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2018年12月13日(木)

平成30年の歩み『災害とボランティア』

高瀬
「平成の30年を振り返るシリーズ。
昨日(12日)、『今年の漢字』に災害の『災(さい)』が選ばれましたが、けさのテーマは『災害とボランティア』です。」

和久田
「平成は、大きな災害に見舞われた時代でした。
雲仙普賢岳の噴火、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、そして、2万人を超える犠牲者を出した東日本大震災。
その後も、毎年のように大きな災害が起きています。
今年(2018年)も西日本豪雨や北海道地震など、災害が相次ぎました。」

高瀬
「その中で、新たな動きとして出てきたのがボランティアです。
平成は『日本にボランティアが根づいた時代』と言えます。
その原点は、平成7年の阪神・淡路大震災でした。」

「ボランティア元年」

震度7の揺れと、その直後に発生した火災によって、6,434人が亡くなった阪神・淡路大震災。
自然発生的に集まり始めたボランティアは延べ137万人に上り、「ボランティア元年」と呼ばれました。
このとき、初めてボランティアに参加した1人、栗田暢之さんです。
いまは、被災者支援のNPOの代表を務めています。
大学の職員だった栗田さん。
それまで、ボランティアに関心を持ったことはありませんでした。

栗田暢之さん
「あの映像を見た人たちは、誰もが何かしなければいけないと思ったはず。
思わず身が動いたということですかね。」


困難な状況にある中で、被災者が見せた笑顔。
日本人がボランティアをする充実感を得た瞬間でした。

栗田暢之さん
「経済至上主義みたいなものが、どうしてもあった時代でしたので。
お金に換えられない価値、お金では買えない価値。
被災地で人と人がしっかり支え合う現場が、阪神・淡路大震災にはあった。」

栗田さんはその後、ボランティア団体を設立。
数多くの被災地で支援活動を続けています。

多様化するボランティア

高瀬
「東日本大震災では、ボランティアの数は、延べ550万人。
被災地が広域にわたり、行政の支援が行き渡らない中で欠かせない存在となりました。」

和久田
「今や、災害が起きると、全国からボランティアが集まって、自分の得意な分野で被災した人を支えるようになっています。
以前は、後片付けなどの力仕事が多かったんですが、最近では、健康相談、子どもの学習支援、ペットの世話など、被災者のニーズを細やかにくみ取ることで、種類も多様化しています。
それによって、より多くの人がボランティアに参加するようになっています。」

「農業ボランティア」

報告:森野周記者(社会部)

震度7の揺れが2回襲った、一昨年(2016年)の熊本地震。
ここで注目を集めたのが、「農業ボランティア」です。
それまでボランティアを経験したことのない女性が多く参加しました。
その1人、福岡市に住む杉山真由美さん。
力仕事は難しいと、ボランティアに二の足を踏んでいました。

杉山真由美さん
「(農業ボランティアは)重たい物とか、がれきの撤去とかがないと思った。
私はそっちのほうが向いていると思って。」


杉山さんを動かしたのは、SNSや動画サイトを使った呼びかけでした。
被災した農家で、サツマイモの植え付けを手伝うボランティア。
「自分にもできる」と知った女性から、申し込みが殺到しました。

杉山真由美さん
「にんじんを抜くのが楽しいんですよ。
手でバンバン抜いていくのが楽しくてしょうがないんですよ。」


杉山さんは、農家の生活が安定した今も、毎週のように通っています。

被災した農家
「友達とか親戚みたいです。
来られたときは元気が出ます。」


杉山真由美さん
「ここに来ると、自然があったり土いじりができたり、趣味のような状態になっているのでボランティアに来ているのかと思うときもあります。」

ボランティアが、日常生活の一部になった杉山さん。
こうした人が増えているのです。

ボランティアの新たな形

たび重なる災害。
その中で、ボランティアの新たな形も生まれています。
先月(11月)、北海道地震の被災地で開かれた講習会。
被災者支援団体の代表、栗田暢之さんが今取り組んでいるのが、ボランティアの「バトンリレー」です。
東日本大震災で被災した宮城県の女性が、仮設住宅の暮らし方の工夫をアドバイスしました。

東日本大震災で被災 渡邉洋子さん
「私たちも仮設住宅に4年いたので、それにあった棚を作ってきました。」


自分がボランティアに助けてもらった恩を、今の被災者に返したいという声が増えているのです。

被災者
「気がついてくれるし、いろんな助言をもらえて、ありがたいです。」


平成の時代に、新たに根づいたボランティア。
この経験を、これからの災害に生かしていきたいと、栗田さんは考えています。

栗田暢之さん
「一人ひとりにとってみたら1回1回の災害なので、過去から学んだことをしっかりと次の災害に伝えていく役割があると思っていて。
平成でわれわれが学んできたことは、次の世代にもバトンタッチしていきべきだと思います。」


高瀬
「今年の漢字、災害の『災』のように、平成全体で見ても災害が多い時代でしたが、一度災害が起きたら、すぐに、助けよう、助けたい、支えたいという気持ちが育まれたのも、この時代だったなと感じます。」

和久田
「特別なことをしに行くのではなくて、ごく自然に、気負わずに行く方が本当に増えた気がしますね。」

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