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2019年10月29日(火)

国内最大のサンゴ礁 白化現象から3年 “石西礁湖”はいま

沖縄県の石垣島の近くにある国内最大のサンゴ礁・「石西礁湖」では、3年前、海水温の上昇が原因でサンゴが白くなる白化現象が起きました。
かつてない大規模な白化でした。



サンゴは白化すると成長が遅くなったり、最悪の場合は死んでしまいます。
今回、NHKの取材班は白化から3年が経った石西礁湖の海の中を撮影しました。
見えてきたのはサンゴ礁が消失するかもしれない危機的な状況でした。

撮影 国内最大のサンゴ礁 白化から消滅危機か

白化現象が起きて以降、石西礁湖では専門家による調査が継続的に行われています。
今回、私たちはその調査に同行し、石西礁湖の現在の様子を撮影することにしました。
目の前に広がっていたのは、驚きの光景でした。
色鮮やかなサンゴ礁が姿を消していたのです。
3年前に白化したサンゴが回復できずに死んでしまったと考えられます。
魚の姿もほとんど見られませんでした。

西海区水産研究所 研究員 名波敦さん
「サンゴが死ぬと、そこに住んでいるエビやカニが死んでしまいます。
そうするとそれらをエサにする魚たちがエサをとる場所がなくなり、うまく成長できないということが考えられます。」

石西礁湖は沖縄県の石垣島の近く、およそ20キロ四方にわたって広がる、国内最大のサンゴ礁です。
およそ400種類ものサンゴが分布すると言われ、貴重な生き物も数多く生息しています。
石垣島周辺だけでなく、沖縄の海の生態系を支える重要な存在と考えられてきました。

3年前の白化現象は、海水温が平年に比べ1度から2度高い状態が続いたことで引き起こされました。
石西礁湖のサンゴの9割が白化したとみられています。

ここから石西礁湖が再生する可能性はあるのか。
それには生き残ったサンゴから生まれる新たなサンゴが、成長していく以外ありません。
ところが、再生を阻むものが見つかりました。
生まれたばかりのサンゴは、多くの場合、死んだサンゴに定着して成長していきます。
その大事な場所が、藻に覆われていたのです。

さらに、藻のまわりに集まっている魚をみつけました。
調べたところ、本来はサンゴ礁ではなく、藻が多い磯に生息している魚でした。
長年、石西礁湖のサンゴの研究をしている琉球大学の中村崇さんは、このまま藻が増えると、石西礁湖の再生にダメージを与えるだけでなく、生態系そのものを変えるおそれがあるといいます。

琉球大学理学部 中村崇准教授
「サンゴの幼生がつくべき場所に他の藻類がたくさん生えていたりとか、サンゴの幼生がかろうじてついたとしても、そこで立派に大きく成長できるまで生き残れるかというところが非常に難しくなっている。
それまでとれていた魚がとれなくなってきたり、他の魚種に変わってきたりとかそういったことが起こるのではないかと思います。」

石西礁湖では、すでに捕れる魚が激減しています。
この市場はかつて、石西礁湖から水揚げされる魚でいっぱいでした。
いまは見る影もありません。

素もぐり漁をする男性
「もう全然、魚はいない。
少しどころじゃない、10分の1だよ。」

石西礁湖が再生する可能性はないのか。
今回の撮影で、2016年以降に産まれたと思われる小さなサンゴを見つけることが出来ました。
研究者に聞いたところ高水温に耐えられるタイプの可能性があるということです。
沖縄でこうしたサンゴを増やす研究が進められているところです。

取材:清田祐馬(NHK沖縄)

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