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2020年4月28日(火)

「危機は必ず乗り越えられる 逆にチャンスだ」 日本電産 永守重信 代表取締役会長(CEO)

モーターの世界トップ企業・日本電産の永守重信さんです。永守さんは、47年前に日本電産を創業、当時は従業員3人の零細企業でした。その後、世界中の会社をM&Aで買収するなどして、売上高1兆5千億円の大企業に育てあげたカリスマ経営者です。コロナ危機を機に経営を見つめ直し、企業は変わるべきだと言います。そして「危機は必ず乗り越えられる。逆にチャンスなんだ」と熱く語ってくれました。

(聞き手:高瀬耕造キャスター)

Q:世界的に新型コロナウイルスが感染拡大する中で、いまの状況を永守さんは、まずどのようにみていらっしゃいますか?

永守重信さん:
過去は経済的な問題で、いろんなことにぶち当たりました。でも今回は人命というのが表に出ている。ですから過去とはもう全く違う危機に遭遇しているわけです。今回は人命が第1やぞと。君自身がまず命を守れということ。家族を守れと。会社はその次でいいと、今は。こんなことを僕が言うのは初めて。

コロナが終わったときには、わたしは、世界の景色はガラリと変わりますよと、今社員に説明している。今回のコロナは、確かに危機で、大変な時代なんですけれども、そこから立ち向かって学ぶ。立ち向かわないと学べないんですよ。逃げてばっかりで学ぶことありません。やっぱり堂々と立ち向かっていくということによって、今までのやり方を変えていくと。私、50項目ぐらい書いたんです。これを順番に改善・改革しようと考えて、今実行しています。

テレワークは今後普及。しかし課題も…

永守さん:
今後は、会社に来なくていいですよと。田舎に家を建てて、そんな都会じゃなくて。例えば東京だったら八王子よりもっと奥のほうに。広い土地に。家には、自分の仕事部屋ひとつ作ってくれませんかと。その代わり会社に来るのは、毎日じゃなくて、月に1回や2回でもいいですと。

今のテレワークは実際に仕事の結果を見ていると、仕事の内容によっては非常にうまくいっている部分もあります。だけど多くは、いまはまだテレワークになってないんです。はっきり申し上げて。
生産効率というか、仕事の効率が客観的にみても半分以下。場合によっては3分の1ぐらいしか実際の仕事はできていないです。現状はやはり人命が大事ですから、仕事の効率を云々している段階ではない。しかし、今からこれを変えていかないと。というのは、日本人というのはやはり相互監視といいますか、広い部屋で、そこに課長がおったり部長がおったりして仕事をしているわけです。怠けないように。ところが欧米人はそんな相互監視なんか必要ないんです。マネージャーになったら自分の個室におりますし、一般社員でも、完全なブースではないけど囲いの中で仕事をしている。こんなことを言うと叱られるかもしれませんが、日本人は、うっかり個室なんかにいたら居眠りしたり、そういうことが起きるのが日本の国の悪いところなんですよ。今は緊急事態だから、仕事の効率が悪くても許してますけど。だけど、これは徹底的に意識を変えていただかないと、テレワークは成功しない。あなた自身のことはあなた自身が、自己管理をしてくださいと。自己管理を。ところがまあ、見てもらえば分かりますけど日本の場合は自己管理できる人なんて少ないんですよ。というのは、欧米は、何かあったらクビになるんですよ。自分のノルマが達成できなかったら。

Q:テレワークを緊急避難的に使うんではなく会社のあり方そのものを、今、見直さないといけないタイミングにきてるということなんですね。

指示を受けなくても、どんどん前に仕事をして、短時間で仕事を終えていくということをやれるような社員が育っていかないと。まず、そういうことが出来る働き方改革。いちばん大事なことは日本人の働き方の意識を変えないと。抜本的な、やはり意識改革も含めた人事制度とか、それからいわゆる賃金制度とか、そういうものをガラッと変える必要がある。

サプライチェーンの再構築を行う

Q:サプライチェーンの問題、今後どうしていくのか、具体的に聞かせていただけますか。

私はなぜ世界にこれだけの工場を作ってきたかといいますと、リスク分散のために広げたわけですね。例えば米中対立の問題でも、中国からがダメだったら、同じものを別の国から供給できる態勢をとった。ですからそれによっては非常にうまくリスク分散をやったんじゃないかというふうに考えておったんです。ところが、世界中の国が同じような状況になるということは、想定していなかった。そういうところは反省点ですね。
1次、2次、3次、4次と下請け企業を見ていくと、こちらが想像もしないような国から部品を買っている。その部品が1点ないために、生産ができないということが今回見えてきたわけです。それを今後は作り直すと。これには数年かかると思います。やっぱりもっとお金を投資していくほうが、リスクが少ないという考え方に僕はなっています、今。

ピンチこそチャンスになる

Q:コロナ危機が収束したあとも世界経済が回復するには時間がかかるという見方もあります。永守さんはどのように見てらっしゃいますか。

今からもっと、これよりもっと、厳しい困難がくるかもしれません。わたしはそれを乗り切っていける自信があるんですよ。わたしは零細企業からやってきたのでわかるんです。どんな困難でも、絶対に乗り越えられると。何十回という困難を乗り越えてきましたんでね。
悪いときは、やっぱりみんな萎縮します。でも、意識の高い社員をもってる会社は、より強い勢いになれるということを、過去にも何回も経験している。リーマンショックのときもそうでした。あのときはピンチをチャンスに変えることができました。リーマンショックの後は、成長はものすごく加速したんです。

わたしは47年間この会社をゼロから立ち上げた。全くのゼロから会社を作ってきました。だから申し上げる。困難がきたって、どんなに無茶苦茶でも その困難が ちゃんと解決策をもってくる。
「ぶつかってみろよ」と。「ぶつかってみたら、そこに答えがある」と。自分は何もしないで、全部国がやってくれるとか、銀行が貸してくれるとか、というふうに思ってやっていると、グローバルの激しい競争社会では負けてしまいます。

中小企業の経営者の方も悲しんで暗い目で将来を見るんじゃだめだ。必ず解決すると。この問題も。従業員に対して勇気を与えるのが経営者の役目。経営者が、なんか嘆いて、国のせいにしたりしだすと従業員もそうなっちゃうんですよ。経営者は中小企業とか大企業とか関係ないんです。やっぱり1人でも2人でも部下をお持ちの方は、部下が、元気を出せる話をしないといけない。暗い話ばっかりではだめですね。
今回の谷は深いなと。でも深けりゃ深いほど次に高い山が待ってると。私は社員や幹部には、こういうときにこそ差がつくぞと言っている。だから必死に頑張ろうやないかと。やっぱり最後は わたしの答えは、自分の力を信じて、また自分たちの従業員の力を信じて頑張れば必ずいい結果が待ってると。今回も、みんなが危機感を持っている。だからこそ、こんなチャンスはないんです。みんな危機感を持って私の話なんかも真剣に聞いてくれる。だから、このチャンスを生かしてね、やっぱり明るい将来をつくっていくんだと。そういう気持ちを持つべきですね。

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