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2019年5月31日(金)

プラスチックごみ 世界最大の輸出国 アメリカは今

高瀬
「プラスチックごみの処理をめぐって、日本を始めとする先進国では今、早急な対策が求められています。
大量のプラスチックゴミを受け入れてきた中国が、去年(2018年)1月、環境汚染を理由に突如、受け入れを停止したからです。」

和久田
「中でも、プラスチックごみの世界最大の輸出国のアメリカでは処分をめぐって、深刻な影響が広がっています。」

中国 プラごみ受け入れ停止 家庭への影響は

リポート:飯田香織支局長(ロサンゼルス支局)

南部バージニア州に住むマヤ・カルツェバさん、41歳です。
プラスチックごみをできるだけ出さないよう、心がけています。
子どもたちに持たせる昼食を入れているこの袋。

マヤ・カルツェバさん
「毎日洗ってるのよ。」

これまでは使い捨ててきましたが、今は洗って再利用しています。
週に1度の、ごみ回収日。
これまで自治体は、リサイクル可能なプラスチックごみと一般ごみは分けて回収していました。
しかし、先月(4月)からは市民に対しプラスチックごみも一般ごみとして出すよう指示。

中国が受け入れを停止したことで、リサイクル資源としてプラスチックを回収できなくなったからです。
プラスチックごみを一般ごみとして出すことに強い抵抗を感じているマヤさん。
家の中には、ごみが増えていく一方です。

マヤ・カルツェバさん
「プラスチックに入ったものを買わないというのは無理です。
これまでは、私たちのごみを受け入れてくれる外国のおかげで、いかに多くのプラスチックごみを出しているのか、全く気づかずに過ごしてきました。」

埋め立て処分に踏み切る自治体も

バージニア州のごみ処理場です。
先月からプラスチックごみを一般ごみとして埋め立て処分しています。

焼却施設が整備されている日本と異なり、アメリカではごみは埋め立て処分されるのが一般的です。
分解されるまで400年以上かかるものもあるプラスチックは、埋め立てには適さないとされリサイクル資源として多くを中国に輸出してきました。
その中国が受け入れを停止した今、プラスチックの埋め立て処分に踏み切る自治体が増えています。

埋め立て処分する ハリソンバーグ市 幹部
「市民にはプラスチックごみを一般ごみとして捨てるようお願いしています。
環境に優しくないことは分かっていますが、しかたないのです。」

こうした中、リサイクル資源としてプラスチックごみの受け入れを続けている環境保護団体にも影響が広がっています。
中西部イリノイ州で活動するこの団体にはプラスチックごみの持ち込みが急増しています。
回収をとりやめた自治体が増えたことで100キロ以上離れた地域からゴミを運んでくる人までいると言います。

利用者
「これを埋め立て地には捨てたくないわ。
プラスチックって環境に悪いでしょ。」

この団体のごみは、業者を通じて中国に輸出されてきました。
しかし、今では急増するプラスチックごみを持っていく場所がなく、ごみはたまっていく一方です。

環境保護団体 広報担当者
「今のところ打つ手もないし、この先に展望は全くありません。」

サンフランシスコ プラごみ対策のカギは?

各地で影響が広がる中、注目されているのが西海岸のサンフランシスコです。
リサイクル率を高め、原則として、プラスチックごみの埋め立てを行っていない環境先進都市です。
この処理業者は最先端の装置を導入しプラスチックごみを8種類にまで細かく分別。
資源としての価値を高め、アメリカ国内での引き取り手を確保しています。

手間がかかるため、一日に処理できる量はおよそ700トン。
そこで、この業者は自治体と連携し、プラスチックごみを減らすためのPR活動にも力を入れています。

PRビデオ
「あなたにもできる事があります。
使い捨てプラスチックの使用の“拒否”です。
例えば、プラスチックのストローや袋、カップなどがあります。」

ごみ処理事業者 広報官
「プラスチックを減らす最善の方法は、市民の行動を促すことです。」

市民の意識も高まっています。
最近、人気を集めている市内のスーパーです。
店では、プラスチック容器に小分けされた商品を極力扱わないようにしています。

基本は量り売りです。
客は自ら持ち込んだ容器に必要なだけ商品を入れます。
はちみつ、シャンプーやハンドソープ。
さらには小麦粉やゴマまで。

利用者
「ここはユニークで、とても満足できます。
負担はありますが、その価値はあります。」

こうした官民をあげた取り組みで、サンフランシスコのプラスチックごみの量は年々減り続けています。

サンフランシスコ市 担当者
「プラスチックごみをほかに売ればいいという問題ではない。
大事なのは、プラスチック製品が本当に必要か、市民に考えてもらうことです。」

対策求められる先進国

高瀬
「ロサンゼルスにいる飯田支局長と中継がつながっています。」

和久田
「飯田さん、中国の受け入れ停止の余波がここまで広がっているんですね。」

飯田香織支局長(ロサンゼルス支局)
「アメリカでは、いろんな不便に直面して、そこで初めて問題の深刻さに気づく市民が多いんです。
そんな中、VTRにも出てきた、先進的なサンフランシスコ市をモデルに、プラスチックごみの削減に努める自治体が全米で増えています。」

和久田
「日本も、ひと事ではありませんね。」

飯田支局長
「日本国内でも今、処理しきれないプラスチックごみがたまり続けていて、この点はアメリカと同じなんです。
ただ、日本が海外に輸出しているプラスチックごみは、事業者が出すごみが中心なので、現時点では、一般家庭への直接の影響は少ないとみられています。
一方で、地域によっては、ごみ処分場に、ごみがうずたかく積まれるようになって、近隣住民が不安を感じるようになるなど、切実な問題が起きつつあります。」

高瀬
「この問題の解決のカギは何だと考えますか?」

飯田支局長
「これまでは3つの『R』として、ごみを減らす『Reduce』、使い続ける『Reuse』、そして再利用する『Recycle』が大事だとされてきました。
これに加えて、こちらでは、VTRにもありましたけれども、これからは『Refuse』、拒否することがカギだと言われています。
使い捨てのプラスチック容器を市民の側が『拒否』することで、企業に重い腰を上げさせて、ものの売り方、買い方から変えていこう、というわけなんです。
日本でも、この4つ目の『R』が注目を集める日がそう遠くはないかもしれません。」

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