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2019年10月9日(水)

修繕作業始まらず…

台風15号の直撃から1か月。
千葉県では、多くの住民が、被害を受けた住宅での不自由な生活を余儀なくされています。
なかでも、大きな被害を受けた鋸南町の上空からは、屋根をブルーシートで覆われた建物が多く目立ちます。

直撃から1か月 住宅再建なお遠く…

千葉県内では台風19号の接近を前に、住宅の修理が進められていますが、業者の人手が不足していたり資金のめどがたたなかったりして、多くの住宅で修繕作業は始まっていません。
自宅が大きく破損したという松田美恵子さんは、夫婦2人で暮らす自宅の1階と2階の屋根が壊れてしまいました。

特に被害がひどかったのが2階部分。
寝室の天井ごと吹き飛び、被災直後に自衛隊に張ってもらったブルーシートが丸見えの状態です。
雨が降るたびにシートの隙間から水が入り、激しく雨漏りします。
そのため、水浸しになった1階部分の畳を全てはがして、夫婦でなんとか生活を続けてきました。

雨漏りに加え、最近松田さん夫婦を悩ませているのが、カビの問題です。
壁の中や床下までぬれているため、表面をいくら掃除しても拡大していく一方です。
この先、健康に影響が出ないか、不安な日々を過ごしています。
一刻も早く家を直したいと考えていますが、業者側も手いっぱいで、修繕まで1年かかると言われました。
工事費用の見積もりも1,500万円でした。
今後、どれくらい公的な支援を受けられるのか、その判断を待っています。

自治体は、公的な支援を行うための基準となる「り災証明書」を発行するための調査を続けてきました。
申請が難しい高齢者も多いため、鋸南町はすべての住宅を調査の対象にしました。
県や近隣の自治体からも応援を要請して調査にあたりましたが、町内全ての7,400棟をようやく調べ終えることができたのは、10月8日のことでした。

鋸南町 総務企画課 平野幸男課長
「住宅も、人が住んでいない建物も含めて(全戸)調査する方針のもとに進め、1か月で調査を終えることができました。
り災証明の評価はいろんな支援金ですとか、今後の町民の皆さんに対する支援の基準になりますから、すべてを調査しようということですし、問い合わせに対しても相談窓口として臨時の電話を設けて対応していきたいと思っておりますので、認定に不服があった場合に再び行われる被害認定の2次調査に関しても円滑に皆さんに誤解を招かないようすすめていきたい。」

先週、被災地が懸念していた事態が起きました。
台風から変わった低気圧と前線の影響で、また大雨が降ったのです。
屋根が壊れていたまま生活していた松田さん。
さらに新たなところから雨漏りしていました。
再び台風が来たら住み続けられるのか。
松田さんは、不安な日々を過ごしています。

松田美恵子さん
「気が休まらないですね。
いつおさまるんでしょうかね。
家を直し終わらないと。」

住宅再建に向けて重要なり災証明書ですが、10月8日時点で千葉県内で5万件の申請がありましたが発行に必要な調査について国は、10月11日までに終了するめどがたったとしています。
また、国はこれまで支援の対象外となっていた、10%以上の被害を受けた一部損壊の場合でも応急修理費として30万円を上限に支給することを決めました。
被害認定が正確に行われ、なるべく早く被災した人の元に、り災証明書が届くことが急がれます。

“専門的な”ボランティアチーム

台風19号が近づく中、なんとか家を守りたいと自力で屋根に上り、転落してケガをするケースも依然相次いでいます。
本格的な復旧工事が遅れている中で、専門の技術を持った人が応急修理を行う必要がありますが、そんな状況をなんとかしようと、富津市で活動を始めた「専門的なボランティアチーム」があります。

内装業や大工など、屋根の修理に関わる専門的な知識を持つ職人たち。
今回、全国から30人以上のプロフェッショナルが集結しました。
集めたのは、東京の建設関連の企業です。
3年前から、ITサービスを活用して職人と現場の求人をマッチングしています。

もともと建設業界の企業およそ1万社、11万人の職人が登録し、現場ごとに求める技能と職人の橋渡しをしていました。
そこで、この仕組みをいかし、被災地に職人を送ったのです。

ユニオンテック 大川祐介会長
「屋根に登る行為そのものは、僕らからすれば建築職人がやるプロの仕事。
このプラットフォームを通じて被災地にプロの技術を届けられないかと考えた。」

富津市の社会福祉協議会と連携して始めたこの取り組み。
導入前、1日4件ほどしか出来ていなかったブルーシートを貼る作業は、8件以上できるようになり、これまでに45件手がけました。
一方で課題もあります。
今回、職人たちの移動費や宿泊費、必要な資材費など1,000万円は会社側が負担しました。
今後、資金面の課題を克服し、こうした取り組みを他の地域でも活用していきたいと考えています。

ユニオンテック 大川祐介会長
「まだこの国の中で、こういう災害時、建設におけるスキームができあがってるとは到底思えていません。
今回の取り組みをきっかけに大きなムーブメントになっていって、官民一体で一時対応がすぐできるようなスキームを作っていけるよう検討している。」

この日は、瓦が吹き飛び、雨漏りが収まらなかった住宅を修理。
およそ3時間で作業を終えました。

住民
「今日来てくれたから、だいぶ違うかなって思って。
ちょっと一安心。」

1,000万円を会社が負担して拠出するのは、継続性という意味では難しい面があります。
千葉県は10月7日、県の事業として県内全域でこの仕組みを導入すると発表しました。
施工にかかる費用は住民の自己負担になりますが、業者の移動費や宿泊費は県が負担することにしました。
被災地では専門の技術を持った人に依頼が相次ぎ、対応が追いついていません。
県内外から幅広く業者を集め紹介する取り組みに千葉県も着目し、10月15日から始めることにしたのです。
台風の接近などで、さらにブルーシートの張り替えを希望する人は増えていて、成果が期待されます。
被災した人たちが、まずは安全な暮らしを送れるよう、行政や民間が協力して支援を続けていくことが大切だと思います。

取材:尾垣和幸(NHK千葉放送局)、今井朝子(おはよう日本)、元木達也(映像センター)

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