これまでの放送

2019年1月17日(木)

阪神・淡路大震災24年 記憶と教訓をつなぐために

高瀬
「こちらは阪神・淡路大震災の『追悼のつどい』が行われている神戸市の会場です。」

和久田
「6,434人が亡くなったあの日から24年。
時間の経過とともに被災地が抱える課題はより難しさを増しています。
神戸から和田アナウンサーに伝えてもらいます。」

和田
「阪神・淡路大震災から24年。
その記憶や教訓をどう受け継いでいくのか。
その課題がより深刻化しています。
県内各地で行われる追悼行事は主催者の高齢化が進んでいます。
その数は年々減少しています。
今年(2019年)はおよそ50件が行われる予定ですが、4年前の時の半数以下となってしまっているんです。
追悼行事の会場に来ていた80代の女性に話を聞いたところ、『足を運べるうちはこうして来ているのだが、今年は明らかに人の数が少ない。娘や孫の世代、やはり関心がないというふうに感じて悲しい』と話していました。
一方で会場に来ていた20代の大学生に話を聞いたところ、『震災自体は知らないが、こうして追悼のつどいの会場に足を運ぶことで、地震があったことを実感できる。これを子どもにも伝えていかなければならない』というふうに話していました。
今年、灯ろうの文字に選ばれた『つなぐ』という言葉の背景には、まさに震災の記憶を次の世代につなげていかなければならないという地元の人たちの強い思いが込められています。
そのつなぐ場となっている、この『1.17のつどい』も運営は年々厳しさを増しています。
こうした中、つどいの実行委員長を務める男性が、SNSを使って次の世代に伝えようという新しい取り組みを始めているんです。」

記憶と教訓の風化に危機感

リポート:井上幸子(NHK神戸)

実行委員長を務める飲食店経営の藤本真一さんです。
4年前から務めていますが、このままつどいを続けていくのは簡単ではないと、年々感じています。

つどいで使う竹灯ろうは、ボランティア団体から提供されたものです。
しかし、作業をする人は高齢化し、提供される竹灯ろうも減ってきました。
今年は2つの団体から、作れなくなったと連絡がありました。

『1.17のつどい』実行委員長 藤本真一さん
「僕も震災当時10歳が、今34歳。
それだけ時がたっているのは間違いない。
震災を経験された方もたくさんの方が亡くなられている。
震災を知る人が減っているということは、自然と(震災に)触れる機会や知る機会も減っていることは間違いないので、それを今から変えていくのは、もう遅いかもしれないが、やっていかなくてはならない。」

SNSを活用 若い世代に伝える取り組み

震災を知り、行動してくれる若者を増やしたい。
手がかりを探す藤本さんは、市内に数多くある震災モニュメントに深い意味があると、改めて気づきました。

『1.17のつどい』実行委員長 藤本真一さん
「(モニュメントには)一番伝えたいことが凝縮して書かれているので、それに触れることで、私も震災当時の町並みを思い出すし、何かしら少しでも、この記憶を若い世代に伝える中で、みんな生き残ってほしい。」

若者に知ってもらうにはSNSが有効だと藤本さんは考えました。

フェイスブックに協力を働きかけ、震災モニュメントのマップを作りました。
犠牲者の名前、住宅やライフラインの被害状況、そして復興の誓いなどが刻まれたモニュメント。
でも、見過ごされがちなモニュメント。
これを発信して、震災への関心を高められないかと考えました。
さらに、震災当時の写真や映像が見られる特設ページを設けました。
掲載しているのはおよそ2,500点。
被災者や企業などが提供しました。
ページの作成作業は学生たちにもしてもらいました。
写真集めをしたのも学生たちです。
直接、被災者と触れあうことで、震災を少しでも身近に感じてほしいと藤本さんは考えていました。

大学生
「私は1999年生まれなので、1995年のことは全く知らない。
実際に写真を撮った人と、写真を通してお話しすることで初めて事実を知った。」

大学生
「私たちは経験していない世代だが、それでも残していかなくてはいけない事実。
次の世代に伝えるためのもっと詳しい情報を、私たちが聞ける範囲で聞けたらと思う。」

「自らつなぎ役となって、次のつなぎ役を作る」

今、この小学校の5年生は震災について学ぼうと、モニュメントについて調べています。

『1.17のつどい』実行委員長 藤本真一さん
「その存在を知って、何があったかをちょっと触れてみてもらって、その先に23〜24年前にどういうことがあったのか、少しでも想像してほしい。」

自らがつなぎ役となって、次のつなぎ役を作る。
藤本さんの決意です。

“つどい”継承への思い

和田
「VTRでご紹介した藤本真一さんに来ていただきました。
藤本さん、朝からこの場所で運営に携わっていらっしゃいます。
お忙しいところ、ありがとうございます。
『自らつなぎ役になって、次の世代につなげていく』。
これはどういう思いでやっていらっしゃるわけですか?」

『1.17のつどい』実行委員長 藤本真一さん
「やはり24年前に培われた、この生き残るための知恵をいかに震災を知らない若い子たちに伝えていくか、大きな地震に備えられるかということが大事なことになります。」

和田
「そういった中で、新しくSNS、フェイスブックを使った情報発信を始めていますけれども、この役割、どんな狙いがありますか?」

『1.17のつどい』実行委員長 藤本真一さん
「やはり震災経験者は高齢の方が多くて、震災を知らない若い子たちとの世代間のギャップが大きくなっている中で、なかなか直接的にコミュニケーションを取ることが難しくなっています。
そこで、デジタルの情報、バーチャルの空間に震災情報をアップすることによって、お互いが情報を交換しながらコミュニケーションできる場所というのが、これから重要になってくると考えています。」

高瀬
「今年初めての試みとして、今日の夕方から東京の日比谷公園でも『追悼のつどい』を開催されるということで、震災から24年たった今、東京で開催するのはどういう狙いがありますか?」

『1.17のつどい』実行委員長 藤本真一さん
「私、今34歳なんですけれども、私たち世代がつなぎ役にならないとダメなんですけれども、私たち世代は皆さん仕事であったりとか、家庭の事情で東京にいっらっしゃる方が多いと。
そういうつなぎ役の人たちがつどって皆さんをつないでいくお手伝いをしていくためにも、東京の地で追悼の場所、語らいの場所を作ることが不可欠だと考えております。」

和久田
「今後の『追悼のつどい』が目指す姿、どんなものになってほしいと考えていらっしゃいますか?」

『1.17のつどい』実行委員長 藤本真一さん
「やはり今後、24年以降もこのことを伝えていくためには、震災に触れる機会というのはどんどん増やしていかないとダメだと思います。
この追悼の場所であったりとか、先ほどの情報の部分であったりとか、さまざまなものをつないでいかないとダメだと思っていますので、ここの場所が1年でも長く続くように、さまざまな触れあう機会を作っていけたらなと思っております。」

若い世代が継承していくことの大切さ

和久田
「震災20年の時に神戸でお話を聞いて、『10年たっても20年たとうとも、この日を迎える気持ちは全く変わりません』とおっしゃった方をよく覚えているんですね。
その気持ちを30代の記憶と教訓を持っている最も若い世代が継承していくことって、本当に大切だなと感じましたね。」

高瀬
「その意味でも、24年しかまだたっていないという言い方もできるかもしれません。
私18歳で経験しましたけれど、あの震災の教訓やその経験を原点にして生きてきたという人たち、ほかにも大勢いらっしゃると思うんです。
だからこそ、その後起きた大災害で、この神戸の教訓が生きたということも言えようかと思います。
1月17日は、これからも決意を新たにする日になります。」

Page Top