これまでの放送

2020年1月6日(月)

東京2020開閉会式総合統括 野村萬斎さん

シリーズでお伝えする「2020インタビュー」。
東京オリンピック・パラリンピックに熱い思いを寄せる皆さんに話を聞いていきます。
初回は狂言師の野村萬斎さん。
東京オリンピック・パラリンピックの、開会式と閉会式を統括する責任者として重要な役割を担っています。

高瀬キャスター
「いよいよ2020年、東京オリンピック・パラリンピックまであと半年余りとなりました。
萬斎さんの心境はどうですか。」

東京2020開閉会式総合統括 野村萬斎さん
「ドキドキしますね。」

開会式・閉会式の統括責任者として

高瀬キャスター
「それは、ついに来たかという。」

野村萬斎さん
「そうですね。
大きな大きな催しですし、世界中の人々の気持ちよく、特にアスリートの方々には気持ちよくしていただくための開会式、閉会式でもありますし。」

狂言師・野村萬斎さん、53歳。
数百年続く古典芸能の一家に生まれ、日本の伝統を現代につなぐ重要な役割を担ってきました。
狂言の世界に留まらず、映画やテレビでも活躍する萬斎さん。
幅広い見識が評価され、2018年夏、開会式・閉会式の統括責任者に選ばれました。

野村萬斎さん
「どうしてもオリンピックの開会式には皆さんけっこう注目されますが、今回はぜひ、五輪の開会式があって、競技があって、閉会式があって、また改めて、パラリンピックの開会式というものが第三話、起承転結の転ですから、そういう意味で、ここでまたがらりと感じが変わって、一気に最後、フィナーレになるという。
パラリンピックの閉会式が、東京2020の一種のフィナーレになるわけですから。
全部を見ていただきたいというのが、私の思いですね。」

高瀬キャスター
「これは大事にしようというコンセプトを教えて下さい。」

野村萬斎さん
「私のやっている狂言の世界では『このあたりの者でござる』という言葉があるのですが、名前も顔ももちろん、人種や宗教や考え方も違っても、みんなこのあたり、大きく言えば、地球あたりの人間ですよね、というひとつの考え方。」

日本の多様性を世界に

狂言の多くの演目で、最初に発せられる「このあたりの者でござる」というセリフ。
狂言には、舞台に立つ演者も、見ている観客も、分け隔て無く誰もがこのあたりにいる存在だという多様性を受け入れる精神があります。
この視点が重要なコンセプトのひとつだと萬斎さんは考えています。

野村萬斎さん
「万物みな、このあたりの者としてのひとつの尊厳を思うということが、日本では、ごく当たり前に考えられてきたという気が僕はしているのですね。
われわれは一緒なんだと、地球人として一緒なんだと言うことを確かめる、これも1つの式典・大会の意味だと思います。」

近年、オリンピック・パラリンピックの開会式・閉会式は、開催地が持つ歴史や文化を世界に発信する場として注目を集めています。

今回の東京大会の舞台となるのは完成したばかりの国立競技場。
ここで半年後、どのようなパフォーマンスが繰り広げられるのでしょうか。

野村萬斎さん
「具体的には言えないという、それは見てのお楽しみということにしていただかなければいけないのですけど…。」

「具体的には言えない」とのことなので、萬斎さんの最近の活動から私たちなりにヒントを探ってみました。
萬斎さんは今、「伝統芸能」に「最新の技術」を組み合わせた、新たな日本文化の発信に積極的に取り組んでいます。
そして、最新のテクノロジーを駆使して、舞にあわせてリアルタイムで背景の映像が変化する画期的な演出を作り上げました。

野村萬斎さん
「世界各国から日本のテクノロジーは大変注目を集めているところですから、やはりそういう意味で、皆さんに見たことのないようなテクノロジー、方法論をお見せすることが、盛り上がる一つの契機にもなります。」

「伝統」と「テクノロジー」の融合。
そこに萬斎さんが求める日本の多様性を描くヒントのひとつがあるかもしれません。

野村萬斎さん
「能、狂言という室町時代の芸能もあったり、文楽や歌舞伎というと江戸時代のものであって、そのあと、新派、新劇、小劇場であるとか、今はいろんなアイドル文化も含めた、そういうものが重層的に、すだれのように並んでいる。
これも日本の伝統であり、多様性なんですね。
前のものを否定しないで、先発芸能、後発芸能が共存していくという、ひとつの日本の文化があるので、こことここのものが離れているようで共存しているわけですから、これのいいところ同士を付けてみようということが可能なんじゃないかと思っています。」

高瀬キャスター
「ということは、最新の映像表現とか音楽表現、そういったものも盛り込まれた?」

野村萬斎さん
「そうですね。
表現の仕方は、いろいろになりますから、今、なにも具体的なことは申し上げられませんが、最新の技術を使いながら、精神的なもの、日本にある精神的なもの。
日本らしく、世界の人に喜ばれる、そういうものにしたいですね。」

Page Top