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2019年9月1日(日)

タランティーノ監督 “集大成”のワケは

映画監督 クエンティン・タランティーノさんに、俳優 レオナルド・ディカプリオさん。
おととい(8月30日)公開された映画、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のプロモーションのために来日しました。
この映画は、タランティーノ監督の“集大成”とも言われていて注目されていますが、なぜ集大成なのか、保里アナウンサーがたっぷり伺いました。

タランティーノ最新作 レオ様&ブラピ初共演

映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は1969年のハリウッドを舞台に、時代に取り残された“落ち目”の俳優・リックが、相棒のスタントマン・クリフに励まされながら、輝きを取り戻そうと奮闘します。
レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピット。
ハリウッドを代表する2大スターの初共演で、大きな話題を呼んでいます。

保里
「2人の共演はいかがでしたか?」

タランティーノ監督
「最高だよ。
カメラをのぞくと、フレームの中にブラッドとレオがいる。
その時点でもう『映画』に見えるんだ。
ロケに来ていることを忘れる。
同世代でも屈指の大スターだからこそだと思うよ。」

ディカプリオさん
「撮影が始まった瞬間からしっくりきたよ。
ブラッドと僕は、それぞれ監督と話し合い、自分なりに役柄を作り上げていった。
すると面白いことに、似ているようで別の個性を持つ2人の人物像が浮かび上がってきたんだ。」

2人が演じるのは、対照的なキャラクターです。
俳優・リックは、人気が落ち、忘れられていく自分を受け入れられず思い悩む日々。

一方のクリフは、スタントマンの仕事がなくなっても、それを気にかけず気楽に毎日を過ごしています。
俳優として、厳しい映画界を生き抜いてきた2人だからこそ、この役柄がリアルに表現できたといいます。

ディカプリオさん
「僕ら自身が似た経験をしてきたから、2人の関係性がよくわかった。
浮き沈みの激しい業界を生き抜く中で、仕事仲間に支えられることは多いからね。」

タランティーノ監督
「レオとブラッドは、1990年代からずっと活躍してきた。
同じ時代、同じ環境で仕事をしてきて、似たような経験をしてきた。
だから互いにわかり合えるんだ。」

“集大成”のアクション

今回で9作目となったタランティーノ監督。
これまで、古今東西のさまざまな映画を取り入れ、独自の世界観を作ってきました。
「キル・ビル」では日本のやくざ映画の影響を受け、刀を駆使したアクションシーンを披露しました。
また、ディカプリオさんも出演した「ジャンゴ」では、ガンマンが活躍する西部劇の世界を描きました。
今回の作品ではそんな“持ち味”といえるアクションを、主人公の俳優という職業を生かし、「劇中劇」を駆使することで、これでもかと詰め込みました。

当時、活躍し始めていたカンフースター、ブルース・リーも登場。
随所に“タランティーノ節”が炸裂します。

タランティーノ監督
「この映画のテーマは、映画そのものなんだ。
この作品を、自分の最高傑作にしようと思って作った。
今まで撮ってきた作品の要素や、子どもの頃から吸収してきたものをつぎ込んだ。
56年かけて培った、知識や経験を生かすことが出来たよ。」

かつての“輝き”描く

さらに映画では、今のアメリカ社会に失われた“輝き”も描こうとしています。

そのため、1960年代の町並みをCGを使わず忠実に再現。
当時の車を2,000台以上走らせ、通りに並んでいた映画館の1つ1つもよみがえらせました。

通りにたむろするのは、ヒッピーの若者たち。
自由で奔放な空気と、それを受け入れる社会の寛容さが表現されています。
一方、そんな時代の空気が一変するきっかけになった、実際の事件も題材にしています。
ヒッピー風の集団が、ハリウッド女優を惨殺した事件です。

ディカプリオさん
「アメリカの未来への夢や希望が、事件を機に、一気に消えてしまった。
ヒッピーへの世間の目が一変した。
ヒッチハイクをしたり、近所を歩く人を信頼したり、そんなおおらかさが一瞬で失われてしまったんだ。」

時代の転換点を扱いながら、監督は失われていったものへの愛情を、作品の至る所に込めています。

タランティーノ監督
「この作品に特に思い入れがあるのは、僕がこの時代のロサンゼルスに生きていたからなんだ。
当時、僕は6~7歳だった。
ロサンゼルスがどんな感じだったか、覚えている。
ものごとは今よりずっと単純だったし、人間関係も自然で、思いやりがあった。
それが消えてしまうまで、有り難みがわからなかったな。」

アクションあり。
歴史あり。
様々な要素を詰め込みながら、進化を続けるタランティーノ作品。
作り続ける原動力は何か、最後に伺いました。

保里
「エンターテインメント作品を作り続ける原動力は?」

タランティーノ監督
「工夫を凝らして、観客をハッとさせる場面を作り上げることに、大きな喜びを感じるんだ。
この場面では観客をあっと驚かせたい。
次には笑い、そして叫ぶ。
そして、静かにさせる。
そんな調子で、次々と反応を引き出したいんだ。
それができれば映画の作り手として大きな幸せを感じるよ。」

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