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2019年3月27日(水)

増える“多胎児” 育児の現場

高瀬
「双子や三つ子などの、いわゆる“多胎児”。
不妊治療が一般的に普及してきた80年代後半と比べ、その割合は、およそ1.5倍に増えています。」

和久田
「多胎育児には特有の大変さも伴うことから、親たちを支える取り組みが始まっています。」

双子の育児でストレスと不安 親たちをどう支える

リポート:山下佳乃(おはよう日本)

去年(2018年)9月に双子が生まれた、望月瞳さんです。
夫が仕事に行っている日中、生後6か月の爽太郎くんと、涼太郎くんの世話を1人で行っています。

双子の育児は、異なる年齢の子どもを育てるのとは違った大変さがあります。
涼太郎くんにミルクをあげていると…。

望月瞳さん
「爽ちゃん、すぐ行きます。」

「だっこする、だっこする。」

爽太郎くんが泣き出しました。
爽太郎くんをあやしていると…。

望月瞳さん
「ちょっと待ってね。」

涼太郎くんがミルクを吐いてしまいました。

子どもを抱えながら、ほ乳瓶を洗う望月さん。
ふたりの子の別々の欲求を同時に満たさなければなりません。

これは、新生児の1日の授乳頻度を表したものです。
一般に、回数は8回から10回程度と言われています。

そしてこちらが、望月さんの双子が生後ゼロか月だったころ。
ミルクを飲むタイミングがずれ、一日中、授乳をしている状態でした。

双子が生まれてしばらくは、寝る時間がなく苦しみました。

望月瞳さん
「ボールペンで、ぐぐってやったんだと思います。
すごい眠いけど寝られない、『んー!』みたいな跡。
このときの自分の感情を今でも覚えてますけど、ものすごい、イライラなのか、激しい気持ちが出てきて、ぐって。」

2年前、高齢出産で双子を授かった加藤晃子さん。
1歳6か月となる、廉くんと新くんを育てています。

加藤晃子さん
「すぐには妊娠しなかったんですけど、妊娠して、やった!と思っていたら、どうも卵がふたつ。」

生まれたときの体重は、2人とも2,000グラム前後でした。
2人は体調を崩しやすく、その後、入院や通院を繰り返しています。
4月から職場に復帰する加藤さん。
役職ある立場の仕事と育児を両立できるのか、不安を感じています。

加藤晃子さん
「(仕事をしている間)、いろいろな方の助けを借りることになると思うんですけど。
入院になったら大変だし、それでなくても病院に通うのも大変。
どうやっていったらいいかなというのは悩みます。」

進まない仕組みづくり

抱える悩みの多い多胎育児。
30年前に比べて、双子や三つ子が生まれる割合はおよそ1.5倍に増加しています。

多胎育児の現状に詳しい、石川県立看護大学の大木秀一教授は、不妊治療の普及が影響しているとみています。

石川県立看護大学 大木秀一教授
「不妊治療の際に、双子とか3つ子以上ができやすい。
(不妊治療について)データがあるのは、生殖医療、体外受精ですけど、大体20人に1人。
それほど珍しいものではない。」

一方で、多胎育児を支える仕組みづくりが進まないことから、大木教授は、母親たちが育児にストレスを募らせていると言います。

石川県立看護大学 大木秀一教授
「病院の中は守られているので手厚い。
いきなり家に帰って、子育てを2人同時にしなければいけない生活が始まる。
“平等にしてるつもりだが、手のかかる子に時間を割いてしまった”、そういったちょっとしたことでも、罪悪感みたいなのを感じている。」

当事者の視点からサポート

多胎育児を、当事者の視点からサポートする団体があります。
「ぎふ多胎ネット」。
スタッフは、全員、双子や三つ子の母親です。

自身も三つ子の親で、代表の糸井川誠子さんです。
共感してくれる仲間とのつながりが大切だと考え、13年前に立ち上げました。
親たちが悩みを共有する場を定期的に設けています。

参加者
「歩き出したら、2人逆の方向に行っちゃう。」

「困る。」

「あっちこっち行くから、1人では公園行けなかった。」

「ですよね。」

参加した母親
「気持ちを共有し合えたことで、自分のつらさから解放される感じがする。
この場にいるときだけが自分でいられる。」

団体では、定期健診に同行するサポートも行っています。
スタッフが双子の面倒を見ることで、母親は、保健師や栄養士と大事な相談をすることができます。

母親
「本当に今日は余裕がありました。
2人の方に助けていただいて、相談する内容もゆっくり聞けてよかった。」

NPO法人『ぎふ多胎ネット』代表 糸井川誠子さん
「本当に自分のことを気にしてくれている人がいることが、大事な子育ての間のお母さんの支えになる。
幸せだって、双子でよかったと思ってくれるようになってほしい。」

高瀬
「VTRに登場した大木教授によると、多胎育児を行う家庭では父親の育児参加の割合が高いとみられるということです。
多胎児かどうかにかかわらずですが、家庭、職場の理解も欠かせませんね。」

和久田
「大木教授は、そうした社会の理解とともに、育児のサポートは地域によって差があることから、行政や医療との幅広い連携が重要だと話しています。」

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