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2018年12月6日(木)

学校へ通えない 外国人の子どもたち

高瀬
「外国人材の受け入れを拡大するための法案の審議が国会で続いています。
この受け入れが拡大すれば、働く人だけでなく、家族として来日する子どもの数も増えると予想されています。」

和久田
「ところが、外国人の子どもたちが思いもしない事態に直面していることが分かってきました。」

希望しても 学校に通えない

報告:山屋智香子(社会部)

都内に住むインドネシア人のウディンさん一家です。
妻と、9歳になる息子のラザカくんの3人で暮らしています。
ウディンさんは調理師として、在留資格を得て来日しました。
その後、10年以上日本に滞在したことで、永住権を取得。
去年(2017年)、インドネシアからラザカくんを呼び寄せました。

ウディンさん
「すごくうれしかった。
仕事ももっと頑張る。
日本で子どもいるから。」


ところが、ラザカくんを地元の小学校に通わせようと市役所を訪れると、思わぬ事態に直面しました。
「日本語はほとんど話せない」と言うと、まずは日本語を学んできてほしいなどと言われ、受け入れてもらえなかったと言います。

「Q:小学校に入れず、どんな気持ちだった?」

ラザカくん
「さびしかった。
友だちもいないし。」


ウディンさん
「すぐ(小学校に)入るのは無理で、日本(の生活)は大丈夫かなと心配。」

実は、外国人の子どもは義務教育の対象にはなっていません。
憲法では、対象は「国民」と明記されています。
国は、外国人の子どもを学校で受け入れるよう通知を出していますが、最終的な判断は自治体や学校に委ねられているのが現状です。

小学校に入れなかったラザカくんは、別の市にあるNPOの支援教室に通うことにしました。
ここでは、ラザカくんのように、学校に入れなかったり、授業についていけない子ども、およそ100人が集まっています。
ここで日本語を学び続けたラザカくん。
去年10月になって、NPOが市に掛け合い、ようやく編入が許可されました。

しかし、こうした支援団体は、各地にあるわけではありません。
NPOは、教育を受けていない子どもが、ほかにも大勢いると指摘しています。

YSCグローバル・スクール ピッチフォード理絵さん
「ここにつながっているのはごく一部のお子さんたちなので、おそらく何倍・何十倍のお子さんたちが、今、どこの支援にもつながらず、厳しい状態に置かれているお子さんが、東京だけでなく日本中に存在しています。」

子どもたちに学校へ通える選択肢を

和久田
「取材にあたった山屋記者とお伝えします。
永住権があっても、外国人の子どもは義務教育の対象ではないというのは正直驚きましたが、実際に学校に通っていない子どもは、どれくらいの人数いるんでしょうか?」

山屋智香子記者(社会部)
「実は、国が詳しい調査を行っておらず、実態はよく分かっていないんです。
一方で、外国人の教育に詳しい愛知淑徳大学の小島祥美准教授は、公的な学校に通っていない子どもは、およそ1万人に上ると推計しています。
この中には、学校に入れない子どもだけでなく、そもそも親が入学の手続きを取っていない子も多く含まれるとみられます。
小島准教授は、すべての子どもが、学校に入れるようにすべきだと指摘しています。」

愛知淑徳大学 小島祥美准教授
「外国人も納税者なので、当然子どもの教育については、すべての子どもたちの選択肢、日本の学校にも通える、そして外国人学校にも通える、選択肢の幅をもたせる必要がある。」


高瀬
「『学校に行きたい』という、子どもにとってごく自然な思いを聞くと、日本人と同じように学ばせてあげたいと思いますよね。」

山屋記者
「その通りです。
こうした点を放置すると、実は新たな問題を引き起こすことになるんです。
国内でも、早い時期から外国人が働いている地域では、学校に通わなかった子どもたちがそのまま育って、親世代になっています。
そこで見えてきた問題を取材しました。」

学校に通えなかった親世代と次の世代

愛知県で暮らす、日系ブラジル人の古川タミレスさんと長男のハルオくんです。
タミレスさんは、12歳の時に、親の仕事に伴って来日。
学校には通えず、日本語をほとんど学んできませんでした。
その後、ブラジル人と結婚、日本で2人の子どもを出産しました。

タミレスさん
「その2枚の写真は、同じ場所だよ。(ポルトガル語)」

ハルオくん
「僕知ってる、海にいった時だよね。(ポルトガル語)」

家庭での会話は、すべてポルトガル語です。
タミレスさんは日本語をあまり話せず、ハルオくんに教えることができません。

タミレスさん
「息子の教育は、もちろん心配です。」

日本で生まれ育ちながら、日本語がうまく話せないハルオくん。
小学校に入学したものの、授業についていけず、多くの時間をNPOの支援教室で過ごしています。

この日は、カレンダーを見ながら「今週」や「来週」といった単語を覚えました。
NPOは、親が十分な教育を受けられなかったことで、子どもの学力に影響がおよぶ、連鎖が起きていると指摘します。

NPO法人 トルシーダ 伊東浄江代表
「親世代への支援が十分でなかった結果、子ども達の教育にも影響を与えているとすごく思います。
“一緒に寄り添っていかなければ”と思っています。」

教育を充実させる対策を

和久田
「こうした連鎖を食い止めるためにも早い段階から支援を行っていくことが求められそうですね。」

山屋記者
「そうですね。
小学校など義務教育の現場では、外国人の子どもに対応できる教師も少なく、受け入れ体制が、まだ十分ではありません。
また、VTRのような支援団体も少ないのが現状です。
教育を充実するためには、人材も資金も必要となりますが、外国人の受け入れを拡大するのであれば、国は、その対策を怠ってはならないと思います。」

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