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2020年7月1日(水)

増えていませんか? プラスチックごみ

7月から始まったレジ袋の有料化は、プラスチックごみを削減する一環として実施されるものですが、最近、このプラスチックごみについて見過ごせない動きがあります。いま、新型コロナウイルスの感染拡大によって、逆にプラスチックごみが増えかねない状況だというのです。その実態を取材しました。

<この記事のポイント>
◆7月から全国の小売店でプラスチック製のレジ袋を有料にすることが義務づけられます。
◆環境省の試算によると、国内で1年に出るプラスチックごみのうちレジ袋は2%~3%ほどと見られています。レジ袋がごみの多くを占めているわけではありませんが、環境省などは、生活に身近なレジ袋の有料化をきっかけに 使い捨てプラスチックへの意識を高め、ごみの削減につなげたい考えです。
◆しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって「巣ごもり需要」が増えるなど、逆にプラスチックごみが増えかねない状況になっています。
◆フェイスシールドや飛沫防止シート、手袋など、新型コロナウイルスへの対応では便利なプラスチックに頼りがちです。専門家は「生活習慣病と同じで、ほっておけばプラスチックが蓄積していって元に戻らない。プラスチックは賢く使っていく必要がある」としています。

新型コロナ対応で「プラスチック頼み」加速

千葉県にある、家庭から出たプラスチックごみを専門に取り扱うごみ処理施設では、通常は倉庫の中に納めているごみが入りきらずに外に積み上げられていました。ことし(2020年)3月以降、持ち込まれる量が想定を上回る状態が続いていて、処理が追いつかないといいます。
ゴミの中で目立つのは、食品の容器や包装材などです。大きな原因の1つは、新型コロナ感染拡大に伴う「巣ごもり需要」で、自宅での食事が増えたことが一因だといいます。

エム・エム・プラスチック株式会社 森村努社長
「(ごみが)入ってくる量がどんどん増えますので、なかなかそれに(処理が)追いついていかない。これがいつまで続くんだろうという感じはしていますね。」

実は、私たちの身の回りには、知らず知らずのうちにプラスチック製品が増えています。
フェイスシールドに飛沫防止シート、座席の仕切り板や手袋など、新型コロナウイルスへの対応では、便利なプラスチックに頼りがちです。
これについて中部大学の細田衛士教授(環境経済学)は次のように指摘しました。

中部大学 細田衛士教授
「生活習慣病と同じで、ほっておけばどんどん、プラスチックが蓄積していって元に戻らないわけですよね。プラスチックは“賢い使い方”と“そうでない使い方”と、どこかで線引きをしていかないといけない。」

増えるプラスチックごみ 私たちにできることは

プラスチック頼みの生活を変えるため、 私たちに何ができるのか。 ある市民の気付きが、行政を巻き込んだ対策につながった例があります。
京都府亀岡市でバーを経営している吉田光慶さんは、ことし4月、ほかの店と同じようにテイクアウトのメニューを始めようとしましたが、ひとつ気がかりなことがありました。

吉田光慶さん
「ふだんお皿で出している通常営業に比べると、テイクアウトではプラスチックごみが多く出る。なんとかならないかなあと思っていました。」

そこで、吉田さんは店の常連客だった副市長に、対応策が必要ではないかと相談しました。
亀岡市では、以前から環境先進都市を掲げ、マイバッグの普及に力を入れてきましたが、新型コロナウイルスの影響で、3月のプラスチックごみの量が去年(2019年)からおよそ10%増加し、危機感を抱いていたところでした。

吉田さんから相談を受けてわずか1週間、亀岡市は4月末に、独自の政策「プラごみゼロクーポンキャンペーン」を始めました。

このキャンペーンでは、 テイクアウトのメニューを客が購入する際、マイバッグを持ってくるなど「エコな取り組み」を1つ行うと、客は10円分のクーポンを1枚受け取れます。

そして、マイ容器を持ってくるときらに1枚、プラスチックのスプーンなどを辞退するとさらに1枚と、エコな取り組みが増えるごとにもらえるクーポンが増え、1度に最大5枚もらうことができます。クーポンにかかった費用はすべて市が負担します。キャンペーンの主旨に賛同した飲食店が次々に参加し、いまでは参加事業所数が90を超え、多くの市民に根づき始めています。
吉田さんの店では、5月からテイクアウトメニューを始めましたが、いまでは、6割の人がマイ容器を持ってくるようになったといいます。

吉田光慶さん
「亀岡市の(キャンペーンの)事例を生かして、どんどん全国で取り組みが出てきて、広がっていけばと思っています。」

知らず知らずのうちに増えているプラスチックごみ。新型コロナウイルスに対応する中でも、プラスチックごみの削減は私たちが進めていかなければいけない課題です。7月から始まったレジ袋有料化をきっかけに、できることを一つ一つ考えていくことが大切です。

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