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2019年4月14日(日)

“メーク”が映した平成 変化の背景に何が…

新井
「平成の終わりまで、残すところあと半月です。」

石橋
「今日(14日)は、“女性の美”から平成を振り返ります。
こちら、平成に流行したメークを再現したものなんですが、実は全部、同じ女性なんです。」

新井
「メークだけでこんなに変わるんですね。」

石橋
「女性のメークはまさに『時代の映し鏡』。
この変化の背景にはなにがあるんでしょうか。」

メークで平成を読み解く

先月(3月)開かれた、世界的デザイナー、コシノヒロコさんのファッションショー。
このショーで、メークを担当したのが、資生堂の鈴木節子さんです。

パリやニューヨークのコレクションで活躍する鈴木さん。
長年、世界のトレンドを肌で感じてきました。
鈴木さんが帰国するたび感じたのは、日本の独自性。
海外とは違ったトレンドが生み出され、時代とともに移り変わってきました。
そこで、まもなく幕を閉じる平成を、メークの変遷で読み解くことにしたのです。

資生堂 トップヘアメイクアップアーティスト 鈴木節子さん
「海外から帰ってきた時、渋谷の女の子を見て、すごく独特だなと思った。
美容がいろいろな世の中の出来事と影響し合っている。
世の中の空気と連動している。」

平成30年 メークで見る女性たちの生き方

鈴木さんは、時代ごとのトレンドを知るため、1万人を超える女性たちへの街頭調査、そのときどきのあらゆる雑誌、ファッションショーでのメークを徹底的に分析。
すると、この30年の特色が浮かび上がってきました。
さらに、当時の出来事や、経済の指標として株価と重ねてみると、女性たちの生き方まで見えてきました。

株価が3万8,000円を超え、バブル絶頂期で始まった平成初期。
女性たちはボディラインを強調し、派手なメークで女性らしさをアピールしました。

資生堂 トップヘアメイクアップアーティスト 鈴木節子さん
「一番の特徴は、真っ赤、ローズピンクといったすごく華やいだ色の口紅。
きちんとしっかりとした眉を描いていて、装いはとても華やか、女性らしい。
バブル経済で沸いている時期、華やかな女性がムードを盛り上げていた。」

その後、バブルが崩壊。
大手金融機関が相次いで経営破綻するなど、景気が冷え込むと、女性たちの表情も一転します。

資生堂 トップヘアメイクアップアーティスト 鈴木節子さん
「(バブル)崩壊後、(株価が)下がってきた時、とても冷めた表情になっている。
ベージュ、ブラウンなど赤みを押さえた、顔色がないようなかっこいい女性、クール系ファッションに憧れて、まねした時代だった。」

平成20年には、リーマンショックが起こります。
このころ深刻化したのが、格差問題。
「勝ち組・負け組」という言葉も広がる中で安定志向が高まり、「婚活」がブームに。
その時、登場したのが、つけまつげで目を大きく見せる“盛り”メーク。
男性目線を意識したものに変わっていきました。

資生堂 トップヘアメイクアップアーティスト 鈴木節子さん
「色味はナチュラルだが、よく見ると盛っている。
アイラインはしっかり囲んで、つけまつげは二重につけている。
続いてきた平成不況から、先行きが不透明、不安感が募る。
おのずと安定志向が高まってきて、婚活ブームが“モテメーク”と無縁ではなかった。」

この「盛りメーク」の時代の後、飾りすぎない「自然体」のメークにがらっと変わります。

その間に起こったのが、東日本大震災です。
未曾有の大災害は、女性たちの価値観も一変させたといいます。

資生堂 トップヘアメイクアップアーティスト 鈴木節子さん
「本当に必要なものは何か、生活の上で重要なものは何か。
二重につけまつげをつけなくていいかもしれない、一回脱ぎ捨ててもいいと思えた。
湯上がりチーク、涙袋メークの“脱力系”になっていて、盛っていた、頑張っていたヘアメークがナチュラルに変化した。」

そして、景気の緩やかな回復が続き、次の時代への期待が高まる平成の終わり。
再び女性たちが手に取ったのは…。
あの、鮮やかな赤いリップでした。

資生堂 トップヘアメイクアップアーティスト 鈴木節子さん
「太眉だが、黒々とした80年代、90年代の太眉でなく、赤みを帯びた明るい眉色。
赤リップでも、少しクリーミーな質感。
軽やかで、今どきにアップデートされていた。
“前向きに生きていきたい”と思った時、身近なもので簡単に気持ちのスイッチを入れてくれるのが、赤リップだったのでは。」

平成の30年。
女性の社会進出が進む中、時代に同調するのではなく、逆に、一人一人が「自分らしさ」を表現する時代へと変わってきたと、鈴木さんは感じています。

資生堂 トップヘアメイクアップアーティスト 鈴木節子さん
「“誰々になりたい”という時代ではなくなってきていて、自分がどうしたいか、どういう表現をしたいか、ほかの人と違う自分はどう表現できるか。
自分発信でスタイルに合ったものを求める時代になってきた。」

報告:寺田麻美(経済部)

女性のメーク 今後は?

新井
「こうして見ると、見た目だけではなくて、この30年で女性の生き方も変わってきたということなんですね。
石橋さんは、どのあたりからメークを始めたんですか?」

石橋
「私は、“盛り”メークの頃からですね。
大学でも髪を巻いたりして、すごく華やかでした。
そして今後どうなるかというのも気になりますが、こちら、鈴木さんが予想するメークです。

トレンドにとらわれず、個性を際立たせるメークが流行るのではないかと分析しています。
みんながこのメークになるのでなくて、それぞれ自分の価値観を大事にするメークになっていくということです。」

新井
「『多様性の時代』と言われていますが、メークも誰かをまねするのではなくて、自分をどう輝かせることができるのかというのを考えていく時代になっていくのかもしれませんね。」

石橋
「次の時代が楽しみですね。」

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