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2019年4月25日(木)

“空飛ぶクルマ”最前線 日本は?

和久田
「未来の交通インフラとして注目される“空飛ぶクルマ”。
今、世界で開発競争が激しくなっていて、日本企業も動き出しています。
開発の現場を取材しました。」

SFの世界が現実に!? 開発現場に潜入

先月(3月)、メディアに公開されたバイク型の試験機。

エンジンをかけると、すぐに浮き上がりました。
空中で安定した姿勢を保ちつつ、前進。
ターンも自在にできます。
3年後には、50センチほど浮いた状態を保ち、時速100キロで飛行することを目指しています。

災害救助などでの活用を想定しています。
開発したのは、都内のベンチャー企業。
14人の技術者たちは、大手電機メーカーなどからの転職組です。

さらに、日産でエンジン開発を手がけた技術者と組むなど、外部の知恵を積極的に取り入れています。

A.L.Iテクノロジーズ 荒川康弘さん
「新しい世界を見てみたい。
製品としてダイレクトに社会を変えられるものができればいい。」

「エンジン回します。」

もっとも難しかったのは、機体をいかに安定させるかでした。
当初、浮力を高めるためにプロペラの羽を5枚にしたところ、空気の流れが複雑になり、大きく揺れてしまいました。
そこで、100通りの設計を試した結果、羽を3枚に減らし、ひと回り大きくすることで、揺れを抑えることに成功したのです。

A.L.Iテクノロジーズ 荒川康弘さん
「今まで夢物語だったところもあると思うが、それがもう夢ではなくなって、一歩手前まで来ている。
これから先はどんどん加速していくのではないか。」

激化する開発競争 日本勢はどう戦う?

飛行機よりも低い空域での活用が見込まれる“空飛ぶクルマ”。
今、世界で開発競争が激化しています。
アメリカのボーイングは、飛行機をベースに。

中国の新興メーカーはドローンを大型化させ、人を乗せて飛ぶ実験にも成功しています。

一方日本では、ドローンを手がけるベンチャー企業などが開発を担っています。
互いに勉強会を開き、情報交換を行うなど、団結して海外勢に追いつこうとしています。

機体を開発する企業
「(ほかの企業は)当然ライバルの面もあるが、業界として盛り上げていかないといけない。」

「みんなでいい製品を作っていけたらいい。」

さらに、企業を資金面で支えるファンドも登場。
立ち上げたのは、投資家としてIT企業などを成長させてきた千葉功太郎さんです。
企業のトップと面会し、出資を呼びかけています。

ドローンファンド 創業者 千葉功太郎さん
「相当なボリューム感で(機体の)バリエーションが広がるんじゃないか。」

ゼンリン 髙山善司社長
「この3年で(開発が)相当進みましたね。」

これまでにおよそ100社とかけあい、65億円以上を調達しました。

ドローンファンド 創業者 千葉功太郎さん
「空の産業を作るというのは、間違いなく将来立ち上がる市場であると。
このまま僕が見逃すと、日本はこの分野で世界に置いていかれる可能性があると思った。」

千葉さんは、このバイク型の機体を手がける企業にも投資。
いち早く実用化できる“空飛ぶクルマ”として、期待を寄せています。

ドローンファンド 創業者 千葉功太郎さん
「未来の乗り物を“社会実装”する大チャレンジなのではないか。
勝負していかなくてはいけないという使命感を持っている。」

“低空域”を生かせ

和久田
「いったいどんな景色が広がるのか、まだ想像がつきませんね。
取材した経済部の鈴木記者に聞きます。
この“空飛ぶクルマ”ですが、実際にどんな場面で実用化されるのでしょうか?」

鈴木啓太記者(経済部)
「タクシーとしての利用、災害救助、それに物流での活用などが想定されています。
飛行機が飛ぶ範囲より低い空域を開拓することで、いわば“空の交通革命”が起きると期待されているんです。」

高瀬
「本当に夢が広がりますね。
ただ、たくさんの機体が空を好き勝手に飛び回ったら、大変な状況になりますよね?」

鈴木記者
「もちろん、飛行ルートをどう定めるかなど、インフラ面での準備も欠かせません。
すでに実用化されているドローンを活用した、“空の道”作りも本格化しています。」

“空の道”を作り出せ! 安全確保への模索

地図会社のゼンリンです。

「通信はLTEですか?」

「LTEを使っています。」

専門の部署を立ち上げ、機体が飛行する“空の道”作りを進めています。
カギは、既存の建造物を“道しるべ”として活用すること。
そのひとつが「送電線」です。
集落間を効率的に結んでいることに着目しました。

さらに有効な“道しるべ”となるのが、川です。

「(ドローン)飛ばしていいですか?
お願いします。」

上空に障害物がほとんどないことに加え、万が一トラブルが起きても、周囲に被害を及ぼしにくいためです。

ゼンリン ドローン推進課 深田雅之課長
「ドローンも“空飛ぶクルマ”も同じ環境で飛んでいくと考えると、やはり道路がいる。
きちんとしたモデルを、ある地域でまず実現したいと思っている。」

一方、複数の機体が空を行き交う未来を見据えたプロジェクトも動き出しています。

「8機目のドローンが飛び立ちました。」

NEDOと大手通信会社など8つの企業や団体が共同開発しているのは、機体どうしが衝突することなく飛行できる「運航管理システム」。
それぞれの機体が通るルートや、気象データなどをもとに、最適な運航計画を決定できます。

今年度中に100機が同時飛行する実験を行う予定で、世界に先駆けてシステムを完成させる計画です。

NEDO ロボット・AI部 宮本和彦さん
「日本として、インフラをもって、それを海外に提案する。
国力を支えていく大きな力になってくる。」

実用化はいつ?

和久田
「機体の完成を待たずに、もうルート作りまで進んでいるんですね。
実際に実用化されるのはいつ頃になるのでしょうか?」

鈴木記者
「国がまとめたロードマップでは、2020年代後半からと見込まれています。
今、国も参加して安全に飛行するためのルール作りが進められていて、日本の企業が存在感を示せるようになることを期待したいと思います。」

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