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2019年9月18日(水)

フランス名門ワイナリーが北海道に

ワインの産地といえば、フランスのボルドーやブルゴーニュが知られていますが、温暖化が進むと、いまの産地はワインの生産に適さなくなる恐れがあります。
こうしたなか、フランスのブルゴーニュにある世界的に有名なワイナリーが、北海道にやってきました。


この夏、北海道を高級ワインの一大産地にする取り組みが始まっています。

フランスから名門ワイナリー 北海道でブドウ栽培

フランスのブルゴーニュにある創業300年のワイナリーの代表、エティエンヌ・ド・モンティーユさん(56)が、函館で栽培を始めたのは高級ワインの原料となるブドウ品種、「ピノ・ノワール」です。
4年後の収穫を目指しています。

フランス ブルゴーニュ 名門ワイナリー代表 エティエンヌ・ド・モンティーユさん
「世界中のピノ・ノワール愛好家に選んでもらえるような、おいしいワインをつくりたいと思っています。」

ブルゴーニュにあるド・モンティーユさんのワイナリーでは、ピノ・ノワールを原料にワインをつくっています。
1本数万円で取り引きされる高級品です。

しかしいま、自慢の畑に異変が起きています。
原因は地球温暖化です。
「ピノ・ノワール」の栽培に適した平均気温は、14~16度。
それより暑いと実が早く熟し過ぎたり、枯れたり、しおれたりします。
ブルゴーニュでは年々、気温が上昇。
ド・モンティーユさんは、ワインの味に影響が出るのも時間の問題と考えています。

エティエンヌ・ド・モンティーユさん
「(気温が上がると)アルコール度数が高まって酸味が減り、重い味になります。
ピノ・ノワールにある独特のさわやかさは、無くなってしまうでしょう。
温暖化のインパクトは、私たちの予想を超えるスピードで襲ってくるかもしれません。」

異変はブルゴーニュ以外のワイン産地でも起きていて、2050年には赤く塗られた範囲で今までと同じ品質のワインをつくることが難しくなると言われています。
ボルドーやトスカーナなどの有名産地がここに含まれます。
一方、将来有望な産地として注目されるのは青の範囲。
フランス北部やベルギー、イギリスなど、これまでワインづくりには適さないとされてきた場所です。

日本ワインブドウ栽培教会 代表理事 鹿取みゆきさん
「(産地が)北上しているのは確か。
もともとワインベルトと言って、この緯度の中でしかワイン用ブドウが栽培されないといわれる傾向があったが、明らかに変わってきている。」

新たな候補地の中で、高品質のピノ・ノワールが栽培できる場所はどこか。
ド・モンティーユさんは世界各地の気温、降水量、土壌などを徹底的に調査しました。
その結果、もっとも多くの項目で高い評価をたたき出したのが、20年ほど前から本格的にワインづくりを始めた北海道でした。

北海道でつくるピノ・ノワールは、どんな味を出せるのか。
ド・モンティーユさんは、10年ほど前から北海道に移り住んでワインをつくっている、アメリカ人の醸造家を訪ねました。
そして去年(2018年)収穫されたピノ・ノワールを使い、2人でワインをつくってみました。

エティエンヌ・ド・モンティーユさん
「おいしい。
繊細で優雅な味わいです。
世界でここでしかつくることができません。」

目指すは北海道ならではのピノ・ノワールの栽培。
ド・モンティーユさんは、70人を超える地元生産者を招いてセミナーを開催しました。
講師は、フランスから呼び寄せた世界的な土壌学者です。
ブドウづくりに必要な土壌管理のノウハウを伝えました。

参加者
「本国でやっている人の話は、決定的な説得力がある。
すごくためになりました。」

「自分の畑についても、問題点はここだと指摘してもらえたので、そこを生かしてブドウ栽培をしていきたいですね。」

ド・モンティーユさんは、北海道の生産者が知恵と技術を結集すれば、世界的なワインの産地になることも夢でないといいます。

エティエンヌ・ド・モンティーユさん
「温暖化をチャンスに変えようという取り組みです。
時間はかかるし、課題も多いでしょうが、必ず乗り越えれると信じています。
北海道のみんなで、新しい歴史の1ページをつくりたいと思います。」

報告:北井元気(NHK札幌)

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