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2019年7月30日(火)

世界が注目! 新アイデアはアフリカに

今、新たなビジネスのアイデアの宝庫として、世界から注目を集めている場所があります。
その場所は、アフリカです。
日本も含めた海外からの新ビジネスへの投資額は11億ドル、日本円で1,200億円を突破。
2015年からの3年で、4倍に急増しています。
なぜ今アフリカに、熱い視線が向けられているのでしょうか?

世界の投資家が注目! 新アイデアはアフリカに

電線も水道も通っていないケニアのサバンナで、住人が手放せないというのがスマートフォンです。
ケニアでは携帯電話の普及率が100%を超え、インターネットがどこでも使えるようになっています。
充電に使うのは太陽光パネルです。

スマートフォンを使っているケニアの人
「毎日、新しい情報が入ってきて役立つし、うれしいです。」

情報通信技術が急速に普及したことで、アフリカでは今、新たなビジネスが次々と生まれています。

ケニアの郵便事情に革命を起こしたサービスがあります。
携帯電話のGPSを使い、受け取り人がどこにいても荷物を届けます。
ケニアでは、ほとんどの建物に正式な番地が割りふられていません。
手紙や小包は郵便局にある私書箱まで来れば受け取れますが、契約料が高い上に、数が圧倒的に不足しています。
そこで「住所」の代わりにしたのが携帯電話。
住所がないケニアで、配達物がきちんと届くようになったのです。

サービスを利用した人
「ネットで買った物を届けてもらえるようになりました。
携帯電話1台で、何でも手に入るようになったんです。」

このビジネスを立ち上げた、起業家のアブドゥルアジズさんです。
アイデアのきっかけは、自分自身の苦い経験でした。
公務員試験を受けたとき、合格していたのに期限内にその通知を受け取れず、就職のチャンスを逃してしまったのです。

この会社を後押ししている日本人がいます。
投資会社を経営する寺久保拓摩さん。
今年(2019年)1月、およそ1,000万円を投資し、システムの実用化を支援しました。

ケニア政府はこのサービスを郵便事業に導入し、利用者は現在4万人と急拡大しています。
寺久保さんは、その将来性を見込んだのです。

寺久保拓摩さん
「物流のインパクトはとても大きく、それによって経済が一気に加速するので、物を届けるサービスを作っていくっていうところに可能性しか感じないですね。」

寺久保さんがこの仕事をすると決めたのは大学生のとき。
途上国を訪れ、起業家たちがビジネスで生活の不便さを変えていこうとする姿を目の当たりにしました。
こうした起業家を数多く生み出すことができれば、世界を変えられるのではないかと考えるようになったのです。
そこで寺久保さんが去年(2018年)つくったのが、アフリカに特化したベンチャーキャピタルです。
日本の企業から集めた資金を、「これは!」と見込んだ現地の起業家に投資します。
集めた資金はおよそ3億円。
日本の企業も、投資の利益だけでなく、斬新なアイデアが自分たちのビジネスにもつながるのではと期待しているのです。
寺久保さんは、投資している郵送サービスを他の事業と結び付けて、ビジネスの拡大をねらっています。
ケニアでネット通販の可能性が広がった今、新たな投資先として検討しているのが家庭用のガスを届ける会社です。

ケニアでは、プロパンガスがほとんど普及していません。
街なかのスタンドまで行って購入し、タンクを持ち帰る必要があったからです。
会社の経営者は、タンクをインターネットで販売し、配達までできれば大きな需要があると考えています。

寺久保拓摩さん
「見ている将来像みたいなのがすごく明確で、おもしろいですね。」

さらに、日本の大手バイクメーカー・ホンダもこの動きに加わろうとしています。

物流サービスが拡大すれば、配達のため、より多くのバイクが必要になることに注目したのです。
メーカーでは、お金がない人でもバイクを使った仕事を始められるように、得られた収入からバイクの購入代金などを支払うという仕組みを作ろうとしています。
日本にいる担当者も交え、寺久保さんの意見を聞きながら、ケニアで起きている変化に合わせた販売方法を模索しています。

ホンダ プロジェクトリーダー 向原穂高さん
「先進国とか、今あるビジネスに凝り固まっている僕らにとっては、非常に刺激を受けて、かつ可能性が見いだせる土地だと思っています。
会社として、何か発展するチャンスが見えてくるのではないかなと考えています。」

寺久保さんは、世界中に拠点を持つ日本企業と連携することで、アフリカで生まれた仕組みを世界に広げていきたいと考えています。

寺久保拓摩さん
「ここで解決できたら世界中どこでも解決できるだけのノウハウを得られると思ったので、それを一緒に起業家と作りたい。
いずれはここで生みだしたものを、日本だったりとか他の先進国に持って行くっていうところが最後のミッションですね。」

これまで私たちはアフリカに対して、先進国で培った知識や技術を伝えることで支援をしようという発想をしてきました。
しかしいまや、課題が多いアフリカだからこそ、先進国の人たちが思いも寄らない斬新なアイデアが生まれています。
これは物流の分野にとどまらず、例えば学校や病院のない地域で遠隔教育や遠隔医療をするサービスもあります。
アフリカで生まれたビジネスが、私たちの生活に大変革をもたらす。
そんな日が来ることを、十分な現実味を持って感じることができました。

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