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2020年5月9日(土)

9月入学検討も 長引く休校 “学習の遅れ”どうする?

緊急事態宣言が延長される中、休校を5月末まで決めているのは29の都道府県に上っています。これらの地域では、長いところで休校が3か月間に及んでおり、保護者や教育関係者にとって大きな不安となっているのが「学習の遅れ」です。
子どもの学習が進まない理由とそれをどう取り戻すのか取材しました。

<この記事のポイント>
◆「自宅では思うように集中が続かない」不安が増す各家庭。
◆オンライン授業を導入する自治体はわずか。授業数の確保が課題に。
◆「9月入学」にはメリットとデメリットも。

子どもの学習環境を整えるのに苦労する家庭

小学2年生と4年生の子どもがいる、ある家庭を取材しました。感染拡大の影響で5月末までの休校が決定しており、ドリルなどの課題や、教育委員会が作成した科目別の動画を見て勉強するように指導されています。
しかし勉強を始めたわずか10分後、ゲームで遊び始めてしまいました。

父親 畑中康史さん
「最初のうちは授業時間ぐらいは集中力がもつというのはあったんですけど、徐々にテレビをつけながらしかできないとか、 5分10分ぐらいで“もういいだろう”みたいなところになっていますね。」

父親は、自習に慣れない小学生にとって先生やクラスメートと共に勉強できる環境が必要だと考えていますが、双方向によるオンライン授業は学校側の準備が間に合っていません。

父親 畑中康史さん
「だんだん学習意欲も落ちてくると思うので、先生との双方向の情報が得られることで、なにかしら本人の意欲も維持できるのかなと思います。クラスの子たちの顔が見えるとか、先生の声が聞こえるというだけで少しでも学校の雰囲気を感じられると思う。」

広がらないオンライン授業 授業数どう確保

あるNPOの調査によると、「休校中の学習の遅れ」が、保護者が子どもに抱く不安の最も大きいものとなっています。こうした不安を取り除くためにも双方向によるオンライン授業が求められています。しかし、日本では思うように進んでいません。
文部科学省の調査によりますと、双方向によるオンライン指導に取り組んでいる自治体は、わずか5%にとどまっています。国は小中学生に1人1台の端末を配備する事業を前倒して進めていますが、これまで、機器の導入はほとんど進んでいませんでした。

情報教育に詳しい 東北大学大学院 堀田龍也教授
「日本の学校の先生たちの教える力は非常に高くて、今までの授業をそんなに変えなくてもいいんじゃないかっていう目線があったのかなと思います。子どもたちが使う学習で使う専用の端末はありませんし、何よりも学校でオンラインで学ぶということの経験をほとんどしてません。」

そして課題となっているのが「授業時間の確保」です。
大阪府が出したシミュレーションによりますと1学期終了まで休校が延長すれば、夏休みと冬休みの取りやめ、そしてすべての土曜日での授業など先生・生徒ともに大きな負担があります。

“9月入学”気になるメリット・デメリットは

こうした状況の中で浮上したのが、入学や新学期の開始を9月に延期する『9月入学』です。

いくつかある案の1つが、今年度にかぎりことし(2020年)の4月から来年の9月までを1年とする案です。
たとえば今の小学2年生は、1年半近くあとの来年(2021年)の9月まで学年は変わりません。
そのメリットとデメリットです。

メリットとして挙げられているのが「学習時間の確保」です。
今回の事態で4月から学ぶべき内容が十分学習できていませんが、来年9月までの1年5か月で遅れを補うことができます。
そして「国際標準に近づく」。
海外は秋入学の学校が多いので、留学などが充実する可能性があるということです。
一方、デメリットとしては「小学校入学までの時間差」。
小学校の入学が9月になると、現在は3月となっている保育園などの卒園の時期をどうするか検討する必要があります。
そして、「入試・企業の採用時期」です。
現在2月や3月に行われている高校や大学入試の時期や企業が春に行っている一括採用を見直す必要もあり、作業が膨大になると指摘する人もいます。

9月入学に賛成 千葉大学教育学部 藤川大祐教授
「今後さらに感染が広がるようであれぱ第2波、第3波のときには新たに休校措置をとらなくてはいけない可能性がある。そういうことから考えますと、いま無理して予定を詰め込むのではなく、早く終わればもう休みにするんだというくらいのつもりでスケジュールを組み直した方が現実的だろうと考えています。」

9月入学に慎重 教育研究家 妹尾昌俊さん
「さまざまな(法律などの)改正に向けての作業が必要になります。貴重なマンパワ一なり時間なりがそこに割かれるっていうことになるわけですね。国の方で少し学習指導要領を弾力的にもう少し見直したり、一部は精選といいますかカットをしたりですとか、柔軟にもっと考えていっていいんじゃないでしょうか。」

なお、政府は「9月入学」に変更した場合の影響や課題の洗い出しを進めているということです。

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