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2018年12月16日(日)

平成30年の歩み 柴門ふみが見つめた“恋愛”

新井
「シリーズでお伝えしている『平成の30年』。

小郷
「最終回の今日(16日)のテーマは『恋愛』です。」

平成が幕を開けたころ、漫画やドラマで大ヒットした「東京ラブストーリー」。

“これから永尾くんのこと、カンチって呼んだげる。”

“ねえ、セックスしよ!”

バブルの華やかな時代。
奔放に生きる女性を主人公に、恋愛のどきどきや切なさをリアルに描き、若者たちの共感を呼びました。
平成の時代、一貫して恋愛をテーマに描き続けてきた、漫画家の柴門ふみさんです。

漫画家 柴門ふみさん
「ずいぶん銀座も変わった。」

この30年で、男女の恋愛はどう変わったのか?
柴門さんと見つめます。

“人間関係の基本” 「恋愛の神様」が語る 

柴門さんが「東京ラブストーリー」を書いたのは、平成の初め。
体のラインを強調する「ボディコン」が大流行。
人気の男性は、高身長・高学歴・高収入の「三高」。
男性も、派手な高級車で女性の気をひこうとしました。
当時の若者たちにとって、恋愛はまさに、生活の中心だったと柴門さんは言います。

柴門ふみさん
「赤名リカを描いていた時のモデルの女性がいて、20代。
毎週、香港に行って指輪をいっぱい買っていたとか、男を『アッシー(車で送り迎えしてくれる人)』『メッシ-(食事をおごってくれる人)』みたいに操っている人がいた。
男の子も、女の子たちをどうやれば自分のものにできるか楽しんでいた時代。
女の子は恋愛がすべての1位。
考えること、行動基準の。
恋愛をもとに自分の生活を組み立てていた。」

バブルが崩壊した後も、恋愛をテーマに次々とヒット作を連発。
「恋愛の神様」と呼ばれるようになりました。

今も恋愛を描き続ける柴門さん。
主人公は、シングルマザーや、企業の管理職として働く女性たちです。

柴門ふみさん
「表情ですね、一番気を遣う部分は。
目線一つ、まなざしだけで“恋している”表現できるから面白い。」

“あれからあなたのことばかり考えている”

“出会っちゃったの、ドキドキしちゃう男に!!”

柴門さんは、「恋愛は人間の成長にとって欠かせないものだ」と考えるようになったと言います。

柴門ふみさん
「想像力と頭をすごく使ったと思う。
彼がひと言、こう言ったから、“どういう意味だったのか”と考えて、“次に会ったときは、こう言おう”と試行錯誤して、頭を使っていた。
お互い好きな二人が確かめ合いながら考えて、自分も謝ったり、相手を許したり。
人間関係の基本だと思う。」

恋愛を楽しめない若者 女性の働き方に変化が

ところが最近、柴門さんは思いもよらない言葉を聞くようになりました。

柴門ふみさん
「“恋愛の何が楽しいんですか”と聞かれて、すごく驚いたことがあるんですけど。
“そんなのどうやったらいいかわかりません”。」

かつては、何よりも大事だとされていた恋愛。
その熱量が下がった大きな要因のひとつが、女性の働き方の変化だと見ています。

柴門ふみさん
「女性が仕事を持って働いていることが、一番大きく変わった。
恋愛に割く時間、気力、関心のようなものが失せて、女性がやる気なくなるし。
自分の生き方があって、それに合った職業・趣味・交友関係、その中で結婚を組み込んだり、恋愛を入れようとしている。
恋愛というのは、自分のライフスタイルの中の1ピースにしかすぎなくなったというのが、たぶんあの時代との一番大きな違いだと思います。」

若者の本音は?

恋愛の楽しさを知らない若者。
いったい、何を求めているのか?

柴門ふみさん
「あまりカップルがいない。
割と忙しそう。
目的があって、用事に向かって歩いている人が多い。」

最近人気だという婚活パーティーを訪ね、本音を探ります。
このパーティー、なんとDNAの相性だけで男女を引き合わせます。
一定の科学的根拠に基づいているため、「効率よく結婚相手に出会いたい」という人が集まってくるといいます。
どんな話をしているのか、聞き耳をたてる柴門さん。

男性
「パクチーって、めずらしい。」

女性
「そうですか?
パクチー好き女子、いっぱいいると思います。」

柴門ふみさん
「異性と、初対面の人と盛り上がれる人が、婚活しないと相手が見つからないのが不思議。」

柴門ふみさん
「相手の男性に求めるものは何?」

女性
「ちゃんと働いていて、借金がなくて、やさしい。」

柴門ふみさん
「まわりにはいない?」

女性
「職場も女子ばっかり、いない。
積極的に出会いを探していかないと。」

柴門ふみさん
「おつきあいの経験はある?」

男性
「あります。」

柴門ふみさん
「なんで結婚までいかなかった?」

男性
「自分の時間が必要。
拘束されるのがあまり好きじゃない。」

柴門ふみさん
「恋愛してる人自体が減っているような気がする。
一人でも十分楽しいことがある。
生きていくだけで精いっぱいな人もいるだろうし。
大好きな人と恋愛して結婚にいくのは、ものすごく大変そうなので、短期間で決めたい。
“恋愛はしょって結婚にいこう”となるかも。
“恋愛不毛時代”みたいな気がする。」

“恋愛不毛時代”に描く景色

平成が終わろうとしている今を「恋愛不毛時代」だという柴門さん。
だからこそ、これからも、恋愛をしてこそ得られるものを描いていきたいと語ります。

柴門ふみさん
「“恋愛すると楽しいことがある”、感情移入して、疑似体験してもらって。
恋愛が続かない人たちは、最初の山を乗り越えない。
“恋愛は楽しくない、もういいやしなくて”。
高尾山を登る直前でやめちゃう人が多い。
“一度アルプスか富士山登ったら、そこで見る景色は違う。丘のふもととは違う景色がある”と言いたい。」



新井
「楽しい恋愛だけでなく、傷つくことで成長することも私もありましたから、柴門さんの言葉に共感しましたね。
ただ一方で、女性が社会に進出して働くこともいいと思うんです。
選ぶのが難しいというのも分かりますね。」

小郷
「私自身、平成の真ん中辺りでちょうど社会人になったので、女性も当たり前のように仕事をする時代に、すでになっていたんですよね。
なので、平成の初めと終わりの恋愛観、どちらも気持ちが少しずつ分かる気がするんです。
恋愛ひとつとっても、平成の30年の間で価値観が大きく変わったということが、改めてよく分かりました。」

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