これまでの放送

2019年9月2日(月)

広がるバーチャルリアリティー

ゴーグルをかけると、まるでその場にいるような疑似体験ができるバーチャルリアリティー=VR。
これまでは観光地の疑似体験やゲームなどエンターテインメントの分野で多く使われていましたが、いま、医療の分野でも使われ始めています。

“まさに手術が目の前で” 活用広がるVR

今回VRになったのは、「カテーテル」と呼ばれる管を血管に通し、心臓の不整脈を治療する手術です。
医師の研修用に開発されました。
VRでは、手術の様子を360度見ることができます。
カテーテルを操る医師の手もとが気になればそこに目をやり、このときのカテーテルの動きが気になればモニターに目を向けられます。
まさに、見たいものを見たいときに見られます。
このVRは医療機器メーカーが企画。
そこに専門医、VR開発業者が加わり、2年前から開発してきました。

済生会熊本病院 心臓血管センター 奥村謙医師
「カテーテル手術、カテーテルアブレーションは、そう容易な手技ではありません。
VRですと、ビデオでもう収録されていますから、極端にいうといつでもどこでも何度でも繰り返し学ぶことができます。」

ジョンソン・エンド・ジョンソン 医療機器 不整脈部門 岩井智光バイスプレジデント
「昨今の医療機器といいますのは、非常に高度化・複雑化しております。
安全に、適切に使用していただくためのトレーニングの機会というのを積極的に、主体的に提供しております。」

この最新技術が、横浜で開かれた学会で医師たちに披露されました。
これまで手術の映像というと、固定したビデオカメラのものがほとんどでした。
見たい方向に自由に目を向けられるVRに、驚きの声があがりました。

昭和大学医学部 河村光晴医師
「臨場感はすごいですね。
360度見られるっていうのはすごいですし、その術者のそば、手先、手の動きとかも細く見られるので。」

さらに、地方の病院に勤務し、ふだんなかなか持ち場を離れられないという医師からは、「このシステムが仮に、自院の医局や自宅で見ることができるようになれば非常に有意義だ」という声もあがりました。

これまで、医師が最新技術を学ぶには直接手術に立ち会う必要がありました。
そして、そこで見聞きしたものを地元に戻って、ほかの医師やスタッフと共有してきました。
それがVRを使えば、地元にいながら、手術に携わるスタッフ全員のスキルアップにつなげられると言います。

三菱京都病院 川治徹真医師
「みんな見たいものが違う中で、いろいろ見られて、本当にみんなで(手術室に)行ったみたいな形で共有できるのはいいんじゃないかなと思います。」

開発に携わった医師は、VRが全国の医療水準の底上げにつながることを期待しています。

済生会熊本病院 心臓血管センター 奥村謙医師
「いまの医療で求められているのは『標準化』ということです。
すなわち、患者さんがどの医療施設でどの医師に治療を受けても、ある一定の治療効果、成績を提供する必要があると。
これ(VR)が、きっと標準化にもつながるようになるんじゃないかなと期待してますね。」

今回作られたこのVRは、心臓の「心房細動」という病気を治療する手術のものです。
実は現在、国内の患者はおよそ100万人にのぼるとされていて、高齢化や生活習慣の乱れなどの原因で、今後ますます増えていくと見られています。
それに対し、専門医の数はおよそ1,000人ということで、まだまだ数が足りていないとされています。
だからこそVRを活用して、専門医の育成につなげようとしています。
ある大学病院ではこの夏、整形外科の手術のVRが作られるなど、ほかの手術でも活用を模索する動きも出てきています。
医療は私たちにとって非常に身近なもの。
今後の動きに注目です。

Page Top