これまでの放送

2019年4月15日(月)

ゲームから産業・医療まで 広がるMR(複合現実)

2054年を舞台にしたSF映画「マイノリティ・リポート」。
そこで描かれたこちらの技術。
警察官の目の前に浮かび上がったのは、事件現場の写真や容疑者のデータ。
手のしぐさだけで、データを拡大したり。
動画を再生したりと、自由自在に操ります。
今、その技術が現実のものに。
作業現場に浮かび上がるさまざまな動画や図面。
操作は指先一つです。
この技術が今、さまざまな分野にインパクトを与えています。

高瀬
「取材をした、佐藤アナウンサーとお伝えします。」

佐藤
「この技術、『Mixed Reality(ミックスド・リアリティー)』、略して『MR』=『複合現実』と呼ばれている技術です。
今、自分が観ている目の前の風景にCGを重ね合わせることで、その場にあるかのように見せる技術です。
そのCGは、動かすこともできるんです。」

“触れる”CG 感覚も…

今月(4月)開かれた、最新のデジタルテクノロジーを紹介する展示会です。
特に成長著しいのが、ゲームの世界。
ということで、私も体験させてもらいました。

種も仕掛けもない部屋ですが、専用のゴーグルをつけると…。
無数の飛行機や、ロボットが現れました。

佐藤
「私に向けて、ミサイルを撃ってきています。」

和久田
「奥に見えているのが、部屋の中の壁ですね。」

VRと違って仮想の世界ではなく、私がいる現実の部屋の中にCGが現れるんです。

佐藤
「打て打て!」

CGの位置情報の精度を高めていったことで、可能になった技術なのです。

佐藤
「目の前に、こちらに向かってくる感じ。
かなりリアリティーがある。」

和久田
「まさに現実とCGがミックスされているのですね。」

さらに会場には、現れたCGに“触れる技術”も紹介されていました。
目の前に現れたのはヒトデです。
このヒトデに触れることができるというんです。

佐藤
「弾力のある感じ。」

開発担当者
「プニプニした感じを再現している。」

今度はスイカが現れました。
包丁を持ったつもりでスイカに触れると…。

佐藤
「スパッと切れました。
スパッと、刃物を入れていく感覚が伝わってきます。」

CGで見たものに触れますと、指先に実物そっくりの感覚が伝わるのです。
専門家は今後、技術革新がさらに進めば応用できる分野が、いっそう広がるといいます。

立命館大学 柴田史久教授
「最初の時点からすると、着実に技術のレベルが上がってきていて、実際に一般の人とか、現場で活用していく段階に進みつつある。
軽量、小型でどこでも使えるといった形になってくると、ミックスド・リアリティー(MR)という技術の使える幅がもっと広がるのでは。」

MR 産業や医療分野にも

高瀬
「映画で描かれた世界が、もう本当にそこまで来ているということなんですね。」

佐藤
「そうなのです。
未来の姿が、もう今や現実のものになろうとしているということです。」

和久田
「しかも、ゲームやレジャーの分野だけではないんですよね。」

佐藤
「このMRですが、今、産業や医療分野にも広がっているんです。
例えば歯科治療。
あらかじめ撮影した患者の、神経のX線写真を実際の歯に重ね合わせます。
医師は、通常は見えない神経を透視しながら、治療できるのです。

こうすることで、痛みが少ない治療が可能になると期待されています。
患者のカルテを、ワンタッチで目の前に広げることも出来るんです。」

和久田
「指先で触って、拡大していますね。」

佐藤
「こうした技術は、日本の社会や産業が直面している技術の伝承や人手不足といった、課題解決の突破口になると期待され、一部で活用が始まっています。
その現場に初めて、テレビカメラが入りました。」

人手不足 技術伝承… 解決の切り札に

東京電力の変電所です。
変電所には無数の計器やケーブルが、複雑に配置されています。
地域に電力を送る要の施設だけに、管理には膨大な専門知識や技術が欠かせません。

「操作、開始します。」

そこで活用されているのが、MRです。
若手の作業員が呼び出したのは、送電に関わる装置の配線図。

例えばトラブルが起きた場合、こうした図面と現場を突き合わせて原因を調べます。
作業手順が分からなくなった時に備えて、こんな機能が…。
ベテラン作業員の手本の動画を再生して、確認することができます。

さらに、こんな機能も。
危険な場所に立ち入ると耳元で警報が鳴って、警告画面が現れます。

かつては、こうした作業には熟練の作業員が立ち会い、膨大な資料を現場に持ち込む必要もありました。
しかし、MRを取り入れてから、作業時間が大幅に短縮されたといいます。
8年前の福島第一原発の事故のあと、依願退職や経営の合理化などで社員が6,500人も減った東京電力。
人手不足の中、技術を伝承する切り札としてMRに期待を寄せています。

東京電力 小島英夫さん
「技術をどうやって残して、中堅若手にこれを過不足なくできるようにしていくか。
MR技術の適応できる範囲、これは大きく貢献してくれると確信している。」

佐藤
「この技術、ほかにも災害の疑似体験や教育などの分野など、さらなる活用が広がることが期待されています。」

Page Top