これまでの放送

2018年12月10日(月)

平成30年の歩み『家族の変化』

平成と共にニュースを伝えてきた、おはよう日本。
私たちは、この時代に得たことを、次にどうつなげていけばいいのでしょうか。

高瀬
「平成も残り5か月を切ったんですね。」

和久田
「平成最後の年末も迫ってます。」

高瀬
「そこで、今日から1週間、平成の30年間をさまざまなテーマから振り返ってみます。」

和久田
「初日の今日は、『家族の変化』についてです。
皆さんは今、誰と住んでいるでしょうか?
実は、平成は、家族の形が大きく変化した時代となりました。
そしてそのことが、今、社会に大きな課題を突きつけています。

1人暮らしの世帯 急増

(平成4年放送 くらしのジャーナルより)
「柿谷さんは4人家族です、夫はサラリーマン。」

平成4年、NHKが放送した朝の情報番組のワンシーンです。
サラリーマンの夫に妻、そして子どもたち。
最も多く見られた家族のかたちでした。

ところが、夫婦と子どもの世帯の割合は年々減少。
その代わりに、1人暮らしの世帯が急増し、逆転しました。

平成2年に放送された、NHKの「きょうの料理」。
材料は、4人分で紹介していました。
それが今では…。

「ひとり分で楽々、日本のおかず!」

1人分を紹介する回が増えました。
スーパーでも、ひとり用の商品に力を入れています。
例えばカレー。
家族の分を作れるカレルの売り上げを、1人用のレトルトが、去年(2017年)初めて上回りました。


「ひとり旅」に力を入れる旅行会社も。

ひとり旅 企画担当者
「お1人になられてしまった方で、どんどん第2の人生を楽しんでいこうと(1人で)旅行に行かれる方も増えています。」

高齢者の1人暮らし 半数は貧困状態

高瀬
「こうして見ると、確かに平成のこの30年間で、1人暮らしを楽しむサービスというのも充実してきていますよね。」

和久田
「選択肢が増えてきていますよね。」

高瀬
「ただ、厳しい側面もあるんです。
平成で急増した1人暮らしの3分の1は65歳以上の高齢者です。
こうした人達の多くが、今、大きな問題を抱えているんです。
こちらは専門家が分析したデータです。
1人で暮らす高齢者の半数は、収入が一定の水準を下回る『貧困状態』にあると指摘しています。
今、多くの高齢者が厳しい生活に直面しています。」

70歳を超えた今もアルバイト

報告:黒川あゆみ(社会部)

都内で1人暮らしをする、小川宏(おがわ・こう)さん、74歳です。

小川宏さん
「これはね、一緒になった当初の写真だな。」

20代で結婚し、娘と3人で暮らしてきましたが、妻をがんで亡くしました。
その後、娘は結婚し、別々に暮らしています。

小川宏さん
「よく寂しいのをこらえて暮らしてきたなと思うけど。」

小川さんの主な収入は年金です。
印刷会社などで働いてきましたが、非正規雇用だった期間もあり、受け取る金額は月9万円。
食費や光熱費などを除くと、手元にはほとんど残りません。

小川宏さん
「(年金が)あまりにも少ない額でしょ。
なんとか(お金を)減らさないで、食っていくしかないような状況ですよね。」


苦しい生活が続く小川さん。
それでも、離れた場所で暮らす1人娘には頼りたくないと考えています。

小川宏さん
「今のところ娘夫婦は順調に生活してるから、荒波立ててもしょうがないし。
ましてや金銭面で迷惑かけられないしね。」

少しでも生活の足しにしようと、70歳を超えた今も、清掃のアルバイトをしています。

小川宏さん
「体動かして金になるんだったらね、いくらかになればと思ってやってます。
ただ75過ぎるとどうですかね。
ちょっと難しいですよね。」

生活保護を受ける高齢者 急増

高瀬
「ここからは福田記者とお伝えします。
厳しい生活を続けている1人暮らしの高齢者が多いんですね。」

福田和郎記者(社会部)
「そうなんです。
その深刻な実態を表すデータがこちらです。
生活保護を受ける高齢者が急増し、去年は83万世帯と、平成の間で3.6倍に増えたんです。
このうち9割は1人暮らしです。
年金だけでは暮らしていけないのです。」

年金だけでは暮らしていけない

62歳の時に離婚し、その後1人暮らしを続けている、木村良江さん。

木村良江さん(仮名)
「1人になって、困るけど、まだその頃は働けるっていう気持ちがあったからね。」

専業主婦の期間が長かった木村さんは、受け取れる年金が、月に4万円あまりです。
夫の年金と合わせて老後を暮らすつもりでしたが、1人になったことで、とたんに生活が苦しくなりました。
頼る人もいないため、生活保護を受給することになりました。

木村良江さん
「足りないもん、全然。
(年金が)4万ちょっとしかないのよ。
部屋代が1万5,700円でしょ。
水道でしょ。
電気…。
足りない。」

制度が変化に対応しきれていない

専門家は、今の年金制度が、家族の変化に対応しきれていないと指摘しています。

大和総研 是枝俊悟研究員
「国の年金制度の基本は、夫婦の年金額で夫婦の生活を成り立たせることが前提。
国民年金1人分の生活費だと生活を成り立たせるのは苦しい。
平成の30年の間に、家族の形が大きく変わったので、多様な世帯構成に対応できる社会保障制度や税制に変えていく必要があると思います。」

社会保障のひずみ 解決策を

和久田
「専門家の指摘もありましたが、年金の支給額は今、どれくらいになっているんですか?」

福田記者
「例えば、非正規労働者や自営業者などが加入する『国民年金』を見ると、平均で月5万5,000円です。
今の年金制度は、現役時代の働き方や給料によって、受取額に格差が出ます。
非正規労働を長く続けてきた人や離婚した専業主婦などは、年金が低くなりやすいと言えます。」


高瀬
「年金制度は今の時代にあっていないのではないかと。
ならばこの状況、このままにするわけにはいかないですよね。」

福田記者
「はい。
平成の30年で家族が変化し、社会保障のひずみが大きくなりました。
1人暮らしの高齢者をどのように支えていくかは、積み残された大きな課題です。
次の時代では、この課題を先送りせずに、国全体で議論し、解決策を探って行く必要があると思います。」

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