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2019年4月6日(土)

トランスジェンダー 受け入れる側 どうする?

先週、渋谷で行われた合同就職説明会。
対象にしているのは、LGBT・性的マイノリティの人たちです。
LGBTの採用に積極的な企業と出会える、貴重な機会です。

トランスジェンダー
「自分自身を隠さないで働きたい。
そういった企業との巡り合わせが難しい。」

トランスジェンダー
「もっとここに参加して下さるような企業が増えてくれたらいい。」

人手不足の日本。
にも関わらず、LGBTであることを理由に、働く機会を奪われる当事者も少なくないのが現状です。

Job Rainbow 星賢人代表取締役
「LGBTであることは、仕事の能力に全く関係がない。
これだけ人が減っている中で、多様な人材が活躍すべき場所で活躍できていない現状は、大きな日本社会の損失。」



新井
「LGBTという言葉、最近見聞きすることも多くなりましたが、大手広告代理店のインターネット調査では、回答した人のうち8.9%が『LGBTに該当する』と答えたという結果も出ています。」

石橋
「特に働く上で課題が多いのが、トランスジェンダーの人たち。
本人が自認している性別と、戸籍の性別が違うためです。
およそ15%が仕事をしていないという調査結果もあります。

もし、これまで男性として接してきた同僚に、『自分は女性だ』と打ち明けられたら、あなたならどうしますか?」

職場で理解が得られない トランスジェンダーの苦悩

リポート:柳田理央子(おはよう日本)

男性として生きることに違和感を持ち続けてきた、会社員のAさん(40代)です。
高校時代から、隠れて女性の格好をすることもありましたが、親に見つかるたびに、とがめられたと言います。

Aさん
「もう“変態”って感じで(言われた)。」

男性として就職し、20年以上、自分を押し殺しながら働いてきました。

Aさん
「男性で生きていくほうに矯正されるように生きてきた。」

しかし、次第に耐えられなくなり、去年(2018年)10月、性同一性障害の診断を受けました。
治療を進めれば、体も女性らしく変わっていきます。
もう職場で隠し通すことはできないと、カミングアウトを決意しました。

同じ頃、勤め先で行われた社員研修では、LGBTへの配慮についても触れられていました。
「今なら理解してもらえる」、そう背中を押されたようでした。
しかし、「女性として働きたい」と伝えたAさんに、上司は…。

「私はあなたを受け入れられない。
男性として採用したのだから、これからも男性として扱う。」

さらに、知らないうちに、部署全体に知れ渡っていました。
同僚に説明したくても、上司からは「プライベートなことを社内で話すな」と言われ、孤立してしまったといいます。
一番傷ついたのは、上司から言われた、こんな言葉でした。

「40歳を過ぎたおっさんなんだから。」

Aさんのように、職場で理解を得られない当事者は少なくありません。
連合の調査では、管理職の35%が、同じ職場で働く人がトランスジェンダーだったら「嫌だ」と答えています。

Aさんは、会社を辞めたいと思うこともありますが、40歳を過ぎた今から別の職場を見つけるのは難しく、どうすることもできずにいます。

Aさん
「会社の中で浮いた存在なので、やりづらい。
生きづらい。」

トランスジェンダーが働きやすくなるために

トランスジェンダーの人たちに、どう対応していくのか。
受け入れを検討している企業に向けたセミナーが始まっています。
この日は、就職活動中のトランスジェンダー当事者を招いて意見を聞きました。

就活中のトランスジェンダー 今井秋奈さん
「(性別適合)手術の時に休みはどうなるのか。
どういう制度があるのかは気になる。」

さらに、多くの事例を知る専門家から、ケースごとの具体的な対処法についてのアドバイスもありました。

アウト・ジャパン 屋成和昭さん
「まず『そうなんだ』と、しっかりと受け止めてほしい。
トイレとか寮とかを心配されるが、本人が(男女)どちらを使いたいかは聞いてみないとわからない部分もあるので。
相談しながら(決めていくこと)が重要。」

さらに、必要な制度や職場環境について、具体的に解説するeラーニングなどの啓発教材も作られています。制作したのは、これまで障害者についての研修などを手がけてきた大阪のIT企業です。

Lean on Me 志村駿介社長
「会社の中にLGBTの方って、一定数いて、その人たちに配慮が行き届いていなかったり、知らない間に傷つけてしまっていたりしたということに、多くの企業が気づきはじめています。そういった方に積極的に働いてもらえるような取り組みをしていく必要があると危機感を持たれています。」

当事者の声を元に動画を制作し、今月から企業への導入を進めています。

(動画撮影風景:一般社団法人LGB.T 麻倉ケイト代表理事)
「更衣室に関して言うと、利用する時間を時間差にすることや、会議室や個室などの使用を認めることなどから工夫できると思います。」

実際に、トランスジェンダーの人が採用された企業では、働きやすい環境を整えようと試行錯誤が続いています。
このエステサロンでは、1月にトランスジェンダーの瀬川沙織さんを仮採用しました。

瀬川沙織さん
「少しでも多くのお客さんにわかって頂けるように、、私の人柄を見て頂きたい。」

課題になったのは、利用客の反応と、同僚の理解でした。
心は女性といっても、体は男性のままの瀬川さんに、裸を見られたくない客もいるのではないかと懸念の声が上がったのです。

リリエット・ブランジェ 立川店 岡本香織副店長
「『(施術に)入れないお客様が多くないか?』とか『着替えをどうするのか?』とか、『胸(の施術)に入れないぶn、(ほかのスタッフと)給料が一緒なのは違うのではないか?』とか、いろいろ意見はあった。」

リリエット・ブランジェ 立川店 岡本香織副店長
「トランスジェンダーのスタッフなんですが、1月から新しく働くことになりまして。」

そこで、会社ではすべての利用客にトランスジェンダーについて説明。
アンケートを実施して、瀬川さんがどこまで施術に入っていいかを聞きました。
同じ空間にすら居たくないという客もわずかにいるものの、多くは理解してくれていると言います。

リリエット・ブランジェ 立川店 岡本香織副店長
「意見はいろいろあるかもしれないが、厳しい意見は大事な意見として受け取り、(瀬川さんが施術に入ることに)NGを出していたお客様も、瀬川さんの接客がよかったりすると、受け入れ態勢に変わってくれたりすると思う。
やっぱり本人次第かと思う。」

会社側は、客の理解が進んでいけば、おのずと瀬川さんに対する同僚の懸念も払拭(ふっしょく)されていくと考えています。

瀬川沙織さん
「私個人として見て頂いているというか、1人の新人スタッフとして見て頂いている。
いろいろな方をきれいにできるように、私も努力したい。」

石橋
「瀬川さん、本当に一生懸命働いてらっしゃって、やる気に満ちて輝いていましたね。」

新井
「最初に紹介したAさんのように、20年も重ねてきたキャリアは会社側にとっても財産だったと思います。
こうした人たちが才能を発揮できる場が、今後広がっていくといいですね。」


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