事なんだなと思った

子連れ出勤をしたスタッフ

施設では学校では学べない社会が実感できる。息子には人への態度などを学んでもらえたらなと思って、一緒に出勤している

子連れ出勤が可能になったことで、働けるスタッフの数が増え、人員確保の面で施設側にも大きなメリットになっているといいます。

継続的な改革で働きやすい職場を

10年以上かけて少しずつ改善を重ねながら、地道に取り組んできた子育てとの両立支援によって、この施設では、出産や子育てなどが要因の離職がほとんどなくなりました。こうした柔軟な働き方は、子育てだけでなく、親の介護などでも活用されているということです。きつくて大変というイメージがある介護の仕事ですが、積極的な子育て支援が人材確保の大きな支えとなっています。

 

子育て支援の制度を整えることは結局、働きやすい職場環境を考えることとイコールだと思う。いきなり100点の制度を作ろうとするのではなく、マイナーチェンジをしながら、より現状にあったものに変えていく。やり続けることが大事

  • 國武 桃子

    岡山局コンテンツセンター 記者

    國武 桃子

    平成29年入局 県政や
    教育、子育てなどを取材

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