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2019年8月26日(月)

東京オリンピック “史上最大の荷さばき”に挑め!

お盆を海外で過ごす人たちで、毎年混雑する成田空港。
今年(2019年)の8月11日には、およそ11万人が利用しました。
2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されるため、さらなる混雑が予想されています。
ピークとなるのは、選手団が一斉に帰国するオリンピック閉会式の直後、8月10日です。
お盆休みの時期とも重なり、史上最多の利用者が見込まれています。

オリンピックでは、大きさや形が異なるさまざまな競技用具が、一度に大量に持ち込まれます。
通関や積み込みに時間がかかる荷物をどうさばくかが、最大の課題です。

南米を訪れた視察団

そのヒントを探ろうと、成田空港などの関係者が視察に訪れたのは、南米でした。
ペルーで開催された、パンアメリカン競技大会。
北米や中南米から、41か国が参加しました。
この大会を視察したメンバーのひとり、成田空港会社の田中幸司さん。
さまざまな競技が行われる大規模な国際大会を視察できるのは、これが最後のチャンスだと考えました。

成田空港会社 田中幸司さん
「(東京五輪の)1年前なので、細かな配置などはまだ決まっていません。
そうした細部について視察して、参考になるものを成田空港でも生かせたらと思って来ました。」

対策は“選手村チェックイン”

視察団が最初に向かったのは、選手村です。
選手の荷物の積み込みや保安検査を、どうすれば効率的にできるのか検証したいと考えたからです。
さまざまな競技が行われるスポーツ大会では、大きさや形が異なる競技用具が一度に大量に持ち込まれます。
そのため東京でも実施する対策が、「選手村でのチェックイン」です。
通常は、空港にすべての荷物を持って行き、チェックインします。
そのチェックインを選手村で行うことで、空港での混雑を緩和しようというのです。

課題となるのは、預かった荷物の空港への輸送です。
選手が乗る便に間に合うよう、確実に届けなければなりません。
ペルーでは渋滞を避けるため、選手村と空港の間に専用レーンを設け、荷物を輸送していました。
また、輸送状況を監視するオペレーションルームも開設されていました。
トラックの現在地を地図上に示し、遅れや事故が発生しても、すぐ対処できるようにしたのです。

さらにスマートフォンのアプリを使えば、選手村や空港の関係者とも情報を共有できます。
こうした体制を整えたことで、今回大きな遅れは発生しませんでした。

運送会社 マネージャー セサル・フロレスさん
「選手の荷物を運ぶのは、非常に特殊で専門的な業務です。
本当に初めての経験でした。」

明らかになった課題とは…?

荷物が到着する空港でも、対策が行われていました。
保安検査や積み込みをスムーズに行うため、選手の荷物を扱う専用の場所を設けたのです。
この業務のために作業員を増員し、搭乗便ごとに荷物を振り分けます。
成田空港でも、こうした集積所を新たに建設する予定です。

しかし保安検査だけでも、時間と手間がかかります。
荷物の積み降ろしを担当するカルロス・ガルシア・レオンさんは、爆発物がないかを調べるだけでも、あまりの荷物の量に「大混乱だ」と話していました。

さらなる課題も浮かび上がりました。
この日、運び込まれたのは棒高跳びで使うポールです。
長さが5メートルあり、荷物専用の台に収まりません。
輸送中に壊れないよう固定するのに、4人がかりでおよそ30分かかりました。

成田空港会社 田中幸司さん
「通常でも(大型や特殊な)荷物は来ていますけれども、一度に来ますので、それを人海戦術で処理しないといけません。
そういった面では、大変かなと思いました。」

さらに、予定外の事態も発生しました。
選手村でチェックインをせずに、荷物を持って直接空港に来た選手団がいたのです。
選手村でのチェックインは、出発7時間前までにするのが決まりです。
しかしその時間まで市内観光をしていたため、直前に180人がキャンセル。
空港のカウンターでは、多くの乗客が待たされることになりました。

空港の混乱は防げるか?

東京オリンピックに参加する選手の数は、ペルーの大会の倍になり、お盆休みとも重なることから、さらに大きな混雑が予想されます。
また荷物の仕分けや積み込みを行う空港の作業員は、ただでさえ慢性的な人手不足の状態です。
どの便にどれくらいの競技用具が載るのかも、直前まで正確にはわからないため、事前の準備も極めて困難です。

成田空港や組織委員会は、日本でも事前に行われるテスト大会などを通して、シミュレーションを続けています。
この日、成田空港に運び込まれたのは12頭の馬です。
東京大会では、馬を迅速に空港の外に運び出すため、必要な手続きを担当職員が航空機のすぐそばまで出向いて行うことになっています。
今回は、その特別運用の手順を確認していました。

また選手村でのチェックインを徹底してもらうほか、選手が保安検査や入国審査を受ける専用のターミナルも設ける予定です。
空港の混乱を回避し、定刻通りの運航を維持できるのか。
田中さんたちは、ペルーの視察で明らかになった課題も踏まえ、今後も対策を検討していく予定です。

成田空港会社 田中幸司さん
「東京オリンピック・パラリンピックは世界的なイベントです。
多くの選手・関係者も含めて、たくさんのお客様が来られると思いますので、すべてのお客様に安心して成田を利用していただけたらと思っています。」

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