これまでの放送

2018年12月8日(土)

“分身ロボット”でカフェ店員に

小郷
「重度の障害があっても、外に出て働きたい。
そんな願望を実現させることができるかもしれません。
それがこちら、『分身ロボット』です。
遠隔操作で動かすだけでなく、マイクを通して会話をすることもできます。」

新井
「この秋、このロボットを使ったカフェが試験的にオープンしました。」

自分の“分身” ロボットで接客

ロボット店員
“トレイからコップを取ってもらってもいいですか?”

カフェで接客する、3台のロボット店員。
操作しているのは、そこから遠く離れた場所にいる、重い障害のある人たちです。
送られてくる映像を頼りに、目や口、指など、その人が動かせる部分を駆使して、ロボットを自分の分身のように操作します。

実証実験には、全国から10人が参加。
3人ずつ、交代で働きます。
インターネットでつながっていて、ロボットを通してお客さんと話すこともできます。

利用客
「お仕事どうですか?楽しいですか?」

ロボット店員
“そうですね、楽しいです。”

利用客
「やってみたいことはなんですか?。」

ロボット店員
“やってみたいこと?いっぱいある。”

時給は1,000円。
1日に平均3時間程度、働きます。

利用客
「初めは“ロボット”という先入観があるんですけど、話すと全くロボットには思えない。」

利用客
「どこかで操作をされている、もう一人の方と話をしているような感じ。」

分身ロボットの開発者で、このカフェを企画した吉藤健太朗(よしふじ・けんたろう)さんです。
開発中に出会った障害者の多くが、社会との関わりを持ちたがっていることを知り、その願いを叶えたいと企画しました。

オリィ研究所 吉藤健太朗代表
「寝たきりであっても、ここにいる。
周りの人たちからも、ロボットではなく、その人がいたと。
(操作する人の存在を)感じてもらえる場になればいい。」

念願の“初仕事”に密着!

東京都内から参加した、永廣柾人(ながひろ・まさと)さん、25歳です。
難病のため体を動かすことが難しく、外に出て働くことは、自分には縁がない世界だと思い込んでいました。
それが今回、分身ロボットでカフェの店員になれるというのです。

永廣柾人さん
「まさかロボットを使って働けると思っていなかった。
すごく楽しみ。」

わずかに動く指先で、器用にロボットを操作する永廣さん。
一番心配していたのは、会話です。
カフェにほとんど行ったことがなかったため、どう話しかければいいのか、見当もつかなかったのです。

永廣柾人さん
「会話ですよね、やっぱり大事なのは。
ことばづかいは気をつけないと。」

オープン初日。
永廣さん、早速注文を取りに行きました。

永廣柾人さん
“いらっしゃいませ。”

でも、緊張から焦ってしまい、誰もいないテーブルへ。
大事だと思っていた会話も…。
とっさに言葉が出ません。

永廣柾人さん
“…。”

利用客
「おお!」

お客さんを驚かせてしまいました。

その後もなんだかぎくしゃく。

永廣柾人さん
“今日はこのためにいらっしゃって…。
あ、間違えた、そりゃそうですよね。
初めての接客なので、すみません。”

あっという間に、初日が終わってしまいました。

「もっと上手に接客したい」。
永廣さんは、思い切って、客としてカフェに行ってみることにしました。

永廣柾人さん
「ほかのパイロット(ロボットを操作している人)がどうやっておもてなししているのか見てみたい。」

目の当たりにしたのは、想像を超える光景でした。

ロボット店員
“みんなの視線が私に集まってる~。
緊張します~。
どうもこんにちは、分身ロボットカフェへようこそいらっしゃいました~。”

愛きょうを振りまいたり…。

ロボット店員
“私、バリスタでしたので。”

自分のことを、さりげなく話してみたり。
それぞれが工夫を凝らしていました。

永廣柾人さん
「接客の心構えとか、教えてもらってもいいですか?」

ロボット店員
“お客さまと仲よくなれたらなという感じでやっています。”

初めてもらった、職場の仲間からのアドバイスです。

永廣柾人さん
「こうやって場をつないでいるのがわかった。
また心機一転、頑張ります。」

次の出勤日。
永廣さんは、自分から声をかけていこうと決めていました。

永廣柾人さん
“いらっしゃいませ~。
どうぞ、ごゆっくりお楽しみください。”

会話だけでなく、動きも!

永廣柾人さん
“どうぞ、たくさん写真撮ってください。”

そして、お客さんをさりげなくフォローする心遣いまで!

永廣柾人さん
“スタッフを呼んでもらったら、撮ってもらえますよ。”

永廣柾人さん
「一緒にみんなで撮るのは、お客さんも恥ずかしいのかなと。
(自分から)言った方がいいのかなと思いました。」

10日間に及んだ、初めての仕事。
永廣さんは、無事やり遂げることができました。

永廣柾人さん
「やっぱり大変ですね。
これが働くということなのかと。
でも、楽しいです。
ここからもっと努力して、飛躍できればいい。」

外出が困難でも働ける “分身ロボット”の今後

小郷
「取材した、首都圏センターの佐々木ディレクターです。」

新井
「自分で判断して動くAIロボットと違って、操作する人が命を吹き込むというイメージがありますが、だからこそ個性も出るし、やりがいも感じられるのかもしれませんね。」

佐々木朋哉ディレクター(首都圏センター)
「そうですね。
初日、不慣れで大変だった永廣さんですが、その日に入ったお風呂が最高に気持ちよかったと話していたのが印象的でした。
この体験をきっかけに、これからもいろんなことに挑戦していきたいと話していました。」

小郷
「今回のカフェは実証実験でしたが、今後はどうなっていくのでしょうか?」

佐々木ディレクター
「2020年までにカフェは常設を目指していて、さらに今後は、企業の受付など、さまざまな業種でもロボットを活用できないか模索していく予定だそうです。」

Page Top