これまでの放送

2019年1月16日(水)

人工流れ星を夜空に!

高瀬
「あさって(18日)、日本の小型ロケット『イプシロンロケット』の4号機が打ち上げられる予定です。
今回の打ち上げ、日本の宇宙ビジネスのすそ野を民間に広げる大きな意味があるんです。」

和久田
「このロケットには7機の人工衛星が搭載されます。
宇宙から、農業や漁業を管理するもの、新しい技術や部品の性能を宇宙空間で確認するものなど、今後の民間の宇宙ビジネスを促進するためのさまざまな実験が行われます。
中でも、注目をしたいのが、こちらです。
世界で初めて宇宙空間を利用して、エンターテインメントのビジネスを行おうというものです。
何かといいますと…。
流れ星を、人工で作り出してしまおうというものなんです。」

高瀬
「ここまできた宇宙ビジネス。
その挑戦を追いました。」

1センチの球が流れ星に

取材:鈴木有(科学文化部)

縦横60センチ、高さ80センチの人工衛星「ALE-1(エール・ワン)」。
およそ1センチの球を400個搭載していて、この穴から撃ち出すことで、流れ星を作り出します。

流れ星は、宇宙を飛び交う数ミリから数センチの星くずが、地球に落ちてくる間に、大気圏で燃え尽きて、光を放つ現象です。

「ALE-1」は、この現象を、人工的に引き起こします。
世界中で、大きなイベントに合わせて流れ星を出現させる、エンターテインメント・ビジネスです。

人工衛星を開発したベンチャー企業です。
代表を務めるのは、東京大学大学院で天文学を学んだ岡島礼奈(おかじま・れな)さん。
学生の時、鳥取砂丘で見た「しし座流星群」の美しさに感動した一方で、期待した程の数は見られず、もの足りなさも感じたといいます。

ALE 岡島礼奈さん
「砂に寝転がって、友だちと見ていて『まだかな』みたいな。
流星群は流れ星が雨のように降ってくるかと思っていたが、意外と一個一個だなと思って。」

開発には大きなハードルが

打ち上げ花火のように、次々に表れる流れ星を見てみたい。
岡島さんは8年前に会社を設立。
電機メーカーで人工衛星を開発していた技術者や、カメラメーカーの研究者などを仲間に加えて、人工衛星の開発に取り組んできました。
流れ星の原理はシンプルです。
しかし、その開発は一筋縄ではいきませんでした。

ALE 岡島礼奈さん
「(流れ星のもとの)サンプル。
サンプルでいろいろな種類を試している。」

ひとつの大きなハードルが、流れ星のもととなる「球(たま)」の素材の開発でした。
球に見立てた素材に、高温のガスを吹きつけて、大気圏に突入した時の状況を再現する実験です。

これは開発当初、失敗したときの実験の様子です。

画面右側から、高温のガスを吹き付けると、球の先端がわずかに光るだけで、細かく砕けて飛び散ってしまいました。

長く、明るく輝き続ける素材はないか。
金属などさまざまな物質を混ぜ合わせ、数百種類の素材を作って実験を繰り返してきました。

その結果、最長で10秒間、強い光を発し続ける球を開発。

ALE 岡島礼奈さん
「緑だ、これ。」

光の色も、白、緑、オレンジ、青の4つを作り出すことができました。

ALE 岡島礼奈さん
「決して平たんな道ではなく、これからのほうが、もっとたくさんの壁が出てくるのではないかと思う。
最初はみんな半信半疑でいたものが、ちゃんとできて、みんながちゃんとやってきたねって言ってくれたのは、やはりよかった。」

流れ星に託す願い

ALE 岡島礼奈さん
「これが流れ星を発生させる装置です。」

もうひとつ苦労したのが、正確に球を撃ち出す装置の開発です。
人工衛星は、秒速 8キロという超高速で地球の周りを回りながら球を打ち出します。

球が光るのは、撃ち出した場所から7,000キロ先。
わずかな誤差が、大きなズレに繋がってしまうのです。
撃ち出す筒状の装置は、わずかな歪みも許されません。
金属加工を行う町工場の協力を得て、200分の1ミリの精度を実現。

球をほぼ100%、狙い通りに撃ち出せるようになりました。
球の速度を変えれば、理論上、同じ場所で、5つ以上の流れ星を出現させることもできると言います。

流れ星に託す、願い。
その実現まであと一歩です。

ALE 岡島礼奈さん
「オリンピックで盛り上がっている日の夜に、流れ星で夜空を彩れたら楽しいだろうと思う。
上を向いて、願い事かけ放題ですし、みんながワクワクするとか、ドキドキするとか。
宇宙に対しての思いを感じ取ってくれる日ができるといいと思う。」

和久田
「夢に描いたような夜空が、現実になるかもしれませんね。」

高瀬
「どんなイベントよりも、広範囲で、多くの人が楽しめるってことですよね。
それを見た子どもたちが、宇宙にあこがれて、宇宙を目指すという、大きな話だと思います。」

和久田
「10秒ぶんの願い事も、いまから考えておかないと。」

高瀬
「かけ放題ですからね。」

和久田
「これまでに、個人投資家を中心に10億円近くの出資を受けていて、今年(2019年)の夏には、人工衛星の2号機を打ち上げる予定です。」

高瀬
「そして、来年、2020年の春には、広島の上空で実際に流れ星を出現させる計画で、成功すれば、オリンピック・パラリンピックに合わせて東京にも、流れ星を降らせたいと考えているそうです。」

和久田
「この人工衛星は、あさって午前10時前、鹿児島から打ち上げられます。」

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