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2020年3月18日(水)

こもりがちな高齢者 健康に影響も…

新型コロナウイルスの影響で出かける場所が少なくなり、家にこもりがちになるお年寄りが増えています。こうした状況が長く続くと、体力や認知機能の低下にもつながりかねず、注意が必要です。

新型コロナウイルスの影響 外出控え、こもりがちに

お年寄りに話を聞こうと東京豊島区巣鴨の商店街にやってきたところ…。通りの先の方まで見通せるほど人通りがまばらです。そんな中、買い物に来たという2人の女性は…。

「なるべく家にいるようにしてます。子どもに怒られるから。」

「ただ、何にもしないで家にいても、足がだめになるから。」

お彼岸の墓参りのために久しぶりに外出したというご夫婦は…。

「外出は控えてますけどね。寂しいですよ。年寄りだから家で本読んで、テレビでも見ていればということですけれど、それだけでは。」

大阪に住む至田ヨシ子さん89歳。大きな持病もなく、健康に暮らしていました。ところが、週2日、介護予防のために通っていたデイサービスが今月(3月)から当面休止に。お年寄りが集まる地域の催しも、すべて中止になりました。近くに住む娘は、元気がなくなってきていると心配しています。

娘 美恵子さん
「外に出ないということは心配ですよね。年も年だから。もちろん運動の機会も減っているし。」

家にこもりがちな高齢者 体力・認知機能低下も

新型コロナウイルスの影響で、高齢者がどんな状況に置かれているのか、まとめました。
老人ホームなどでは面会や外出の制限されていたり、自治体が開いている体操教室なども休止。図書館などの利用が制限されたり、体を動かしたり、人と接したりする機会が減って、家に閉じこもりがちになっています。こうした状況が長く続くと、高齢者の健康にも影響を与えかねません。どんな影響があるのか、どんな対策が有効なのか、日本老年医学会の理事長、秋本雅弘さんに話を聞きました。

まず、影響については、以下の2つ。

◎体力の低下。
動かなくなると、歩くことや身のまわりのことがしにくくなったり疲れやすくなったりして、さらに動かなくなるという悪循環に陥ってしまう。たとえば、高齢者が2週間寝たきりでいると、7年間で失われる量と同じ筋肉量が失われると言われている。

◎長く続くと、認知機能の低下。
人と会わなくなると、話さなくなる。話さなくなると、伝えたいことを覚えたり、順序立てて伝えたりなど、考える力の低下につながる。

新型コロナウイルスは、高齢者や持病のある人が重症化する傾向があると言われているので、外へ出かけることに抵抗を感じている高齢者も多いと思います。外出を控えるかべきかどうかについては…。
政府の専門家会議では、①密閉された空間で換気が悪い。②近距離での会話・発声が起こる。③手の届く距離に多くの人がいる。という3つの条件が同時に重なるような場所での行動を避けるように呼びかけています。つまり、混み合った時間帯や場所を避ける工夫をする。帰宅の際には手洗いを忘れずに。このようなことに注意すれば、外出してもよいのでは、と秋下さんは話しています。

衰え防ぐには

では、感染も予防しながら体力や認知機能の低下を防ぐには、どうすればいいのでしょうか。ポイントを3つあげてもらいました。①『運動』②『生活リズム』③『つながり』。

①『運動』について
秋下さんがおすすめするのは片足立ちとスクワット。
片足立ちは、テーブルなどを支えに軽く足を上げる。これは体の体幹を鍛えバランスをよくする。
スクワットは両手をついて立ち上がったり座ったりする。足を運ぶ太ももを鍛える。おすすめは、テレビを見ながらとか、“ながら”でやること。でも、無理はしない。1日30分。10分を3回に分けてもよい。

②『生活リズム』について
◎予定がなくなり朝起きるのが遅くなる。歯を磨かない。パジャマのままで過ごすなど、生活リズムが崩れ、不眠など体の不調を招くことも。
◎食事も大切。決めた時間に朝昼晩きちんととる。できるだけ、これまでの生活リズムを変えないことが大事。
◎新鮮な食材を買い物して、新しい献立に挑戦するなど、よいのでは。

③『つながり』について
家にこもると、話す時間が減り、孤立。さらに続くと、うつを招くことにも。有効なのは電話。また、周りの人、遠方にいる家族がいつも以上に気にかけてあげること。話すことは口も動かすし、頭も働かせる大切な行為。
新型コロナウイルスに感染することをおそれて、お年寄りは家にこもりがちなっていますが、そのことが別のリスクを招くことにもなりかねません。
適度に体を動かすこと、生活リズムを崩さないこと、人と人とのつながりを保つことを心がけてほしいと思います。

秋下さんが理事長をつとめる日本老年医学会では「新型コロナウイルス感染症」高齢者として気をつけたいポイントをまとめています。こちらをご覧下さい。(※NHKサイトを離れます)

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