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2019年9月7日(土)

“都会から地方へ進学” 進学熱の背景は

日本の教育が地方から変わろうとしています。
生徒が先生から教わるだけではなく、自ら、学ぶ内容や学び方を考える取り組みが広がっています。

進学先選びに新潮流

ことし(2019年)6月、首都圏に住む中学生を対象に開かれた進学説明会には1,100人以上が押し寄せました。
熱い視線を注ぐのは、離島や中山間地など地方の公立高校です。
実はいま、都会から進学を希望する生徒が増えています。

中学生
「都会じゃできないような体験ができるのでぜひ行ってみたい。」

保護者
「学力に応じて学校決めるみたいなところに疑問を感じているところもあって、いろんな特色ある地域の高校にも興味があったので。」

都会から地方に進学する背景には何があるのか取材しました。

都会から地方へ進学 何を求めて?

都会からの入学者が多く集まる、広島県大崎上島(おおさきかみじま)の中高一貫校です。
生徒のおよそ4分の1が県外からの入学者。
外国にいるネイティブの講師からオンラインで英会話を学べるなど、先進的な教育を受けることができる一方、公立校のため、授業料は無料。
受験の倍率は9倍以上という人気です。
さらに、人気を集める最大の理由が「アクティブ・ラーニング」。
先生から教わるだけでなく、生徒自ら学ぶ内容や学び方を考えます。

例えば、体育の授業。
生徒は自分たちの走りをタブレット端末で撮影。
どうすれば速く走れるか、生徒たちだけで考えていきます。

「バトンパスまで長いから余裕を もって走って大丈夫。」

こうして「考える力」を育てるのです。

都会から地方へ進学 背景に“考える力”重視

こうした学校が人気を集める背景には、2020年度から始まる大学入試改革があります。
これまでの知識重視から、記述式などで「考える力」を問う試験内容に変わります。
過疎や高齢化など課題を抱える地方では、その解決を考えることを「アクティブラーニング」として取り入れる高校が少なくありません。
それが「考える力を養える」と、人気になっているのです。

そんな1人、愛知県から島根県津和野町(つわのちょう)の高校を選んだ安本沙羅(やすもと・さら)さんです。
中学時代は教わるだけの勉強に不安を感じていました。

安本沙羅さん
「自分を抑えていたというか、普通の高校生だったら勉強と部活だけど島根に来たら自分が課題を解決したい。
一歩踏み出したらどんどん踏み出せる感じ。」

津和野の高校で取り組むのは、地元の魅力発信。
特産の栗を使ったようかんが名物ですが、増える外国人観光客に魅力を伝えられず、困っていました。
そこで英語のポップを作り、魅力を伝えようと考えた沙羅さん。
栗の魅力を「ラグジュアリー」という単語で表現することに。
しかし、英語の講師に相談すると…。

英語講師
「なんでぜいたくなの?」

安本沙羅さん
「空気がいいから。
水がいい。」

英語講師
「すばらしいね、でも違う。」

答えを出さず、生徒が自分で考えるように導くのが「アクティブ・ラーニング」の教え方です。

英語講師
「答えってひとつだけじゃない。
一緒にヒントを与えながら考えたり、自分の達成感を味わってほしい。」

栗の魅力は何か。
地元の栗農園を訪ね、農家から聞き取りをした結果、せんていなど、育てるには大きな手間暇がかかることを知りました。

安本沙羅さん
「こだわってるって言ってた意味、分かったつもりでいたけど、せんていもしなきゃいけないとか知らなかった。」

そうして考えたのが、このポップ。

“できれば畑ごとプレゼントしたいくらいです。”

自ら学ぶ中で感じた栗作りの手間暇や苦労を表現に込めました。
こうした学びを通じて「考える力」を身につけ、大学への進学や将来の進路選択に生かす生徒も少なくないといいます。

安本沙羅さん
「自分から率先して動いたりしたことが、将来困ったときとか、津和野でこれ(アクティブラーニング)やったから、できるかもしれない。」

お伝えした「アクティブラーニング」は、いま教育の世界で注目されているキーワードなのです。
文部科学省も、AIの進歩やグローバル化が進む中で、自分で考え、課題を解決する力が求められるとして、教育現場に取り組みを求めていますが、まだ試行錯誤が続いているのが現状です。
課題が山積している地方だからこそ、そうした取り組みがいち早く進んでいるんでしょうね。

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