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2020年12月10日(木)

なぜ? “居場所がない”苦悩する若年女性

ことし(2020年)6月、ある女性支援団体が10代・20代の女性800人以上に、家や家族のことで困ったことがあるか聞いたところ、およそ6割が「ある」と答えました。
新型コロナウイルスの影響で、学校やアルバイトが休みになり、家で親と顔を合わせる時間が増えたことで、虐待や干渉などに苦しむ人が増えているのです。中には家にいられなくなったという人もいます。

若年女性の駆け込み寺

こうした、居場所をなくした10代や20代の女性たちが集まる場所があります。
東京・秋葉原に、ことし7月にオープンした「まちなか保健室」です。

保健室では臨床心理士、弁護士、保健師などが女性たちの相談に乗り、必要な支援につなげています。

立ち上げた村木厚子さんの思い

この保健室を立ち上げるきっかけを作ったのは、元厚生労働事務次官の村木厚子さんです。
村木さんは、厚生労働省に務めていたとき、課長在任時の案件で誤認逮捕され、半年近く拘置所で過ごした経験があります。そのとき、若い女性の受刑者の中には、家という居場所を失い、街で薬物や売春などの犯罪に手を染めた人が多いことを知り、4年前、10代や20代の女性を支援する「若草プロジェクト」を立ち上げました。

若草プロジェクト 代表呼びかけ人 村木厚子さん
「本当に厳しい状況にいる子たちが、つらくて薬に手を出したり、あるいは絶対1人で食べていかなきゃ、って思って風俗のほうにいっちゃったり。どうして、もうちょっと手前で相談に乗って支援ができなかったのかなと思った。」

助け求め家出する女性も

保健室では助けを求めた女性たちを保護し、新たな住まいを見つけるまで支援することもあります。ことし5月に保健室にやってきた女性(23)も、その1人です。
女性は新型コロナの影響で、進学するはずだった大学院に通えなくなりました。その後実家に連れ戻され、親から激しく干渉を受けるようになりました。

女性
「父がけっこう怒りやすいタイプで、どなったり、暴力もありました。家にいられなくて友達の家にいたら、そこにまで親が来てしまって、もう私行く場所ないんだと思って。」

表面化する性的虐待

長年見過ごされた、性的虐待から逃れてくる女性もいます。この保健室で継続的に支援している19歳の大学生は、義理の父親からの暴力や性的虐待に6年余り、苦しんできました。

大学生
「胸とかが発達してきて女性的な体になってきたとき、触られたり、指を入れられたりとか、それを母親に1回言ったら『そういうことされて喜んでるんでしょ』って言われて、1回、児相の人に『お父さんがお風呂に一緒に入ってくる』って話をしたら、仲いいんだねみたいに言われて、話しても無駄なんだなって。」

女性はここで保護されたことで、ようやく親から離れて暮らすことができました。
女性の保護にあたった、若草プロジェクト代表理事の大谷恭子弁護士は「保護した子で、死にたいというふうに言わなかった子はいない。みんな死と隣り合わせにいる。」と女性たちの窮状を訴えています。

若年女性の新たな居場所を

しかし、若年女性にとって、家に代わる居場所は少ないのが現状です。18歳を超えると「児童福祉」の対象にはならず、他に代わる制度がないため、国の支援からこぼれ落ちてしまうのです。
村木さんたち若草プロジェクトでは、こうした現状も打開したいと活動しています。全国の女性保護施設やDV・子どもシェルターと連携して、女性たちの受け入れで協力する体制を作ろうとしています。

全国の各施設も、新型コロナの影響で厳しい経営を迫られています。そこで、企業にも連携を呼びかけ、生活用品などを提供してもらうインターネット上の仕組みを開発しました。すでに大手アパレルや食品メーカーなど、数社が参加しています。
プロジェクトと連携する施設の1つ、「カリヨン子どもセンター」では、18歳以上の女性も受け入れるシェルターと、自立援助ホームを独自に運営してきました。この仕組みによって、受け入れ体制を強化できると期待を寄せています。

カリヨン子どもセンター 石井花梨事務局長
「着の身着のままで逃げ出してくるケースも多いので、衣類や食品の提供はとても助かります。その分1人でも多く、安心して暮らせるよう支えたいです。」

感染拡大の影響で、今後もさらに居場所をなくす女性は増える懸念があります。1人で抱え込まずに、相談できる場所があること、支えたいと思っている大人たちは必ずいることを、ぜひ知ってほしいと思います。

取材:石川香矢子ディレクター(おはよう日本)

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