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2019年9月27日(金)

御嶽山噴火5年 生還した女性 なぜ再び山へ

63人が犠牲になった御嶽山の噴火から5年。
噴火の瞬間にいあわせ九死に一生を得た山岳ガイドの女性がいます。
山岳ガイドの小川さゆりさんは、火口から500メートルほどの場所で噴火に遭遇しました。

山岳ガイド 小川さゆりさん
「石が横に飛んでくる感じで、石どうしがぶつかって飛び散る音がすさまじかった。
もう死ぬしかないのかなと思いました。」

噴石が飛び交う中、必死で岩陰を探し、なんとか身を守った小川さん。
間近で経験した恐怖から、その後、御嶽山に登るのをためらうようになりました。

それから5年、小川さんの気持ちに変化が起きました。
御嶽山の山頂が再び多くの人でにぎわうようになり、自らの体験を山で伝えたいと考えるようになったのです。
今月(9月)、御嶽山でベテラン登山者の団体をガイドし経験を話しました。

山岳ガイド 小川さゆりさん
「灰色の石が噴石で火口から700mぐらいの所まで飛んできます。
シェルターがあるのは非常に安心ですけれど安全ではない、噴火してもここに入る行動ができなければシェルターがないのと一緒です。」

女性登山者
「火山がここまで危険だとは思わなかったので、みんなに伝えていかねばと思いました。」

男性登山者
「最終的な危機だと感じた場合は自分で判断してやらなきゃいけない。」

静かに見える山でも、突然噴火するリスクは常にあります。
気象庁が火山の危険度を5段階で示した噴火警戒レベルで、御嶽山は当時最も低いレベル1でした。
現在、レベル1の火山は北海道から九州まで全国で42あります。
国は火山の観測態勢を強化するなど対策に力を入れていますが、独自に動きだした自治体もあります。

レベル1の火山のひとつ、長崎県・島原半島にある雲仙岳は、山頂付近の登山道の多くが噴火した時「火口が想定されるエリア」に含まれています。

そこで長崎県が去年作りだしたのが「登山道防災マップ」。
レベル1でも突然の噴火が起こりうるリスクを伝え、身を守れるよう登山道にある岩陰などの位置を広く知らせたのです。
雲仙岳の年間登山者はおよそ3万人、観光客が減るのではと懸念する声も上がりましたが、噴火の被害を最小限にするためには、リスクを周知することは避けられないといいます。

長崎県危機管理課 山田裕志さん
「防災に力を入れると観光が衰退してしまう、観光に力を入れると皆さん危険になってしまう部分がある。
どうバランスをとるか一番難しいところではあります。」

リスクを事前に知らせることで、登山者は火山に登らないという選択をすることもできます。
自治体は知らせる努力、登山者はそのリスクを知ろうとする努力が必要です。
万一の事態にはどうやって身を守るか、自分で判断せざるをえない状況もあることを知っておかなければならない、その大切さを知っておくことが大切です。

取材:清木まりあ記者(社会部)

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