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2019年8月17日(土)

いじめ 何が母親を追い詰めたのか?

「いじめ指導はこれが限界なのでしょうか。」

「いつか死を選ぶのではないか。」

これは、仙台市に住んでいた小学2年生の女の子の母親が残した手記です。
母親は、娘が受けたいじめを学校に訴え続けた末に、去年(2018年)11月、娘とともに亡くなりました。
無理心中とみられています。
何が母親をそこまで追い詰めたのでしょうか。
170枚の手記をもとに原因を探りました。

“娘を救いたい” 母親の手記

母親はまじめで何事にも一生懸命。
娘は明るく、学校が大好きでした。
母親は38歳の時に授かった娘を何よりも大切にしていたと残された父親はいいます。

父親
「子育てを全力でやっていました。
娘の一番の宝物はママ。
2人で一心同体です。」

「同級生からいじめを受けている」。
娘が両親にうちあけたのは、亡くなる半年ほど前のことでした。
登校中に近くで棒を振り下ろされたり、無視されたりしているという内容でした。
母親から相談を受けた学校は、娘とその同級生を呼んで、仲直りさせようとしました。
話し合いの最後には、握手を求めたといいます。

母親が書き残した手記には、自分の意思に反して握手をさせられた娘の気持ちが克明に記されていました。

「その時は泣いていて自分の意見が言えなかった。
握手したくない気持ちがあり、握手しないように後ろに引いた手を、先生がひっぱり握手をした。」

娘はその後もいじめを訴え続け、学校を休みがちになりました。

そんなある日。
母親は娘から渡された手紙に大きなショックを受けます。

「いじめられてなにもいいことないよ しにたいよ しにたいよ。」

母親はすぐに学校に手紙の内容を伝え、対応を求めました。
しかし学校側は「手紙は宿題をやりたくないから書いたのでは」と判断したといいます。
学校に不信感を募らせた母親。
その後、教育委員会ともやりとりをしましたが解決には至りませんでした。

さらに母親を追い詰めたのは、周囲から孤立しているという意識でした。
母親を知る保護者のひとりは、助けられなかったことが残念でならないといいます。

母子を知る保護者
「どうしてそうなっちゃったのかというところも含めて、一緒に考えてあげられたらすごく良かったなと思う。」

母親のスマートフォンにSNSのやりとりが残されていました。
いじめがわかってしばらくは、頻繁に友人に相談をしていました。
変わったのは以下のやりとりのあとです。

「自分がいじめの話を言いふらしていると言われました。」

これ以降、友人への相談も減っていきました。

日に日に精神状態が悪くなっていった母親。
見かねた父親はこんな提案もしたといいます。

父親
「引っ越しをしようという話もしたんですけど、そこまでの気力がないと妻に言われた。」

親子3人で祝った結婚記念日。
娘はメッセージをくれました。
その1週間後、母親は娘を連れて命を絶ちました。
父親はいまも真相を追い求めています。

父親
「妻は(娘の)つらい姿をずっと見続けているので、つらかったんだと思います。
勝手に二人で悩んで死んだと世の中に思われたまま、終わりたくない。」

学校や仙台市教育委員会は、大学教授などでつくる第三者委員会に依頼して事実関係の調査を進めていますが、不登校といえるのかどうかなどをめぐっても父親と認識が食い違い、本質的な議論に進んでいないのが現状です。

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