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2020年3月4日(水)

被災地の海はいま

東日本大震災から1年半後、岩手県大船渡市越喜来湾の海の中は、ガレキで埋め尽くされていました。
震災以来、被災地ではその撤去作業など、豊かな海を取り戻すための取り組みが続けられてきました。

東日本大震災から9年 被災地の海はいま

岩手県大船渡市、越喜来湾の海に潜って、取材することにしました。潜ったのは、震災後に新たに作られた防波堤から沖に30メートルほど離れた海中です。

画像は岩手県大船渡市の沖合、深さは10メートルほどの海の中です。大量のガレキの撤去は進みましたが、今も海に残っているのが津波で流された「防波堤」です。大きな物では、幅5メートル。重さはおよそ60トンあります。
船を留めるために使われていたとみられるロープや、むき出しの鉄筋もありました。津波の力の大きさがうかがえます。

今もなお、被災地の海に大きな影響を残しているものが、ウニです。ところがこのウニは、食べられる身はほとんど入っていません。震災後、三陸の海では、原因はよくわかっていませんがウニが大発生しています。

ウニは、エサとなる海藻を食べ尽くしてしまいました。海底には海藻は見当たりません。岩肌がむき出しになって海底が真っ白に見える現象は、「磯焼け」と呼ばれています。この磯焼けで、海藻を食べる三陸特産のアワビにも深刻な影響が出ています。
磯焼けは、地元の漁業者にとって深刻な問題です。大船渡市で開かれた勉強会では、ウニが海藻を食べ尽くしてしまい、特産のアワビが育たない現状が報告されました。岩手県のアワビの水揚げ量は、震災前の3分の1ほどです。

越喜来湾では、地道な努力が続けられてきました。5年ほど前から地元の漁業者やダイバーによってウニを取り除く作業が続けられています。およそ30分で、500個あまりのウニがとれました。

しかし、これらのウニはエサの海藻がないため、身がやせていて食べられません。

漁師 澤田保さん
「ああいう小さいのはぜんぜん商品価値ないんで。駆除しないことには話にならない。」

さらに、ウニを取り除いた海で、コンブを増やす取り組みが続けられています。コンブが入った袋、350個を設置。コンブの胞子を、まわりに根づかせるのがねらいです。

設置からおよそ3か月たった画像です。コンブの胞子が無事に岩に付着。10センチほどに育っていました。

一方、駆除したウニの有効活用も検討されています。
北里大学の研究施設では、身がやせたウニを育てるため、エサの研究をしています。ワカメの茎を与えたり、海藻や魚を配合したエサを与えたり、ウニの成長の違いを調べました。

その結果、エサを与えていないウニに比べ、開発したエサを与えたウニは格段に身の入りがよくなることがわかりました。今後はさらに、天然の味に近づける研究を続けるとのことです。

東日本大震災から9年がたとうとしている今も、豊かな海を取り戻すための取り組みが続けられています。 以前のような海に戻るまでにはまだ長い時間が必要ですが、被災地の海は復活に向けて一歩ずつ前進しています。

取材:河村信カメラマン 山口卓也カメラマン(潜水取材班)

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