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2019年4月20日(土)

どうなる? ふるさと納税

しっとりした生地に、上品な甘さ。
長崎伝統のカステラです。
4年前、ふるさと納税の返礼品になったことがきっかけで、全国から注文が殺到。
生産量がおよそ2倍になったんです。


カステラを作っているのは、平戸市にある、老舗の和菓子店。
主力商品は、別の和菓子だったんですが…。
ふるさと納税の返礼品にカステラを出してみたところ、年間2,000本が売れる大ヒットになりました。

和菓子店店主 熊屋誠一郎さん
「長崎の人間にとって(カステラは)当たり前の商品なので、僕もそんなに需要があるとは思ってなかったんですけど。」

寄付の総額が、3,653億円にも上る、ふるさと納税。
ところが今、その返礼品をめぐる制度の変更が決まり、大きく揺れています。

新井
「どういうことなのでしょうか。
スタジオには取材した塩田アナウンサーです。」

塩田
「『ふるさと納税』を簡単におさらいしましょう。
自分のふるさとや応援したい自治体に“寄付”をするというものです。
寄付をした人は税金の控除が受けられます。
そして、自治体から送られてくる返礼品が今回のテーマなんです。」

新井
「この返礼品をめぐっては、いろいろと話題になっていますよね。」

塩田
「ギフト券やタブレット端末など、高額な返礼品を扱うところが相次いだため、総務省はこれまでも通達を出して改善を求めてきたのですが、今回、より厳格にしようと、法律が改正されたんです。
ルールのポイントは、返礼品は『寄付額の3割以下であること』『地場産品』であること。
これが主な柱です。
基準を守らない自治体は、6月以降、制度の対象から外されることになります。

ルールが厳しくなる中、今、多くの自治体が戦略の見直しを迫られています。」

アイディアで大成功! でも新ルールで…

塩田
「福岡県の赤村にやってきました。
自然豊かな地域、思わず大きく深呼吸してしまいそうなところです!」

人口3,000の赤村。
全国にアピールできるような特産品が少ないことが悩みでした。
村自慢の特産品を、地元の人に聞いてみると…。

「たけのこ。」

「はくさい。」

「きれいな水。」

新井
「うーん、他の地域にもありそうですね。」

そこで、赤村役場は考えました。

“あか、むら”

石橋
「これ、村の名前ですよね?」

赤村がこだわったのは、全国では珍しいという、色がそのまま自治体の名前になっているという点です。

塩田
「少し前のものですが、赤村の返礼品のカタログを入手しました。
『アカログ』と書いてあります。
中を見ますと、返礼品、『赤い』ものが多いんですね。」

赤い「豚肉」「イチゴ」「トマトケチャップ」。
福岡名産の「からしめんたいこ」「あか牛のステーキ」に「バラ」。
さらに「名前に赤がつく焼酎」など、とにかく赤いものを揃えました。

この作戦が大成功。
村の予算の3分の1近い、およそ10億円が集まりました。
返礼品のイチゴを作っている、地元の農園です。
障害者の就労支援施設が運営する、こちらの農園。
返礼品になるまでは利用者の家族が購入する程度でしたが、今では売り上げが3倍に。
栽培する農業用ハウスも、2棟から5棟に増やしました。

塩田
「つんだばかりのあまおう、いただきます。
うん、甘い!口の中に甘さがぶわーっと広がってきますね。
ジューシーです。」

しかし、この“赤”にこだわった作戦に“待った”がかかります。
みなさん、覚えてますか?
「寄付額の3割以下」で「地場産品」のルール。
地元で作られていたイチゴは問題なかったものの、辛子明太子は福岡市、赤牛のステーキやバラも赤村の外で生産。
「名前に赤がつく焼酎」に至っては宮崎県産など、去年12月で返礼品から外さなければなりませんでした。

地元の特産品なのに… 返礼品にできない苦悩

別の自治体では、地元の特産品なのに、返礼品から外さざるを得なかったケースもあります。
三重県の鳥羽市です。
その特産品とは、真珠。
以前は、真珠養殖発祥の地、鳥羽市の返礼品として大きくアピールしてきました。
寄付額は、最も多いときで、5億4千万円に上りました。

ところが、おととし(2017年)4月。
「資産性の高い宝飾品などは返礼品として送付しないよう」と、総務省から通達がありました。

鳥羽市 中村欣一郎市長
「真珠製品については、(2017年)11月をめどに見直します。
宝飾品とはいえ、ふるさと納税の返礼品として理由もつく、うってつけの商品だと今でも思っておりますけど。」

当時、返礼品として真珠製品を提供していた専門店です。
店主の辻本波志武(はじむ)さん。
鳥羽にとって真珠は、ただの宝飾品ではないと考えています。

真珠販売店 辻本波志武さん
「やはり(真珠は)誇りをもっている特産品。
ここ(鳥羽)からはじまったといういう(誇り)、自分たちの地域から出来上がって世界中に広まっていった。」

市は、返礼品として国に再開を求めていますが、認められていません。
真珠製品の代わりとして、辻本さんが返礼品に提案したのが、このチケット。
真珠製品を店に持ち込めば、金具を付け替えたり、好みのデザインに作り直したりしてくれたりするサービスを受けられます。

真珠販売店 辻本波志武さん
「真珠に関わるものを、ふるさと納税の返礼品として残すための苦肉の策というか、考えた結果の返礼品。」

「反響は?」

真珠販売店 辻本波志武さん
「悲しい話、反響は全くございません。」

制度変更でどうなる?

新井
「ルールが変わる中で、自治体も戸惑っているんですね。」

塩田
「そうなんです。
新たな制度では、特産品が少ない自治体のために、都道府県単位や地域的につながりのある自治体どうしで共通の返礼品を設定することも認められることになっています。」

石橋
「ということは、先ほどの赤村であれば、福岡県がからしめんたいこを設定すれば、共通の返礼品にできるということですよね。」

塩田
「そういうことです。
これまでに、東京都を除く全ての道府県と市区町村が、新たな基準に沿って制度に参加する申請を行いました。
総務省は来月(5月)中旬までに参加を認める自治体を決めることにしています。」

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