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2019年1月26日(土)

人類初の月面着陸から50年 栄光の裏を描く映画

「これは人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ。」

1969年、アポロ11号の月面着陸の映像です。
人類初の偉業は各国で中継され、世界中がその1歩を見守りました。
そして今、人類は再び月を目指そうとしています。
今月(1月)、中国は、探査機を月の裏側に着陸させる快挙を達成。
さらにアメリカも、月の近くでの新たな宇宙ステーションの建設を構想しています。

新井
「月面着陸から今年(2019年)でちょうど50年。
来月(2月)、この出来事を描いた映画が日本で公開されます。
主演のライアン・ゴズリングさんが演じるのは、アポロ11号のニール・アームストロング船長。
映画は、彼の知られざる困難と苦悩を描いています。」

小郷
「なぜ、栄光の裏側を描いたのか。
デイミアン・チャゼル監督とゴズリングさんに単独インタビューしました。」

映画“ファースト・マン”が描く アームストロングの苦悩

リポート:河合哲朗(科学文化部)

監督のデイミアン・チャゼルさんと、主演のライアン・ゴズリングさん。
世界中で大ヒットした映画「ラ・ラ・ランド」以来、2度目のタッグです。

デイミアン・チャゼル監督
「月面着陸の成功は皆が知っている。
でも、その影にある失敗はあまり知られていない。
それで私たちは、月での成功だけではなく、払われた犠牲についても映画で描こうと思った。」

映画「ファースト・マン」。
NASAの宇宙飛行士、ニール・アームストロングを主人公に、アメリカの「アポロ計画」を描いています。
前例のない計画に未熟な技術で挑んだ、手探りの宇宙開発。
次々とトラブルに見舞われながら、人類初の月面着陸へと突き進んでいきます。
社会の批判にさらされながらも、無謀とも思えるミッションに挑んだ、知られざる心の内が描かれています。

デイミアン・チャゼル監督
「月面着陸は容易ではなかったということ。
偉業を可能にした人々に敬意を表したかった。」

ニール・アームストロング役 ライアン・ゴズリングさん
「(アームストロングは)多くの資質を兼ね備えた、本当に特別な人だと思う。
自分にはそんな資質はないが、そんな彼を演じられたのはとても幸運なことだった。」

現役宇宙飛行士が語る 家族の苦悩・月への思い

今、その月を再び目指そうと考えている宇宙飛行士が日本にもいます。
大西卓哉さんです。

3年前、国際宇宙ステーションにおよそ4か月間滞在した大西さん。
その経験を生かして、いずれは有人月面探査に参加したいと考えているのです。

JAXA 宇宙飛行士 大西卓哉さん
「月を見上げて、子どものときに、そこにかつて人が降り立ったことがあるというのは、とても大きな、子ども心にも、ものすごくインパクトのある出来事だった。」

映画「ファースト・マン」を見た大西さん。
宇宙飛行士の心情をリアルに捉えていると感じたシーンがあります。
映画では、ミッションに向かうアームストロングの影で、家族が不安に駆られる姿も描かれます。

子ども
“帰ってくるよね?”

家族の気持ちを知りながらも、それを振り払い、宇宙へと向かうのです。
大西さんも、妻や当時6歳と2歳の子どもたちに、大きな負担をかけていたと振り返ります。

JAXA 宇宙飛行士 大西卓哉さん
「例えば上の子、女の子だが、私の前では全然普通に振る舞っていた。
同僚の飛行士に、“宇宙船ってロケットにもし問題があっても大丈夫なんですか?”とか6歳の子どもが聞いていたり、夜、突然泣きだすことがあったりしたと聞くと、子どもながらにそういった父親の職業がストレスを与えていたと感じた。」

大西さんが滞在した国際宇宙ステーションは、地球の上空400キロの場所にあります。
実感したのは、地球との距離の近さでした。

JAXA 宇宙飛行士 大西卓哉さん
「すぐそこに地球があって、何かあっても3時間で帰れる。
家族とも電話もできる、メールも交換できるという意味では、地球から離れてはいるけど、まだつながった状態という意識は非常に強かった。」

その宇宙ステーションと比べ、月は1,000倍ほども遠い場所にあるのです。

記者
「月の砂の上に立つ心境は?」

JAXA 宇宙飛行士 大西卓哉さん
「想像がつかない。
だからこそ行ってみたいという気持ち。」

あの“一歩”から50年 偉業が伝えるものは

月面着陸から50年。
アポロ計画以降、月に降り立った人は、まだ1人もいません。
今回公開される映画は、その1歩の大きさに改めて光を当てます。

ニール・アームストロング役 ライアン・ゴズリングさん
「50年近く前の出来事だが、いつの時代であっても、大きな目標のために自分を犠牲にした人物の物語は、常に人々を魅了する。」

デイミアン・チャゼル監督
「勇気と狂気は紙一重だと思う。
そういった狂気のようなものがなければ、月まではたどりつけなかった。
こうした偉業から“人間はその気になれば何でもできるのだ”という希望を、私たちは感じ取ることができる。」



小郷
「人はなぜ、危険を冒してまで探検に乗り出すのか?
ニール・アームストロングのこんな言葉が残されています。」

“さけが川を上るように、人間には苦難に立ち向かう本能のようなものがあると思う。
それが私たちが月に向かう理由なのだ。”

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