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2019年9月30日(月)

「楽曲の世界観」 どう映像に?

映像にするのは不可能といわれた小説、その映画化への挑戦についてです。
それが、恩田陸さん原作の「蜜蜂と遠雷」。
2017年、直木賞と本屋大賞のダブル受賞を果たした、史上初の注目作品です。
ところが、「映像化は不可能」と言われていました。
その理由は“まるで文字から音楽が聴こえてくるかのような”細やかな描写にありました。

「蜜蜂と遠雷」 不可能を可能にした秘話

10月4日の公開を前に、松岡茉優さん、松坂桃李さん、そして監督・脚本を務めた石川慶さんにお話を伺いました。

「蜜蜂と遠雷」は、国際ピアノコンクールを舞台に4人のピアニスト達が才能をぶつけあい、成長し、葛藤する物語です。
松坂さんは、年齢制限ギリギリで最後のコンクールに挑むサラリーマン奏者、高島明石を演じます。
役を演じるにあたって、松坂さんが語ったのは…。

松坂桃李さん
「明石の場合だとその生活に根づいたっていうか、生活の中で出てくる音楽と言うことを、コンクールでちゃんと表現として出したいって言うんで。
難しかったですね。
(俳優人生で)ナンバーワンに近いんじゃないですか?」

小説で描かれていたのは、文字で音楽を聴かせるという新しい世界観。
映画化に当たって石川監督は、その世界観を表現する難題を突きつけられました。
ポーランドの大学で演出を学んでいたという石川監督。
現地で世界的に有名なショパンコンクールを見て、いつかコンクールをモチーフに作品を作りたいと考えていたそうなんです。
その石川監督が取ったのが、ヨーロッパでも類を見ないというオリジナルな手法です。

小説の内容の半分以上がセリフの無い演奏シーン。
石川監督は、脚本に工夫を凝らしました。
重視したのが楽譜です。
石川監督は、音楽のメロディーラインに合わせて、そこでどういう演技をするかを楽譜に書き込んでいったのです。

石川慶監督
「文字を映像にするんじゃなくて、恩田さんが聴いたであろう音を、じゃあ映像だとどういう風になるんだろうっていう考え方で作れるんであれば、ひょっとしたら可能性があるのかな。」

演奏シーンの撮影では、監督はまず、役のモデルになるプロのピアニストを決め、その音を徹底的に俳優に聞き込ませました。
曲を聴いた松坂さんは…。

松坂桃李さん
「これが明石の曲だという、明石が生みだした努力、長年の積み重ねの中で振り絞ってだしたっていう感じが、僕の中でも聞いたときに出てきたんです。
エネルギーになりましたね。」

さらに、演奏シーンでは音だけがプロのピアニストのもの。
手の動き、体の動きは俳優が1から学んで習得したのです。
松坂さん、実は全くの初心者でした。

松岡さんが演じるのは、再起をかけ二十歳でコンクールに臨むかつての天才少女、栄伝亜夜。
役のモデルになるピアニストの演奏を聴いた松岡さんは…。

松岡茉優さん
「1音1音がとてもまぶしかったんですよね。
なので、この多幸感とまぶしさと音楽のきらめきを、私も映像として出さなくてはならないなという覚悟が決まりました。」

そして、難しい役へのチャレンジを終えて。

松岡茉優さん
「まったく新しい音楽映画ができたかな、という風に思っております。
私の中で、そういった自信をもって皆様にお届けできる作品を作れたというのは、私にとってもこれからの勇気になるだろうとなと思っています。」

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