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2021年3月1日(月)

逆境の中でも新たな学びを ミャンマーの日本人学校

ミャンマー最大の都市・ヤンゴンに日本人の子どもたちが通う学校があります。新型コロナウイルスの影響ですべての授業をオンラインで行ってきましたが、さらに2月にミャンマー国内でクーデターが発生。対面での授業の再開の見通しは立っていません。そんな逆境の中でも子どもたちは新たな学び方を見つけています。

国境を越えてつながる オンライン“教室”

ヤンゴン日本人学校で小学3年生の担任をしている福島正世先生。オンライン授業でも子どもたちの集中力が途切れないように、子どもたちの表情を気にかけたり、体の動きを取り入れたりして、工夫しながら授業を進めています。

この授業を受けている子どもの1人、田部冬真さん。最初は画面の中で進む授業に戸惑いもありましたが、いまでは授業の時間を楽しみにしています。

田部冬真さん
「みんなで意見を出しあったり、考えたりすることが楽しい。」

ヤンゴン日本人学校に所属する76人(2021年2月現在/幼稚園・小学校・中学校の合計)のうち、福島先生が教えているのは小学3年生の7人です。感染拡大が続く中で、一時的に日本などで生活している子どももいて、直接教室で会うことはできません。先生も日本から授業をしていて、国境を越えてつながっています。

いまだからこそできる学びを

授業がすべてオンラインになったことで、運動会など、みんなで集まれる機会はなくなってしまいました。そこで福島先生は総合学習の時間を使ってオンラインでの発表会を開くことにしました。

題材に選んだのは、日本の中古車両「はまかぜ」が海を渡り、ミャンマーに届けられる物語。ミャンマーで再び走った「はまかぜ」が、地元の人たちに愛される様子が描かれています。

発表会に向けて、子どもたちは「はまかぜ」がいまどうしているのか、知っている人にオンラインで話を聞くことにしました。すると、「はまかぜ」は故障して動かなくなってしまったことが分かりました。そこで、修理の予定についてミャンマー国鉄への質問状を作って問い合わせるなど、着々と準備を進めていきました。

福島正世先生
「絵本の作者の方に発表会をお知らせする?」

子どもたち
「はい、します!」

さらに、この日の話し合いでは、発表会当日は絵本の作者や「はまかぜ」を送り出したJR西日本の担当者もオンラインで招待し、発表を聞いてもらうことも決まりました。

そして迎えた発表会の日。子どもたちは2か月をかけて準備してきた研究成果を披露しました。

子どもたちの発表
「ミャンマー国鉄の方によると2015年にはすべての『はまかぜ』が動かなくなったそうです。」
「『はまかぜ』はもう動いていないこと、修理の予定はないことを知って、私たちは本当に悲しかったです。」
「いつの日かまた『はまかぜ』が元気な姿で走っていることを私たちは信じています。」

発表を聞いた絵本の作者の村中李衣さんは、絵本に描くことのできなかった「はまかぜ」のその後を知ることができたと喜んでくれました。

村中李衣さん
「みんなが丁寧に教えてくれたので、ミャンマーに行ったような気持ちになれた。」

子どもたちは制限がある中でも、さまざまな人とつながり、新しい挑戦ができたことに達成感を感じていました。

子どもたち
「コロナウイルスがなかったら、オンライン発表会やインタビューはできなかったかもしれない。」
「コロナがあってもいろいろ学べてよかった。」

福島正世先生
「最初はできないことばかりだと思っていましたが、意外にできることは多くありました。子どもたちの適応能力はすごいと思います。」

パソコンの画面上でも自然にコミュニケーションをとって、遊んだり学んだりする子どもたちの前向きな姿が印象的でした。ミャンマーではヤンゴン市内の住宅街でも、デモに参加した市民に対して発砲が頻繁に発生するなど、予断を許さない状況が続いています。日本人学校も今後いつ再開できるのか、見通しは立たないままですが、以前のような日常が早く戻ってくることを願っています。

取材:細川雄矢ディレクター(おはよう日本)

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