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2019年1月23日(水)

草津白根山噴火1年 “ノーマーク火口”全国に

1年前の今日(23日)、群馬県の草津白根山で噴火が発生。
噴石の直撃を受けた自衛隊員1人が亡くなったほか、スキー客ら11人が重軽傷を負いました。

スキー客
「この世とは思えないほど、映画でも見ているのかと思った。」

長年、噴火が警戒されてきたこの火山。
重点的に監視していたのは「白根山」山頂付近。
しかし噴火は、南におよそ2キロ離れた「本白根山」で起きました。
噴火を想定した監視カメラや、防災計画がない、いわば「ノ-マークの火口」だったのです。
この噴火を機に気象庁が改めて調べ直したところ、噴火リスクのあるノ-マーク火口が、全国21の火山で明らかになりました。

北海道大学 大学院 中川光弘教授
「どの場所にもリスクがある。
その火口がどこなのか、考えないといけない。
課題を突きつけられた。」

“ノーマーク火口” 全国21の火山に

高瀬
「草津白根山と同じように、ノーマークの火口から噴火するかもしれないという火山が、全国各地にあるということです。
災害担当の小林記者とお伝えします。
一体どういうことなのでしょうか?」

小林育大記者(社会部)
「草津白根山の噴火で、気象庁や研究者は大きな衝撃を受けました。
噴火を受けて、気象庁は全国の火山に、いわばノーマークの火口がないか改めて精査しました。
対象としたのは、気象庁が24時間監視している全国50の火山です。
監視している火口とは別の場所で噴火の可能性がないか、最新の研究成果を踏まえ、過去1万年以内に噴火した火口を徹底的に洗い出しました。
その結果、ノーマークの火口が、少なくとも21の火山で確認されたということです。
その中には、『日本一の山』も含まれています。」

富士山のすそ野にも“ノ-マーク火口”が…

日本最高峰、富士山。
言わずと知れた活火山です。
ノーマークの火口が確認されたのは、山頂付近ではなく、すそ野に広がる陸上自衛隊の演習場の中。
この林の中で、噴火のリスクがあるというのです。

調査を行ってきた、山梨県富士山科学研究所の吉本充宏(よしもと・みつひろ)主任研究員です。
この場所で詳しい地質調査などを行ったところ、南北500メートルにわたる火口の存在を確認。
およそ1500年前に、溶岩があふれ出る「割れ目噴火」が起きていたことがわかったのです。

溶岩は、1.5キロ先にある、今の富士吉田市に流れ出たと考えられ、吉本さんは、ノ-マークだったこの火口に備えるべきだといいます。

山梨県富士山科学研究所 吉本充宏主任研究員
「火口があったということは、過去に噴火したということ。
そういった地形がある場所は特に注意していく必要がある。
住民や自治体の職員も、ちゃんと知っておくことが大事。」

「火山との共生」 進む噴火への備え

ノ-マークの火口への対策に乗り出している地域もあります。
十勝岳のふもと、北海道・上富良野町です。
先週、町の職員が、ある温泉宿を訪れました。

上富良野町 防災担当 櫻井友幸さん
「チラシを作った。
『もしかしたら噴火する可能性があります』という。」

これまで十勝岳で噴火が警戒されてきた、「62-2火口」。
しかしこれとは別の火口でも、噴火のおそれがあることが明らかになりました。
「ヌッカクシ火口」です。
これまでノ-マークだったこの火口、宿からは、わずか1.6キロの場所です。

宿では、注意喚起の文書を玄関に掲示。
入山届の横にも置き、登山客に呼びかけることにしました。

この宿では、噴火の発生時に、観光客を食堂に避難させる計画でしたが、その見直しの必要性が出てきました。
食堂の窓ガラスは、ノ-マークだった火口の方角を向いているのです。

十勝岳温泉 凌雲閣 青野範子さん
「このガラスは(ノ-マークの)ヌッカクシ火口に面してるので、万が一噴火したときには、このガラスが影響されるのかな。」

上富良野町 防災担当 櫻井友幸さん
「ここは完全に噴石だらけになる。」

このため、観光客をすぐに地下へ誘導することにしました。
地下であればより安全と考えたのです。

十勝岳温泉 凌雲閣 青野範子さん
「ここの廊下、100人くらい入れるかな。」

十勝岳温泉 凌雲閣 青野範子さん
「(客の)安全を確保していかないといけないので、万が一のときは『こう逃げるよ』『誘導するよ』というのを、私たちのほうが備えておかないといけないと改めて思う。」

上富良野町 防災担当 櫻井友幸さん
「あまりにも危険性を前面に出すと観光の人が来なくなる、ではなくて、上富良野町は火山とともに生きている、共生している。
前向きに考えれば、楽しむためには危険性をちゃんと押さえておくのが大切。」

今後の対策は?

高瀬
「対策に動き始めた自治体もあるようですが、国は今後どう対応していくのでしょうか?」

小林記者
「気象庁は21の火山の“ノーマークの火口”について、監視を強化することにしています。
すでに自治体などが設置しているライブカメラを活用するほか、神奈川県の箱根山など7つの火山では、新たに“ノーマークの火口”を監視するカメラの設置が決まりました。異常を見逃さないようにする考えです。」

和久田
「火山の周辺は温泉などもあって、私たちも行くことが多いですから、こうした“ノーマークの火口”は心配ですよね。」

小林記者
「気象庁は、噴火の可能性が高いのはあくまでも従来から想定してきた火口だとしています。
しかし、1年前の噴火は、たとえ可能性は低くてもゼロでは無いかぎり、それは無視できないということを突きつけました。
今回洗い出されたリスクを地元自治体などと共有し、住民や観光客への周知を進めるなど、万一への備えを進めることが欠かせないと思います。」

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