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2019年9月20日(金)

“多様性”のある社会へ ニュージーランド首相インタビュー

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ラグビーワールドカップの日本大会で、3連覇を目指す強豪・ニュージーランド。
試合前に行う、先住民族・マオリの人たちの伝統的な踊り「ハカ」で有名です。
ニュージーランドには先住民族をはじめ、ヨーロッパやアジア、中東などからの移民・難民が一緒に暮らしています。

この国のリーダーが、37歳という若さで就任したジャシンダ・アーダーン首相です。
日本を訪れたアーダーン首相に、単独インタビューを行いました。

保里小百合アナウンサー
「ラグビーワールドカップが始まりますね。」

ニュージーランド アーダーン首相
「ニュージーランドにとって、とても楽しみなことです。
日本の『おもてなし』に感謝しています。」

“移民や難民もわれわれの一員”

ことし(2019年)3月、アーダーン首相が世界から注目された出来事がありました。
イスラム教の礼拝所が襲撃され、51人が死亡。
事件の後、アーダーン首相はイスラム教徒の女性のようにスカーフをかぶって遺族などを訪問し、寄り添う姿勢を貫きました。
さらに「イスラム教徒を含む移民や難民もわれわれの一員だ」と、国民に連帯を呼びかけました。

ニュージーランド アーダーン首相
「イスラム社会はニュージーランドの一部であり、われわれの社会でもあります。
イスラム社会が経験した痛みをみなが感じ、分かち合い、結束しました。
最終的に、私たちはみな人間であるというメッセージを世界に発信できたことを願っています。」

保里アナウンサー
「日本にも、いまだかつてない数の外国人労働者がいます。
日本がより多様性のある社会になるためには、何が必要だと思われますか?」

ニュージーランド アーダーン首相
「私たちには、多様性のある社会を作り上げてきた長い歴史があります。
それでも私たちは、完璧ではありません。
人種差別もあり、差別主義もあります。
ですから、私たちも学んでいるところです。
コミュニティーどうしが団結できればできるほど、子どもたちに多様な環境で学ぶ機会を与えてあげることができ、結束力のある社会を作り上げるのです。」

アーダーン首相が政治に関心を抱いたのは、学生時代。
社会の不平等を解消したいという思いからでした。
議会選挙で初当選を果たした後、社会的弱者のための政策などに取り組み、2017年に37歳の若さで首相に就任したのです。

世界初! 現職首相で産休を取得

アーダーン首相が、世界から注目されたもうひとつの出来事があります。
就任から3か月後に妊娠を公表し、出産後、6週間の産休を取得。
現職の首相としては世界で初めてのことでした。
復帰してからも、娘を公務に同伴させるなど、育児と仕事を両立させる姿勢を示してきたのです。

保里アナウンサー
「首相として重い責任を抱えながら産休を取る決断をするのは難しいことでしたか?」

ニュージーランド アーダーン首相
「私にとっては非常に現実的な決断でした。
でも正直に言うと、国民に自分の妊娠を告げるのは、とても緊張しました。
ニュージーランドでは前例がないことで、人々がどう反応するか、基準にできるものはありませんでした。
もちろん否定的なことをいう少数の人たちはいました。
しかし本当にごく少数の人たちでした。
国民からとても支持されたと感じています。」

育児と仕事を両立したいと思っても、できないという女性も多い日本の現状について、どう考えるか聞きました。

ニュージーランド アーダーン首相
「これは、世界共通の課題だと思います。
世界のどこに住んでいようと、女性は、すべてのことを自分でやらなければならないと感じてしまいます。
私は、自分ですべてできるというふりはしません。
一人で、首相と母親を務めることはできません。
両親やパートナーの支えがあるからこそ、できるのです。
世界中のどこにいようと、自分を支えてくれる人たちが周りにいるから、やっていけているのだということを伝え、女性たちの周りに同じようなネットワークを構築できるよう働きかけ、支援すべきです。」

世界で高まる期待

こうしたアーダーン首相の姿勢を、ニュージーランドの人たちはどう受け止めているのでしょうか。

市民
「ニュージーランドのために、献身的に働いていると思います。」

「若くて、政治に新しい風を吹き込んでくれているので、支持しています。」

首相を支持する声は、世界にも広がっています。
インターネット上で首相をノーベル平和賞に推薦する署名が、合わせて10万件以上集まっているのです。

インターネットに寄せられた 市民からのメッセージ
「アーダーン首相が見せた知性と慈愛を、世界中が欲している。」

「人種差別に抵抗し、寛容さと平和を推し進めた。」

ニュージーランド アーダーン首相
「国際社会にとって、とりわけ困難な時期を迎えています。
私たちが経験しているのは、不安感なのではないかと思います。
身の回りのさまざまなことが、急速に変化しています。
そのような環境においては、分断ではなく、共通点を追求し、優しさや思いやりや共通の人間性という単純な概念に立ち戻って、直面している課題に真正面から向き合う責任が政治家にはあるという論点に戻りたいと思います。
人々が不安や懸念を抱いていることについて、解決策を見いだす役割を果たさなければいけません。」

首相として史上初めて産休を取得するという決断に、どのようにして至ったのか。
日本で働く私たちにとっても何かヒントが得られるのではないかと考え、インタビューに臨みました。すると、アーダーン首相自身も決断するまでに不安を感じ、試行錯誤してきたことを明かしてくれました。
インタビューの中で、アーダーン首相が「choice(選択)」という言葉を繰り返した場面。
「自分にあった選択ができることが重要」で、「最善の選択ができる環境を提供することが、私の務めだ」とも話していました。
日本も、多様な働き方や生き方を選択できる社会にもっと近づいていくといいなと、改めて感じました。

聞き手・取材:保里小百合(おはよう日本)

(下記のリンクに、アーダーン首相インタビューの全文を掲載しています。
あわせてお読みください。)
インタビューの全文(日本語)はこちら
インタビューの全文(英語)はこちら

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