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2019年7月20日(土)

“本物を届けたい” 佐渡裕さん 舞台芸術に挑む

兵庫県内の劇場で行われている、ある公演。
監督をつとめているのは、指揮者の佐渡裕さんです。
『一流のエンターテインメントを市民に』と、1年以上かけて準備してきました。

佐渡裕さん
「今回はミュージカルを超える、オペラを超える、舞台作品としておもしろいものを作りたかった。」

佐渡さんに、作品に込めた思いと、その魅力をうかがいました。

“本物の芸術を届けたい”

1944年に制作されたミュージカル、「オン・ザ・タウン」。
水兵たちがつかの間の休日に、あこがれのニューヨークを満喫する様子を描いています。
最大の特徴は、ジャズやクラシックなど、さまざまなジャンルの音楽や踊りが取り入れられていること。
佐渡さんは、世界で活躍する演出家や歌手、ダンサーを招へい。
オーケストラと合わせて、100人もの出演者を融合させる舞台に挑んでいます。

ステージと音楽を一つにまとめるために、佐渡さんがリハーサルで入念に練習してきたことがあります。
それは、せりふに絶妙なタイミングで音楽を入れることです。
さらに、踊りのステップとも息を合わせるため、ダンサーと綿密な打ち合わせを重ねてきました。
2時間以上にもわたる舞台。
分厚い楽譜には、ぎっしりと指示が書き込まれていました。

佐渡裕さん
「ダンサーのほうからいっぱい注文出てくる。
一緒に作ってるからこういう舞台芸術はおもしろい。」

このミュージカルを作ったのは、佐渡さんの師匠、レナード・バーンスタイン。
20世紀を代表するアメリカの指揮者です。
徹底的に“本物の芸術にこだわる”姿勢を間近で見てきた佐渡さんは、その思いを今回の舞台作りにいかしています。

“足を運んでくれた人に、最大限、楽しく過ごしてほしい”。
音楽とともにこだわったのは、異例の多さとなる24回のセットチェンジです。
次から次へと舞台の雰囲気を変えていくことで、見ている人を引き込んでいくねらいです。

佐渡裕さん
「舞台セットを見て、どれだけ思いが入っているのか力を入れているのが見えてくるので、歌手のレベルもダンサーのクオリティーも大事なんだけど、この兵庫の舞台は最高のものを届けたいと思っている。」

“本物の芸術を伝えたい”。
佐渡さんは、今回の舞台を通して、音楽家としての思いを新たにしていました。

佐渡裕さん
「バーンスタインに一番最初に会ったときに、“おもしろい日本人を見つけた。こいつはじゃがいもみたいなやつで今は泥がいっぱいついているけど、この泥をきれいに拭き取ることができたら世界中の人が聴くような音楽を作るやつになるだろう”って。
それを亡くなってから聞いた。
これは僕にとって宿題みたいなもので、1人でも多くの人に、オーケストラの魅力、音楽のおもしろさを届けることだと思っている。」

こうした佐渡さんの活動は、15年前から行われています。
その中で、「本物の芸術を届けたい」と思うようになっていったそうです。
衣装や装置などを手がける裏方のみなさんも、それぞれ強いこだわりをもっていました。
多くの方の思いを佐渡さんがまとめ上げ、一体となってすばらしい舞台を作っているのだと感じました。

(おはよう日本 アナウンサー 石橋亜紗/ディレクター 吉岡展史)

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