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2019年10月21日(月)

小さな村のg7 もう“無名の村”とは言わせない!

9月26日、東京・渋谷のイベントカフェで「g7サミット」と呼ばれる会合が開かれました。
各国代表が集まる大文字のG7ではなく、小文字の「g7」は、北海道から九州まで各地域で、島しょ部を除いて最も人口の少ない7つの村のことです。
都市に住む人たちとつながって、新たな事業の立ち上げを目指す7つの村の挑戦を取材しました。

全国各地域の“最少”7村 都市と連携で新事業を!

「g7」に参加しているのは北から、北海道の音威子府村(おといねっぷむら)(人口763人)、福島県の桧枝岐村(ひのえまたむら)(人口557人)、山梨県の丹波山村(たばやまむら)(人口559人)、和歌山県の北山村(きたやまむら)(人口436人)、岡山県の新庄村(しんじょうそん)(人口930人)、高知県の大川村(おおかわむら)(人口408人)、熊本県の五木村(いつきむら)(人口1092人)、(人口は平成31年1月1日現在)、いずれも各地域で人口が最も少ない村です。
隣同士ではなく、離れた地域の村どうしが連携するのは、注目度を高めようという狙いがあります。
全国さまざまな自治体の中で、小さな村はどうしても埋もれてしまいます。
「全国の人口最小村が集まったg7」というユニークさで関心を高めたいと考えたのです。
特に今回の東京サミットは、首都圏の企業や団体などにアピールしようという、初めての試みでした。

今回サミットの会場に並べられたのは「秘境メシ。」
7つの村自慢の食材です。
大川村では誰もが食べるという「イタドリ」という山菜や、五木村でしか作られていない豆腐の味噌漬け「山うにとうふ」など、東京ではめったに食べられないものが並び、「秘境と呼ばれる村が7つも集まってるなんて感激した」など、評判は上々でした。
同時に行ったシンポジウムで、7つの村で行いたい事業の提案を募ったところ、「g7の村々での交換留学制度を」「学生のために研究の場を設けてほしい」など、次々にアイデアが出てきました。
さらにこの日、7つの村の村長たちは、出席者からのこうした事業提案を聞き続けたところ、中にはすぐにでも取りかかれる提案がありました。
その1つが、東京の調理師専門学校からのものです。
7つの村それぞれの特徴を生かして料理のメニューを開発し、来年(2020年)からランチのメニューとして販売できないかというのです。
こうした要望にスピード感を持って応えられるのが、小さな村の強みです。

g7の1つ、北海道・音威子府村ではさっそく、この料理学校の生徒たちの視察を受け入れました。
人口800人ほどの音威子府村は、寒暖差の大きな気候を生かした農業が主要産業です。
今回の訪問が村の農産物の知名度アップにつながればと、村長は調理学校の生徒たちに生産者たちと次々に会ってもらいました。
香りと甘みが自慢のそばを栽培する農家、珍しい「乳牛の放牧」を行う酪農家、そして今後の栽培の拡大を目指すフルーツトマトの農家です。
音威子府村の左近勝村長は、g7の取り組みについて、次のように話しました。

北海道 音威子府村 左近勝村長
「外側からの力を借りたり、新しい展開を都市と我々のところと結ぶ。
さらにそこに民間のさまざまな方たちが加わるような中で事業を行っていけたらいいなと思っています。」

音威子府村の視察のあと調理師学校にはさっそく、音威子府村からのフルーツトマトに加え、g7の1つ、高知県の大川村からも地鶏が届けられました。

この日はまず、素材の味を知るために代表的な調理法で料理を作りました。

西東京調理師専門学校 中村龍太さん
「食材をせっかくいただいたので、今後も心をこめて付加価値をつけて調理したいです。」

今後、実習の中で、トマトはピューレを試したり、地鶏も調理法をさまざまに変えてみるなどして、最も素材の良さが生きるメニューを検討する予定です。

g7の村々では、村に愛着を持つファンを増やすことで活性化やビジネスの可能性を広げたいと考えています。
これまでにも、例えば山梨県丹波山村では、シンガポールの料理人と5年前から交流を続け、この秋、店で丹波山村のマイタケをぜひ使いたいと取り寄せることになりました。
この店では今後、g7の新庄村や音威子府村の食材も使っていく予定です。
さらに、今回の東京サミットの会場では、「雑誌で、g7特集をしたい」(出版社)、「外国人向けに、秘境観光ツアーが作れるかもしれない」(旅行会社)、「生徒が7つの村を研究しているので、授業に協力してほしい」(県立高校)などの声が寄せられていました。

g7では、さらに首都圏からのニーズを拾いやすくするため、近く、都内に共同の事務所を開きます。
企業などからの提案を各村で共有し、協力できる村と橋渡しをする出先窓口です。
地域の活性化策というと移住や観光に目が行きがちですが、今回のg7の取り組みは「小さな村が連携し、関心を集め、ファンを増やして生き残りを」という戦略で、新たな可能性を感じました。

取材:岩野吉樹アナウンサー

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