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2020年2月20日(木)

おもちゃでアップ?女子の理系脳

おもちゃを買うときも子どもの知能の発達に少しでもいいものをと、つい考えてしまうのが親心ですが、光ったり走ったりするおもちゃは男の子、かわいいお人形は女の子と、決めつけていませんか?こうした決めつけのせいで、女の子が算数や理科に興味を持てなくなっているのではないかという声が海外では以前からありました。いま、日本でも「理系女子」を育てるおもちゃの開発が進んでいます。

ロボットを動かし、マス目に置かれた洋服やぬいぐるみを集めていく、おもちゃ。ロボットの動きを決めるのは、矢印のカードです。あらかじめ、前、右、右、右、など入力するとその通りに動きます。5歳以上の子どもをターゲットに、コンピューターのプログラミングの基礎が学べるおもちゃとして来月(3月)、発売が予定されています。オシャレやかわいいものが大好きな女の子が、楽しみながら学べるのがポイントです。

このほかにも電気が通ると音が鳴る“ピアノ”。カギとなるのが鉛筆です。鉛筆の芯の炭素は電気を通すため、鉛筆で塗りつぶすと音が鳴ります。どんなものが電気を通すのか?音楽が好きな女の子に、演奏しながら学んでもらうのが狙いです。

開発担当者 上原麻里衣さん
「女の子は、お母さんたち世代も含め、理系が苦手という意識があります。おうちなどで楽しみながら、お母さんたちにも理系の楽しさが、伝わっていけばいいと思います。」

女の子のおもちゃについては、イギリスの教育担当政務官が、「女の子向けのおもちゃが数学や理科から女子を遠ざけている」と指摘して議論が起きるほど、海外では重要な問題になっています。

日本でもおなじみ、アメリカ製の人形のシリーズに登場したのはパソコンを手にしたコンピュータープログラマーです。このほかにも宇宙飛行士に科学者、医師に天体物理学者などかわいくてカッコイイ、「理系女子」が次々と発売されています。さらにアメリカでは女の子の心をくすぐるよう色やデザインにこだわった、パーツを組み合わせて家や車を作るおもちゃも人気です。

一方、日本は理系に進む女性が少なく、例えば大学で科学を専攻した女性の割合は、他の国と比べてもかなり低いと言われています。4月から小学校でプログラミング教育が必修化されるため、民間のプログラミング教室は大盛況ですが、ここでも女子は出遅れ気味です。どの教室も生徒の多くは男の子です。

プログラミング教室 広報 桑野悠一郎さん
「やはり『男の子は理系、女の子は文系』というイメージは、保護者の方にもあるかなと思います。そういうことも参加者の男女比に関係してるのかなと思います。」

理系女子が育ちにくい日本で、理系に興味をもってもらうための女の子向けのおもちゃは受け入れられるのでしょうか。子どもが実際にどんな反応をするのか取材しました。協力してくれたのは櫻井愛さんと5歳のさえちゃん親子です。これまで、さえちゃんのおもちゃといえば、ままごとセットや赤ちゃんの人形など、いわゆる「女の子のおもちゃ」ばかりでした。しかし、愛さんは最近、プログラミング教育が始まることもあり、さえちゃんに理系の分野にも今のうちから親しんでもらいたいと考えています。

さえちゃんの母 櫻井愛さん
「苦手意識を持たせる前にもっと身近に感じていたら、そういう世界もすっと入っていけるのかな。自然に遊びながら理系の世界に興味を持ってくれたらいいかなと思います。」

この日、櫻井さん親子は、女の子向けの理系のおもちゃのイベントに参加しました。
さえちゃんは、ロボットに動きを覚えさせるプログラミングおもちゃに興味を示しました。初めての理系のおもちゃはさえちゃんの心をつかんだようです。いろいろなものへの興味が育まれるこの時期、母親の愛さんはわが子の可能性を広げるため、幅広い遊びの選択肢を示すことが大切だと感じています。

さえちゃんの母 櫻井愛さん
「なんとなく親がこういう方向が好きなんだなと決めつけるより、いろいろなことを体験させて、いろいろなことに興味を持たせられたらいいなと思います。」

こうした女子向け理系おもちゃのニーズの背景には、国と親、それぞれの期待があります。まず国は人口減少とIT化が進むなかで、将来の日本の経済を支えるのは理系人材だとして、育成に力を入れています。一方、親はわが子にIT社会で活躍してほしい、AI=人工知能が発達しても仕事が奪われない人材になってほしい、そのために選択肢を少しでも増やしたいという切実な思いがあります。

では、自分は文系で、理系は苦手という親は子どもをどう育てていけばいいのでしょうか?

幼児期からの女子の理系教育を研究する日本体育大学の稲田結美准教授は「男女の差よりも子どものころ、どんな遊びをしたかで、興味関心が左右される。遊びの中で理系への関心を育んでいくことが大切」と指摘しています。

私にも1歳4か月の娘がいますが男の子のおもちゃ女の子のおもちゃと区別なく、いろいろなもので遊ぶ機会を作ってあげることが大切だと思いました。

取材:松田伸子(社会部)

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